詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 

ヴァレリーは、語と語をつなぐものとして
「自我」というものを捉えていた
あるいは、意味を形成する際に
潜在的に働く力として
「自我」というものがあると
ヴァレリーは考えていたし
カイエでは
本来、自我というものなどはなくて
概念と概念が結びついたときに
そのたびごとに生ずるもののようにとらえていたように思えるのだけど
これを思うに、ぼくのいつもの見解は
ヴァレリーに負うところが、多々あるようである
しかし、そういったことを考えていたのは
何も、ヴァレリーが先駆者というわけではない
それは、ぼくのこれまでの詩論からも明らかなように
古代では、プラトン以前の何人もの
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