毎晩のように潜水をする どこまでもわたしのことを忘れずにいて
風が強く吹いていたから心まで震えていてもおかしくはない
縄が切れた首吊り月のころんころん転がってゆく先の湖
黒猫を振り回している友達と目を合わせないように歩く
容疑者は「月がきれいですね」などと供述しており
日記には月齢を書く欄がある そ ....
目を瞑り月の女の名を呼ばう 指に安らう蛾のやわらかさ
梟の灯りを頼りに船は進む 翼は煙 心は砂糖
銀の盆 兎が行き来するたびに紫色の林檎が落ちる
不死の父を時計の中に閉じこめて蠢く鍵 ....
秋風に
どうしてか白き花咲く蕎麦の花食料になる花は素朴だ
萩の花庭に散りいてゆうこくの秋風が吹き妻と帰宅す
ローマ書を書き写しつつ楽しみて次は更級日記写さむ
未来には何が待つか ....
さわやかな朝さわやかになれずにぼーっと見てる空中のひび
朝の風胸の毒素を吐ききって濁る自分を脱がせて剥いで
丸もる身体空いた頭は寝不足あと一寸の涼をただ待つ
車道から通行音だけ響いて ....
梨を剥く間にバスは図書館へ 風の果てには悪魔が待つ
司書の目を盗んで書架を渡り歩く 本は野菜のように選ぶ
ノートにはただ星屑が並ぶだけ 孤独を星の言語で記す
錆びついた巨大な鋏が待ち ....
知らない事は多いけど解るのよ世界が悲しみだけでできていること。
母となり女を捨てた哀しみと 幸せそうなオルゴールメリー
泪眼の「生まれてくれてありがとう」、「産んでくれて」と返す気 ....
人間の詩人でも 時間が自由な夜は魔法使いになりたい。
恋しくて雨のソーダ水飲み干したはじける泡よ恋しくてまだ
ものがたり、は続いている泣きながら夜そして昼あなたの時間
たわいなく戯れ過ぎる風としてもふりむかないで首筋にただ
....
すぎてゆく光の指に思い出す斎場の冬の風ひとかけら
死にたいか死人でいたいかどうなのか急かしつづける夜の水たまり
おまえにも俺にも指が十二本打ち寄せる泡す ....
水死体すいしたいって言ってるけど避妊すべきか考えている
水族館すいぞくってだれだろうできればぼくを愛してほしい
てつさびのにおいがするねむかしわたし植物園で死んだとおもう
雨のふる遊 ....
秋のある日
日本には目立つものが3つあり震災円高なでしこ・ジャパン
妻とともなでしこジャパンを喜んで秋の一日は爽やかなりき
清潔とは一切を拒否しつづけそして不満がないそうかも
....
勤め帰りのバスはゆりかご、まどろみの中で 死ねたらいいのに
血の通った肉体で走る 幼い頃の私にならない為に 危機から走る。
青空に 一抹の雲が 光断ち わずかな未来を 奪って笑う
流れゆく 心の川を せきとめて 悲しみのダムが 溢れて落ちる
つながって いるとわかって メールして 見えない心と 何を欲すか
猫みたい まどろむきみの横顔は
誇り高いのにやたら無防備
午後の風がきみの香りをはこぶから
ぼくは蜂になる ちいさな蜂に
きみのこと、理解できるっておもわない
だけど知りたい 手 ....
トモダチに
なれますように
いつの日か
もっと上手に
「笑う」練習
入浴剤選んでレジで引き返す声に出てた孤独に負けそう
入浴剤選んでレジでこれください声出した孤独に負けない
これもまた一つの機械と思わせる眠れぬ夜に目線を下ろし
田の寂しときに帰省し眺めればハローワークに行かぬ案山子が
一本の矢の如くにアキレスを、あのアキレス腱を、刺せ目線!
むきだしの意 ....
どうすれば眼からビームが出せますか
おでこじゃなしに
ポーズもなしに
とりあえず使い捨てでも結構です
翼をくださいお古で良いので
目に見えぬ宝があると云う ....
【波打際】
恐ろしき夢の波打つ水際に幾歳月か浸されてのち
空は黒 月は蒼白 水は黒 他には私が一つ浮かぶのみ
楼閣は空を優雅に遊泳す 伸びる廊下の果ては砂漠か
鹿の角生やした犬が水辺から呆けた ....
世の中は常にもがもな渚漕ぐ一反木綿の綱手かなしも
御垣守衛士のたく火の夜は萌え昼は消えつつものをこそ萌え
憂かりけるひとを初瀬の山おろしよ禿げし彼とは思わぬものを
わたの原漕ぎ出 ....
傘も無く着る服もなく靴もなく さびしい右手と左手がであう
雨降りの日には出掛ける少しだけよそよそしい町で手を繋ぐ
あまりにも遠くて帰れない夢を手招きしているさびしい右手
飲み込んで 貴方に伝わる事も無く 残るは沈黙 。
約束の荒野にてマナ摘む人よカニバリズムの禁忌とは何
わが前に門扉は閉ざされゆく次々と門扉の中に門扉の目眩
そのとき天使も悪魔も御亡くなりエデンの園には瓦礫花菱
永遠の樹木が枯れる時の ....
....
みどり児と会話してゐる猫がゐるくだらないこと話すんぢやない
生温かき血潮のごとく溢れ出る妻の暴言猫に食はせろ
水溜まりへ金魚放つ誘惑に負けさうになる三十五の夏
主婦たちは口に体裁詰め込んでザクロのような笑い方する
歩道から車道に伸びた我が影が轢死しているそんな日常
振り向けば職場へ続く一本の鎖に見えし雪の足跡
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