わたしのしらないところで
花は咲き
花は枯れ
窓の外を見る
自転車が通り過ぎ
その瞬間
焼き付けられた横顔を背景に
絵はがきが届く
宛名はわたしのしらない名前
....
柔らかな白紙が
一歩ごと
白さを増し
やがて
新雪の上の足跡のように
言葉だけが残る
歩道橋の上から
あなたの生まれた
病室が見える
夜を越えるたび
淡くなっていくその ....
どこかの
寂れた海岸で
練炭を使って
死んだ人がいた
夜寝床について
一日を振り返る
ほとぼりを使って
その人を
火葬する
根を
泥土と
苔を使って ....
新しい付箋を買いに出かけた
道すがら
ほろりほろりと
煙が立ち上っていたので
立ち寄った
少年がたくさんの栞を燃やしていたので
一枚もらった
少年は
本を持っていないと ....
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