20世紀末、夏のうた
永遠に閉じ込められてしまった
チューズデイ・ガール
飛んで行きたくなるような青空
世界の終わりを想う
繰り返しのウィーク・デイ
ギターと末法思想と
煙草とミルク ....
こころは今、穏やか
あの頃にみた
夏の坂道で
一斉に立ち昇る綿毛
花が行く、
歩き急がないで
だけど抑えられないのは
高揚
澄んだ青に
フォルテを描く
ステップを踏む、つま ....
同じ仕組みで造られたからだで
まったくちがう考え方を持って生きて
だけどたった一つのイヴから分かち合った
細胞を寄せ合って眠るのだ
今から、地球の裏側にまで
君を迎えに行くよ
だか ....
左肩が私の涙で
だらしなく濡れた
襟ぐりの広いシャツを着て
平然と煙草を吸う君を思い出す
例えばこの部屋の匂いを
消し去るものは何だろう
通勤電車の中で見た
風が変わるのを心待ち ....
首筋から
次々と抜け出していく
幾筋もの熱の糸たち
あなたを前にほどけて泣いてしまう
朝が来たり夜が来たりするたびに
揺れているのだきっと
いつだって泣く準備はできていたのだ
だから ....
また去年と同じ
桜が咲いたらあの公園まで歩こう
伸び過ぎた黒い髪を夜風にさらし
二人どきどきしながら、少しずつ触れ合った
そんなことを思い出しながら
この坂道を踏みしめ歩く、一歩、また一歩
....
おやすみを言う
電話を切るときが
いつも大人になれない瞬間
好きの気持ちに
理由なんかいらないと言ったのは
確か、君の方だった
冷たくて無愛想なホテルのバック通路にまで
複雑に入り組んで伸びてきた
甘い生クリームのケーキ
黒いのはダークチェリーで
緑色のはマスカット
桃と、アプリコットと苺と梨とフランボワーズ、ラズベ ....
いわゆる「イカれたポエム」ってやつを書けなくなった。
いつからかな。抗うつ剤を必要としなくなった頃からかな。
あるいは、レディオヘッドを聴かなくなってから。どっちもかも知れない。
そしてレディオ ....
真っ黒なレイチェルの瞳の奥には
何が映されるのだろう
秋の深まる頃だった
色づいた木の葉があふれる坂道で
これからを知らないけれど一歩一歩踏みしめて歩く
腰まで伸びた長い髪を奇矯とも言え ....
春は世界を知る
君のその高らかな響きを
からだいっぱいに吸い込んで
散りいく花に感じながら
それさえもきれいなのだと
こころを知る
きれい
駆け上がり舞い上がり
のびた夏草を千切る ....
まんまる まっくろな 瞳をした
仔犬がいっぴき
私の方へと近寄ってきて
くんくんと においをかいだけど
残念そうな顔して 行ってしまった
ちがうかったみたい
私じゃなかったみたい
....
雨を辿り歩く夜
立ち上る想いはもう何処か紛れてしまって
あの日も、あの日も数えてみれば
多くの願いは晴天に、叶っていたのだと知る
そして今は温もりだけ
笑顔も泣き顔も打ち消されて
ひと ....
なぁ
青春とは短く儚いものだったな
桜の色なんて
ああ
暑いな。ここは少し
木々の葉がさやぐような声が
ざわめかしい、朱夏
風の声なんて
ああだけど
底無しに ....
コロイドを写し撮った
君は
クリアトーンが歪む世界で
情景美ばかりを歌う
コロイドを写し撮った
咲くコロイド、還っていく、コロイド
幾つも落ちていく{ルビ双子=そうし}の星
....
どうでもいいのだけれど
死んでくれとお願いされたら死にたくなる
罪を赦されたような、ふしぎに愛しさを覚え
そして、泣きたくなる
独りという存在で
猫になりたい、と漏らすと
だめだよと、 ....
九月にあらゆる"pain"を感じる
風が吹くからかも知れない、君が歳をとる月だからかも知れない
思えば私が18の歳を数えた四月
私が知ったのは君、君は世界の美しき
....
ここに生活を隔離する窓と音楽
春も夏も秋も冬も
気付けばもうこんな年寄りになっていた
春も夏も秋も冬も、すべて見ていたようで
本当は何も知らなかった
知らないで恋していた
知らないすべてに ....
よく晴れた日 五月
赤い車いすの 青年
「コンニチハ」、と
片手を上手にあげて
僕に挨拶してくれた
横断歩道 信号の青は
鮮やか過ぎた 心
渡っていく 盲導犬
みぎヒダリ、確認した ....
このちっぽけな{ルビ地球=ほし}では
いつも私が最後の女なの
ストーリー性にばかり期待して
くだらなくって厭だった
それが少女という夢だった
頭がぶっ飛んでしまうくらいに
遥か世界を越えて
愛しさを知った
眩しい真っ青な暴風に巻き込まれ
未熟な翼を拡げたのはいつだっただろうか
今ここから見える
たとえば雲の向こうの光は鮮 ....
分かり合うことよりも
同じ空気を吸うことがしたい。
あるいは空気を吸うことも忘れるほど
誰より傍にいて
呼吸を感じて、体温を、脈を、感じて…
言葉は
二人の間にただ浮遊する
辿り着く ....
春はなんだか
息苦しいのだ
花のかほりが
痛々しいのだ
少し、夜が短くなっただけ
当惑する私を
あなたは涼しげな顔で見て
そして、微笑んだ
惜しみなく手を伸ばす癖を{ルビ解=ゆ ....
春の日をおもいだした
時間の流れをしらない午後
黄色っぽい、浴室のライトが
人肌の温度をもった水を
きらきらと透き通ってみせた
やさしさに満ちた浴槽で
ベビーパウダーが舞いあがった
....
夜は、一人じゃない
ということを
想像する
暗幕を越えた、その向こうに
あなたはあなた自身で生きて存在する
時空の法則に逆らうことなく
今を{ルビ一滴=ひとしずく}、一滴を飲み干し ....
白紙のフォーマットを前にして
戸惑う僕が
ひとつだけ思うのは
lovin' youを歌い上げたい
去年の秋だった
家に帰るとだれもいなくて
皆どこで何をしているのかもわからなかった
....
厚化粧は可愛くないと
男は言った
煙に巻かれたように
ぼんやりと思い出す
白いスプリングコートが
包むのは私一人
妙な孤独感を抱えて
幾分か優しくなった風を吸い込む
単に眠たい ....
例えば、言葉などは必要なくなって
音楽で会話し、時間の流れを数える
例えば、分かり合う必要もなくなって
同じ空気を吸って生きていく
そう、規律正しい鼓動と
少しずつ滅びては
更新されて ....
*
三月の寒すぎる日。曇天。
家を飛び出た時には、雪すら降っていた。
今は、部屋の灯りは点けていないから、雲間から漏れてくる光が僅かに部屋を照らすだけ。薄暗い日。
aikoを部屋いっ ....
嘘くさいキャラメルは甘ったるいばかりで
それで退屈をしのごうとしているのね、きっと。ばかな女。
春はこの街にも雨をもたらす。
屋根の上のカラスが濡れて鳴いている。
しっとりと、痛く
そし ....
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