詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
だが
ただ歩くことだけでも、とてもスリリングなものである
身体を回転させたときの景色の動くさまなど
子供の時に乗ったジェットコースターが思い出された
ただ階段を下りていくだけでも、そうとう危険で
まあ、壁との距離がそう思わせるのだろうけれども
顔に目があったときとは比べられない面白さだ
左右の目を、チカチカとつぶったり、あけたり
風景が著しく異なるのである
顔にあったときの目と目の距離と
肩にあるときの目と目の距離の差なんて
頭ふたつ分くらいで
そんなにたいしたもんじゃないけど、目に入る風景の違いは著しい
寝る前に、ちかちかと目をつぶったり、あけたり
1つの部屋にいるの
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