夜の泣き声が聞こえてくる夜
思い出の砂粒がチクリと痛むけれど
どうかその表面に落ちたまま
ふたり、世界のすみっこに隠れて
確かめる、その温度、指先と
ハーブの浴槽を
かき混ぜて
えらいねえらいねって
かき混ぜて
わたし、泣いてはいませんでしたか。

いいえ、それでも笑っていたんだと思います。
はらはらとこぼれていくのです。
あの小さ ....
なくしたと思ってたものは
いつもそう、わすれた頃に
もどってくる。

だれかにあいされて
やっとひとつの固体になれる。

混ざり合わない
液体
飽和水溶液

再結晶

淋しさ ....
うん。
あのさ、ペットボトルを傾けるとわざとらしい色をした液体は
水平方向に、傾きます。ように、見えます。
完璧にね。
ああ、文句の付け様もなく!

従うことにも、騙されることにも
悔し ....
めらんこりーなんて
可愛いよ。

ほら、べっどの傍らにある
それでしょう。
ほら、ねこがにおいを嗅いで、でも離れた
それでしょう。

つまみあげ、捨てようとしたその時に
ひろわれるの ....
雨の中
けたたましくロックンロールをかき鳴らしてよ。
どこかなつかしく、憂うつな景色を
打ちのめすみたいに。

泣きたくないのよ、今は。
ずっと夢中でいたいのよ。
そうして忘れていきたい ....
痛みを持ち上げて
此処に立っている
へしゃげた首も
切り落とせぬまま

鉄のような水面
なにを想う その心

芯から病んでしまった
水無月の花々よ
重たすぎる花弁を
いついつ散ら ....
暑苦しくて、雨の音が
夜がぼやけた夜に
私を連れて行く。
とろりと濃密な空気。

重ねゆく日々に
適応して
今は今を愛して
一つの夢に、魘される。

咲いた花が
その後どこに行く ....
きっと晴れる。

透明なフィラメントが
{ルビ雷=いかずち}を呼べば
この曖昧な空の色は弾けて

晴れる。
きっと晴れる。
しだれた、ほそい葉の隙間に
隠れていたい。

眩しい光に
何度呼ばれても。
夏の訪れるそのすこし前に
乳首のあたりの産毛を剃ってみたのは
それはわたしが見事なまでに
馬鹿な女だからです。

浴槽でマリリンのことを考えて
女として生まれてきたことを
面倒くさいと思 ....
陽のあたる坂道で
ふと立ち止まる私を
だれも見てはいない。
木々のさやぐ音だけを
聞いている。

此処にはなにもないけれど
ゆらゆらと揺られて
生きてるんだと思った。

ゆるい風が ....
海岸を歩きたい。
サンダルを引きずって。

花を育てたい。
誰にもないしょで。

野菜ジュースが飲みたい。
もろもろモロヘイヤの。

ペットボトルの中の
気味の悪い色をした液体が
 ....
「苦しい」の言葉一つで
泣きそうになるよ。
この手は
いっつも伸びきって
ながれる水もすくえないから

連れていって。
「なんでもないんだから」と言いながら
むずかしい話は、今日はよそ ....
いつものように
なんでもない顔をして
駅で電車を待って
頭ん中だけで
僕は僕を{ルビ撲=なぐ}っていたんです。

ふとしたことで
泣き出しそうになって
そんな自分がどうしようもなく
 ....
汗を、かいていました。

あなたがわたしに触れたことや
愛を体現したこと
ひとつずつ、思い出して
泣くことだけは、回避して。

窓を閉め切ったこの部屋に
どうしてか風が吹いて
乾いた ....
下ばっかり見てた
誰もいない
静かな空間に
  パチン
蚊を殺そうとした
手拍子の音
響いた
首が痛い

