いつも
手を伸ばす
その、チープさ
あなたは
最新の通信機器を
持ち歩いた
私を愛した
東京、
地を踏む足は
いつもと何も変わりないのに
あなたといると私は小さい
人込みに埋 ....
すこし眠り過ぎた
朝に
髪が嘘を吐き
窓辺の虫が鳴いて。
すこし眠り過ぎた
朝は
皮膚が剥げる
がんばれ、薬指。
潰れちゃうその前に
暑さを遮るように
通り雨が降ってき ....
お手軽な女になって
誰かに拾ってもらおう
嘘吐かれるなんて
容易いことだし
街頭で
手を繋いでる
それだけでいい、から
可愛い女を疑っている様子は
なんだか可笑しくって ....
彼女がまばたく度に
その瞼に乗せられた青が
小さく揺れ
私は時折それを盗み見るようにしながら
彼女と彼の話を聞いていた。
車内には遅帰りのサラリーマンたちが
妙な静けさとともにか細い息をし ....
カカオの濃度が高いビターチョコレートは
とろりと濃くて、苦くて
その分、甘くて
癖になる
目尻にこびりついた塩分
投げ出された、ベッドのうえ
海みたいな
もう、此処でいい
....
何も考えずに、部屋で一人
深夜TVを見ている
自分自身の淋しさにも気付かず
心打つ音と色と光の速さを夢見ていた
なんとなく揺らしている
生活のペースもそのまま
まるで眠っている猫
不 ....
なつかしいひとのいとしいことばで
もどろう
あのころぼくが純粋にみつめ、考えてたこと
ひどくせまい世界で、だ
もどろう
ことばがもっているタイムマシン
ぼくはみすててきた、いままでずっ ....
救われようとしているのだろうか
言葉を使ったり
遮断したり
歌を思い出したりして
救われようとしているつもりなのだろうか
あるいは
同じところをぐるぐると行ったり来たりしているだけで
....
半開きの、口の中に
指を一本、ぶち込まれて
悦んで、およぐこと。
誘われて
許して、拒むこと。
夢の中で。
かよわいラビットは
あなたよ。
寒い部屋で、うごめくもの。
黒いぼ ....
たぶん400円くらいで安売りで
「 出て来いストア 」
たぶん肌触りが気持ちいいのは最初だけで
「 出て来いストアめ! 」
たぶんごきぶり瞬殺とか一生ムリで
「 出て来いって言ってんだストア ....
暑くもない。寒くもない。
あの白い大きなユニフォーム
頭の中でいま揺れている。
ひらひら。ひらひら。
足の先の感覚はとうに痺れていて
遠くの空の青、仰ぎながら
わたしを見ていてと
た ....
あれは遠い夢で見た海岸。
あの波の碧さ、あの浜の眩しさは
今もたもたれているのであろうか。
焼けたガレージの隅にあったシャワー。
広い玄関には浮き輪やボートがあった。
はす向かいの、セブ ....
それは一晩中泣き喚いた後の
空の真白
真白で無関心な、朝、まぶしくて
腫れ上がった目蓋と、熱い頬と
厭味たらしい空の
詩を忘れた
詩を忘れた
詩を忘れた
後は空白
空の
あ、この世界にはまだ
こんなに小さな膝も生きていて
それなりの格好で駅のホームに立つことも知らない
醗酵していく、あたしの頭ん中は
その疲れきった表情は
子供とも大人ともつかない
その ....
マバタキがとまんない。
もうなんにも出てこない。
えきさいてぃんぐがほしかったん。
そう、ほしかったん。
今日はもうあんたの事は
忘れてやる。
忘れてやる。
しめった部屋。
雨 ....
夜明けの鳥たちが、狂ったように群れて鳴いている。
悲しいとき、どうすればいいのですか。と訊いたら
それは致し方がないことなのだよ、と
優しい声で
言われた。
あぁ。私も鳴きたい。
灰色の群 ....
灼熱に
世界は崩れて
全てを見失いそうで
棒立ちしたまま動けず
あたしは今にも発火しそうよ
だけど炎上するならあなたの前で
遠のいていく意識に直接触れてくれたら
同じ火炎の中心で
....
つま先をそろえて
腰の位置を安定させて
白い天井を見上げ
白い光に
遠近を失う。
救いがあるとすれば
かすかにある染みが。
何故、天井に
染みができるのだろう。
とても届かないよ ....
もういやや。
もういやや。
もういやや。
もう・・・ 。
(ここで突然、私が
英語を喋り出したら面白いのにな。
何かに取り憑かれたみたいに
知るはずもな ....
幼子の泣いている君を
想像する
さらにそこにもう一人
想像する
赤い頬にはりつく
痛い涙を
拭うのはいつも
その片割れで
まだいらなかった私や
そこにあった言葉
きれい ....
「ありがとうございます」とコンビニの店員が微笑みかける。僕にではない。ただ、この人、どこかで会ったことがあるような・・・。そう思った時、いつも妙な妄想をしてしまう。もしかして、世界にはほんの数十人の ....
あまい声で
怠惰を呼んで、呼んで
とおく、遠くを見つめたまま
しだれたしっぽを揺らす
羽虫を追う
窓辺の
小さなひかり
そうだね、鎖骨は折りたくない
みんなそうでしょ、って
さびれた駅の階段を
がらんどうな夜を、駆け上りながら
窓に映る、その当たり障りのない服装や顔で
私には普通の人間を装っていることが精 ....
静寂に耳を塞いで
朝も晩もない空の色が
溶ける頃
揺らぐことに絶望した舟の上
その死んだ櫂を捨てるのよ
そうして呪いの手で
紡ぎ続ける水辺の生活
もう
進むことはおろか
水辺 ....
明け方の薄い空の下で
やわらかく湿った地面の上で
何か、いいものを見つけましたか
たとえばきれいな色の小石
たとえばいい匂いのする野草
星屑のなめらかさ、夢で出会っただれか
その眼 ....
だけど、少し顔を上げただけでだめになってしまいそうだった。
抱えた膝も、自由奔放な髪の毛も、平和を思わせるような日和の午後も
自分の意識とは無関係に廻り続けているだけの時間や、周囲の目は
本当は ....
無地のワンピースを着て
濃いめのカルピスを作った午後
汗の珠を額につくり
夏のにおいを、すこし思い出す
ベランダのコンクリートにできた
幼い模様に
ため息を吐いて
また高くなり始めた ....
そうだ。あの空々しい夜明けの日
あのひとがわたしを呼んだ
わたしはかのこだった。
今ここにはない、となりの席で
あなたがわたしを呼んだ
わたしはかのこだった。
もしかしたら、夕方5 ....
告白はしきれない!
言葉に焦がれる。
書いても書いても書ききれないし
読んでも読んでも追いつけなくなる。
まるで明日みたいなんだ。
途方もない希望と絶望が共存して
そういう永遠。
言葉に ....
本当は、踏みにじれるよ。
泥だらけのスニーカーで、悪びれもせず。
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