思考ノ竪琴 、〆/ひだかたけし
 
人に棲みつく悪の夜夢の響
同仕様もない重しと成りて
決して過ぎ去らない恐怖
他人の助け最早在り得ず
もうとっくのとうにして
絶望に絶望し諦め切り 

尚も瞑目ノ内に いざや
何とも懐かしの光点
思考運動奥処浮き上がり
どたばた忙しい日常から
ふと沈み込む至極平静へ
自らの情念を一旦仕舞い
からっぽうのっぺらぼう

くるくるぐるぐる
廻る廻る強度増しつつ
自らに命じ意志を結べば
思考の絶えず脳髄抉る感触
まはりながらまわりながら
活動する思考知覚の捕捉する
遠い遠い貴女方の御許宿る影

エーテル体に響き入る写像意志の
ちんどんちんどん自ら在らしめんと
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