ゆっくりと立ち昇っていく煙草の煙を
いち、に、さん、し、と雨が打ち消して
季節外れの、風鈴の音が聞こえる
りん、りん、猫が顔を洗っている

頭の中で
ろいやるみるくてぃーが
湯気をたてて ....
鉛色を映した屋根を幾つか越えて
街に響く、錆び付いたレールの
軋む音、
今日も始発の出る頃
そこでやっと夢から覚める
床に就く

この街に雨が降ったのは
何日前のことだっけ

高層 ....
見上げれば暗い空から次々と注ぎ落とされる
雨、
のようなピアノの音

close your eyes…
  深い溜め息のような声

今はこの歌だけに身を委ねる
雲間に隠されたままの太陽 ....
あたしなんか、早いとこ死んでしまえばいいのに
そんな言葉に音楽がそっと寄り添ってくれる

この部屋はむせ返るような君の匂いに満たされていて
あと3秒もすれば鼻が慣れて、何も感じなくなるだろう
 ....
濡れた髪が身体に触れないように
これ以上汚されないように
自らの体液だけで身体を洗う
誰とも交わらない性交をする

一度汚れてしまえば
構わずにいられるのだろうか
同じ匂いがするこの海で ....
自転車で坂道を駆け下りて
夕暮れ前の公園を抜けていく
誰もいない遊園、鉄のにおい
藤の花がぱらぱらと
わたしの背後で落ちていった

同じかたちの宇宙が隣町にもあって
昔はよく友達に会いに ....
冷たいけれど、やわらかくなった四月の夜風が頬にあたる
あなたにもらったこのカシミヤのマフラーももうしまわなくちゃ

消えてしまいそうな、薄紅
二十歳の春が来て、それはあなたと出会って三度目 ....
明日の午前二時
天体観測に持っていくもの
ライトとポータブルラジオ、ノートと鉛筆、絵本、
紅茶の入った水筒とお菓子は500円まで、それから、


君は去年にも着ていた、あったかそうなブルゾ ....
熱すぎて飲めない
ミルクとぐるぐるかきまぜ溢れそう
カプチーノのカップが目の前で
ぐらり揺れた

そういえば、ここのお店で前にも仲直りしことあったね
仲直りして、あたしの好きなタルトをはん ....
お母さん、いつからだったっけ。
家の冷蔵庫からパックの牛乳は姿を消した。
森永の事件の所為じゃない。値段が高いからじゃない。
お母さんが働きに行くようになって、お兄ちゃんが東京に行って、あたしは ....
こころにとまった鍵盤が
偶然、泣きたい気持ち

降ればいいのに
アスファルトの上
からころ転がって
軽快な音跳ねる

割れそうな色だ
いつもどうしようもなく
触れたくなる透明だ
 ....
てぶくろ。モッズコート。
猫色の毛。革製品。
なんでもいい。あったかいもの。
骨の芯がやわらぐように、ラベンダー、ローズ、花梨、スーッとする匂い。甘く拡がる匂い。
アロマ。揺らぐほのお。
静 ....
小さな袋をふたつ
満たした春の匂いは
衝動をさらっていくのには
充分すぎる

一度に押し寄せてきても
ゆっくりと迫り上がってきても
最後は同じところに
吸い込まれていく

ねぇ今
 ....
皆揃いに揃って終息へと向かう
くたびれた終列車に乗って
規律正しい、けれど弱々しい
街灯の列へと突っ込んでいく

こうやって抜けていく
現実を
夢となぞって
ねえほら、もうすぐ

 ....
ねぇきいてね
だれもみんなわたしの元を去ってしまった
そのあとでしずかに寄り添って
落ちてくる空の下で

いつもたよりなくって
いつもだらしなかった
雑然とした日々のなかで
たしか、ち ....
狭い食卓いっぱいに広げられた
トースト、スクランブルエッグ、母の匂いのする林檎も
気付けばもうとっくの昔に消滅していた
いつかの朝陽は今、閉じられようとする夜の瞼にすり替わり

夕闇の立 ....
さっきから押し黙ってばかりいる私の
ばかばかしい淋しがりに気付いて
なお不安定な距離感に揺れながら
愛にまかせて微笑っているのはふたり

希望に恐怖が染まる頃
恐怖は色鮮やかに花開いて
 ....
弦の錆びたかわいいギターは
今も部屋の隅で無抗力なまま
あたしの声は小さく
でも幾分か端正に響く
少し、寒さを思い出させるあの感覚
甘ったるいホットチョコレートは
少しずつ温度を失っていく ....
音楽はときめき
音楽は淋しさ

その肩からちゃんと
体温を
感じられるように
限りなく寄り添っても
埋めることは出来ない
重なっても一つにはなれない
多分一生どうすることも出来ない
 ....
にじゅうまるの太陽
みなもにうかぶ
光と風のたわむれ
最後は月の花

ぎんいろはしずんでいく
しずんでいく
もっともっとこころの底
見えなくなるくらい
しずんだら
照らしてくれる
 ....
思わず息がこぼれて
あたしは君への思いで
この身体は調律される

もうすぐ終わっていく
そんな情景、君がいない
君の追憶には存在しない
特別でも何でもない
あの丘にまた、夕暮れが降る
 ....
あなた
こんな夜に
あなたの強い視線を
その行き先のことを
ふと考えてしまった
私は、ね・・・

「私は、ね・・・」
口にしかけて、やめてみた
伝わるなんて、理解されるなんて
はじ ....
ねぇ会いにきてね
朝陽の中を
風と足並揃え
木漏れ日を走り抜ける
切り揃えられたリズムで揺れる
電車に乗って
会いに、きてね

眩しさに目を細めて
それは微笑みにも見えて
優し ....
泣くなって言ってくれた
君の
笑顔はもはや今
輪郭だけ
最後の剥がれてしまいそうな
一枚の組織だけ

単純に君のぬくもりが欲しかった
、わけじゃない

君の誇りになりたかった
君 ....
相変わらず正しい香りを放つ
あなたの髪の先、流れる
膨大な時間に
この手で幸せを掴むことはないでしょう
ただ目を閉じて、目には見えないものを
感じ取る
そっとうなじに鼻を近づけた
今この ....
最悪と最高が互いに主張し合って
あたしの心をとらえて離さなくなる
このまま何処までも行ってしまいたいと
願っていた、今も確かなことはただそれだけ

そして一枚の画が拡げられる
この夜を伝う ....
吐息でしか呼ばれない名前があって
あたしはこれまで彼女の手によって
数々の眠れない夜を越えてきた
けれど、近頃はめっきり彼女を必要とせず
夜をやり過ごせるようになった
おそらくこの先、大抵の ....
明日から
あなた以外のものを
ちゃんと直視できるだろうか

あなたがいれば他に何もいらないと
それが美しいことであるかのように歌われていた歌が
今では怖くて仕方がない
その身体はどこまで ....
まっくらな子供部屋で
チカチカと色を変えて呼んでいる
淋しい映画を今夜は取り出す
黒いシフォンのスカートも
全部脱ぎ捨てて毛布に包まって

甘く馨った果実が
酒樽の底に沈んで眠った

 ....
夜色のドレスを纏って
等身大の鏡に向かった
そこに鬼が立っている
奇怪な言葉でしか
表現できない
気持ちを持った鬼

涙を持って行ったのはだれ?
涙を持って行ったのは

朝になれば ....
かのこ(198)
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波打ち際で自由詩108/5/1 22:34
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手紙と星の話自由詩308/3/16 7:09
カプチーノ・カプチーノ自由詩408/3/10 3:23
福豆散文(批評 ...108/2/4 3:47
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