この粗末な杖で
渓谷の深さを探りながら
対岸に渡り
平らな岩の上に荷物を置いた

紅葉は始まったばかりで

枝は葉を乗せて
上下に ゆったりと揺れ

葉は揺れながら 左右に小刻 ....
月よ お前様は 自ら輝く事も出来ない身の上だと言うのに

借り物の服を着て

ものまねの明かりの下に 私を座らせて この めくるめぐる思いを

ただ 寂しいよ と一言だけ 言わせて 癒 ....
やっと今日の仕事が終わった



選び間違えた 水の様なアイスコーヒーを飲み干して外へ出る


工場の騒音のなかで暮らしていると帰る頃には
虫の音なのか 耳鳴りなのか全く区別がつか ....
見上げた灰色の空に

風が答えるように 霧雨をよび込む

屋根岩二峰

小さな張り出しの下にたどり着いても

漂う水滴から 逃げる事はできない


吸う息も 吐く息も
踏みしめ ....
中速 4時間タイマーで
ぐるぐる回っている扇風機に 話しかけて みた

扇風機よ

ただ 回っていないで
一つ歌でも うたってみたらどうだ



首を縦に振った


 ....
焼酎を4分の1
大きな梅干を一つ

湯気をあげながら湯が 
グラスに入れられていく

ひとくち飲む

タバコも 吸う


弟の話は陽気でたのしい

兄貴を面白おかしく 
 ....
通い始めて3年になる

それなのに まだ
一葉の詩も作れないでいる

多くの写真を撮り

数え切れない程の岩や石の曲線を紙に書いたりしたが
学も無く言葉も足りない 私には


 ....
僕はなぜ こんなにクタクタなんだろう

時を飛び越えるほどの情熱で未来へ向かって叫んだわけでもなく

死ぬ気で時間のらせん階段を駆け下りて

あなたへの過ちを償って 過去から戻って来たので ....
会社での10時休暇は10分間なのだが 実際座って毎月ひとり500円の会費で出てくるお茶菓子でお茶をすすれるのは ほんの数分だけなのだが 会話は有る。

今日は東京スカイツリーのおみやげの ヒョウ柄 ....
その瞬間 ホールドを掴む ためだけに自分と闘う



俺だってわかってないんだ

手を伸ばして 失敗しても人生なんか たいして変わらないこの指で
必死で 必死で 

ホールドを  ....
満ちているのか

それとも 欠け始めたのか

空に 照道の月 有り
虫の音 ひとつ



それにしても

わざわざ 酒を盃に注ぎ
うつして

夜も眠らずに私が こうして月 ....
谷は深く 

暮れ行く透明な空


心の闇に光をもとめて 瞳を閉じる


今はただ 肩に食い込む荷を背負い


頼りない熊脅しを揺らしながら


水の流れを聞いては 

 ....
信州の夜が残暑の汗を奪って行く

アース・ウインド&ファイヤー 4番目をリピートして

三つ先の信号機の止まれが次々と青に変わり 自分の番まで来た

この心地よさ


明日も同じだな ....
地面に捨てられた
おもちゃ花火の燃えがらは思い出となり

やがて

夏の命も尽きて 
土に帰っていく

雑草に埋もれかけながら
雨の無い長い夜をすごした日々は終わり

一つ二つ  ....
僕の住む町の空は 道になっているのだろうか

アルプスを越えて一直線に 飛行機雲をのばして 飛んでくる

天気のいい日は ゆっくりとその雲を消しながら

次のアルプスを目指すかのように 飛 ....
雑居ビルのエレベーターに乗り込む老人たち
ベビーカーに眠る赤ちゃん
恐そうなお兄さん達の会話

ほとんどこの人達はいないだろう
自分の100年後には


もちろん私も無機質な身体となっ ....
北と南の別れ道で
南に向かう理由は
誰にも秘密にしていた

いっきに 林を抜けると
町の灯りが広がり

右回りの緩やかなカーブで
あのありきたりな言葉が
言える瞬間が 好きだ
ヒマワリが咲いた

この幼き大輪は今日も探している。
自分の振り向く方向を

ヒマワリが咲いた
もうすぐ夏は終わるのだ

こっち、こっちだよ
と私は 東を向いて太陽を指さししてみた。 ....
イタリアの空を見上げた夏も、すでに思い出

大理石造りの建物の前で ニセ物のサングラスの束を売り歩く怪しげな商人がいたり

客を引き止めては 買えと迫る 石畳に並べられた絵はいんちき臭くて
 ....
僕は会話の無い世界に生きている

こだまさえ もどってこない心の叫び

僕は 感動的な世界に生きている

しかし共感する者はいない
僕の日常は 孤独な独り言に支配されている

だから ....
ここには
小さな岩の塊と 冷たい流れがある

登って岩の頭に立つ
柔らかく乾いた苔のジュータン

その邪魔な苔を無残に剥ぎ取り川に捨てた

何千年もの間 誰にも触れられた事のない世界と ....
今年も帰って来ないか。
と、隣り その隣りの家の 墓掃除に来たと言う。

ボトルの水滴を拭き取り
口に含み微笑む

恋しくて
無言のままに 人恋しくて
老いたその指で 草を抜く
ぎへいじ(52)
タイトル カテゴリ Point 日付
落葉自由詩15*12/10/6 20:15
仲秋の夜に自由詩17*12/10/1 20:55
駐車場の月自由詩13*12/9/26 5:35
マツムシ草自由詩9*12/9/23 12:41
夏ばて自由詩5*12/9/20 6:27
兄弟自由詩11*12/9/16 21:30
渓谷の一葉自由詩9*12/9/15 11:22
タイムトラベラー自由詩5+*12/9/12 6:11
そして今日は自由詩4*12/9/10 23:11
ホールド携帯写真+ ...5*12/9/7 6:21
車中泊自由詩3+*12/9/4 22:29
石灰岩の谷に生まれて自由詩5*12/8/31 6:27
アクセル自由詩3*12/8/29 23:13
コスモス自由詩5*12/8/28 21:49
飛行機雲自由詩1*12/8/27 7:03
100年後自由詩012/8/26 6:12
夜景自由詩2*12/8/24 0:18
ヒマワリ自由詩5*12/8/22 0:06
路上画家の風景自由詩3*12/8/19 6:58
僕は会話の無い世界に生きている自由詩1*12/8/18 0:01
柔らかく乾いた苔のジュータン自由詩3*12/8/16 22:23
盆花自由詩5*12/8/15 12:40

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