詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
胸のうちに、
これほど多くの思いが入ってくるはずはあるまい。」
(現代語訳=三木紀人)
というのがあるんだけど
最初のものは、第117段からのもので
それにある
「心はかならず何かをきっかけとして生ずる。」
という言葉は
ゲーテの
「人間の精神は万物に生命を与えるが、私の心にも一つの比喩が動き出して、その崇高な力に私は抵抗することができない。」
(『花崗岩について』小栗 浩訳)
といった言葉を思い出させたし
あとのものは
第235段からのもので
それにある
「鏡には色や形がないので、あらゆる物の影がそこに現われて映るのである。
鏡に色や形があれば、物影は映るまい。」
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