蚊は
視界から消えた
湿った夜の空気の中を
飛び回る夏の虫が疎ましい
希望も絶望もないのに
月明かりが仄明るくて疎ましい

波音のひとつもない
此所が海辺だったらいいのに
そしたらきっと泣けるのに

ひと ....
ああ、この手だ。
この手が、この胸に大きな波を呼ぶ。
私をふるわせる。
綺麗な手。
大きくて、がっしりしていて。

齧るように
親指だけを握ると、少し笑った。

ああ、この手だ。
 (たとえば今のあたし)
夜は
黒にかぎりなく近い、青
朝は
暗い白

影で笑ってた

あたしがセルリアンブルーだったころ
あたしがしゅいろだったころ

猫と毛玉ばっかりころがし ....
眼鏡をはずしたばっかりの
ぼやけた視界でも
もう怖くない。
深く息を吸って
そのまま背伸びしてみる

花々の呼吸が聞こえてくる
春はざわめく

不安定そうに揺れて
それでいて、なに ....
何も無いこの毎日に
今もときどきランドルのことを
思い出す。
ランドルの描いた
あの冷たい森のことを。

堅固すぎるビルとビルの間で
わたし、記号に埋もれて
貴方を待っていた。

 ....
濃密な波に揺られる
ひとり
ごく自然に
指が落ちていく
言葉を持て余したまま

閉じた目蓋、唇
ぜんぶ、あなたへの思いに
結び付けて
深く、息を吸って

その声で
名前を、呼ん ....
猫が飼い主の帰りを待っている
私の知らない飼い主の

雨が降って
洗濯物が濡れる
だらり、と泣いた
身体が重い

着古した地味な服を着よう
興味の無いテレビ番組を
とりあえず、つけ ....
シャンプーがたまたま切れて
あんまり好きじゃなくて余ってたシャンプーを仕方なく使ったから
今日は一日中、いつもと違う、慣れないシャンプーの匂いが
此処にまとわりついていた。

スーパーで、ふ ....
何か間違った翌日の光の眩しさ
カーテンは必ずしも薄緑色で
少し笑って
決意した時の喪失感
自我が縦に割れていく

空間が一つの存在を許すシーン
数秒間だけ、ヘリウムのちからに乗った

 ....
どろがはねて、さ
わらってるけど、さ
おちてくでしょ、ぜんぶ
だけど、ときどきないたり
でもやっぱりわったり
するのはなんでかな。

あした、ここに
そらいろのバスがくる、よ。

 ....
午前五時の部屋の色で
もう汚いなんて思わなくなった
温度も感触も持たない光
わざわざ君が伝えようとしなくても
もう分かってるからいいよ

せっかくいい気分でいるんだから
その口閉じろよ
わたしはいつもそうだよ。 また、浴槽にヘアピンを忘れた。
浅い位置で、小さな褐色が揺れてる。

やっぱり、まだ無理だ、私。
かのこ(198)
タイトル カテゴリ Point 日付
ミッドナイト、指先未詩・独白105/7/5 2:20
てのひらほどの世界自由詩505/7/1 16:57
再結晶自由詩105/7/1 16:56
遭難未詩・独白105/6/27 2:02
めらんこりー自由詩405/6/24 10:44
ロックンロール。自由詩505/6/21 20:28
微熱自由詩605/6/20 7:26
夢現未詩・独白605/6/16 3:44
発電携帯写真+ ...205/6/11 22:39
観葉植物携帯写真+ ...5*05/6/10 14:51
ぴぴっぷどぅ。自由詩205/6/6 1:05
心療内科へ。未詩・独白305/6/5 17:55
生活自由詩805/6/1 5:07
だらしないかも知れない。自由詩505/5/30 0:46
不器用自由詩505/5/23 8:00
カーテンの裾自由詩305/5/23 7:52
パチン自由詩205/5/20 5:08
波音自由詩305/5/3 19:43
齧るように未詩・独白505/4/17 3:40
えのぐ自由詩105/4/15 5:35
背伸び自由詩005/4/15 2:51
ハシッシュの森。自由詩105/4/8 13:16
すくう手未詩・独白205/4/5 10:49
どうでもいい。自由詩105/4/3 5:05
いつも私は、些細な事ばかりに未詩・独白105/3/27 23:10
雲のかたまり自由詩105/3/24 6:35
こんとらすと自由詩305/3/21 1:34
眠たいジャック未詩・独白105/2/18 6:40
戦略負け。未詩・独白105/2/14 3:59
4本目自由詩105/2/13 20:06

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