口数の少ない
鳥の姿を探して
見上げれば
冬の朝焼け
冷ややかに燃え
寝起きの木々が
頬を緑に染め
はにかみ
目覚めたばかりの
空に描かれた絵は
またたくまに
太陽に消された
....
遠い思い出と同じように
唐招提寺は雨に濡れていた
門をくぐった瞬間に
眼に収まる美しさは
何ひとつ変わらなかった
ここでは時間が進みようがない
冬の冷たさと雨の湿りがはりついた柱
息を止 ....
後悔が
濡れた路面のように
いつまでも乾くことなく
頭の隅を
ひんやりと濡らしている
しばらく晴れ間が続いて
乾いたと思えば
また雨が降る
路面に反射する陽射しに
眼を突かれ ....
一日の仕事に
倦み疲れ
冬枯れの道を
ひとりゆけば
たそがれに灯る
寒椿
夢の中で
パーティーに出かけて
来ているはずの彼を探した
部屋はほの明るく
音はない
彼によく似た人が
何人も現れるのだが
みな少しずつ違っている
どうして見つけられないのか
自 ....
眼を開けると
ほかに乗客はいなかった
確かめたはずが
行き先を思い出せない
どこから乗り
どれだけ乗っているのかも
東側の山のふもとだけ
西日が射し込んで赤い
バスは進 ....
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