ずっとずっと
ひとりで泣いて
そのうち
呼吸の内側で
ふやけた答えを
そっと剥がすまで
悩まなくちゃならない
正しくなくても
残る傷跡は
時間を結んで
赤く滲んだ心を
外の世 ....
目を閉じているのに
感じてしまう
穏やかな気配
それは頬に
レコードの針を落とすような
光の歩みが
瞼を青くする
影になる場所で
隠れる前に
寝返りを打てば
会いに行ける
....
空が青いこと
水が冷たいこと
人が笑っていること
急に寒かったり
季節が隣で
急いでしまうこと
優しさの前で
戸惑う誰かの
ボタンが光ること
細かいもの全てが
クリスマスに
飾れ ....
コーヒーの後に引く甘さが
邪魔になる夕方
水を求めるように
言葉を口にしたい
そうでなきゃ
惰性で生きてしまった今日を
透明に出来ないから
モーテルの灯りより
不確かな便り
....
笑えない日も
笑いたい日も
目がなくなって
頬が落っこちて
明るい場所で
一緒に探そう
楽しいこと
嬉しいこと
同じじゃなくても
笑えるように
心は隣にあるから ....
寒くなると息が白くて
どんな悪口を言ったとしても
良い人みたいに見える
街角にイルミネーション
美しく映るショーウィンドウ
愛する人たちの声が
起毛のように立ち上がる
僕は眠たい ....
自分と誰かを比べて
育たない森の中で
迷った日々は暗かった
腕を組んだり
足を曲げたり
時間の逆へと
進みたくなる
ピカソに会えたら
僕の心は
ルーブル美術館にあるはずだ ....
約束がなくても
洗濯物が乾かなくても
希望を持てる明日が好きだ
ノートの最初に
名前を書く時のような
力が溢れて泡になる
明日になれば
それまでの記憶を捨てて
また何かを拾える ....
それは目を覚ますために
或いは目を閉じるために
厳しく優しく
時の中で口に含むもの
ほろ苦さは人生と似ていて
コーヒーの後味みたいに
黒い影を引きずり
頬が丸くなる甘さは
....
ポケットがあれば
朝と夜を
別々に愛せる
例えば
擦り減らないように
休ませてあげること
だけどいつかは
片方だけの重さを
支えるために
両手を使う日が来るなら
こんな ....
街路樹の隙間から
バス停が見える
あれに乗れば
会えるのかも知れない
曲がり道で別れた人
咲き果てて枯れた花
泣き疲れて眠った猫
日曜日の時刻表は
当てにならなくて
それより ....
遠くで感じる
君の視線が好き
どこかで別のものを
見ていたとしても
決して交わることのない
光を信じた僕は
いつか惑星になれたら
君の目の奥に
手を付いて
靴を脱ぎたいと思っ ....
天国で切れた糸が
ピアノみたいに
足を踏む
痛くはないけど
指に宝石を
残したりして
拭えない夢が
きらきらと光る
運命とは違う色の糸を
選んでしまったから
繋がってい ....
寝返りを打てば
星が消えるような夜
邪魔者になって
夢の中から
光を奪ってやる
暗い部屋には
悪いことばかり
襲ってくる気がして
枕ひとつでは
身体を守れずに
腕を ....
さよならが
折り目のない小説みたいに
積み重なっていく
その時はきっと
少しの哀しみで
瞳の色と同じくらい
光を受け取れるから
前を向けるように
全てを忘れるわけじゃない
....
目的を失くしたように
ただ帰りの道しか
歩いていない
瞳の色が
乾かなくて
さよならはいつでも
濡れた頬に
似合う指を探す
ここにはもう届かない
確かな答えに
リボンを掛け ....
一列目の私は
前を向いているのに
人に触れると
改行ばかりして
道を外れてしまう
これが文字なら
私は手紙を書くことが
出来ないだろう
最後に名前を
残すのが夢なのに
....
夜のうちに
たくさんの夢を乗せた星が
その重さに耐えられなくなり
砕け始める
朝の街で
人も光も入れ替わる前に
葉っぱの先を
濡らして消えた
ギザギザの形が
溜め息みたいで
....
桜の花びら瞳に浮かべ
透き通る君の髪の毛が
僕の世界で絡み付いた
触れてみたい
揺れていたい
風のせいにはするもんか
未来と背中に
同じ匂いを漂わせた
春の廊下ですれ違う人
....
君が振った手は
大人になったのに
星を掴むには
小さ過ぎるから
僕が見ている光は
動かずに
さよならを言葉にしない
秘密基地みたいだ
人生が二度あれば
いつもとは違う答えを
出せる気がする
力を残しておくのは賢いけれど
僕が倒れても
君を支えたいし
草の中に眠る
戦士の腕は
三日月を抱いて
不安の色を消した ....
雨が降っている間は
動かないでいよう
ズボンの裾を折り返して
恥ずかしい靴下を
誰かが笑ってくれたら
ピンポンみたいな会話で
飲みかけのコーヒーにも
負けない温かさが
胸を通り ....
いま眠ったら
きっと朝になってしまう
まだ何も変わっていないのに
爪が伸びたり
熱が上がったり
体は息を弾ませるけれど
心はどうなんだ
何も見えなくて
疲れたのかな
寄り掛か ....
胸の上に開いた鍵穴を
溶かしても透かしても
きっと涙しか流れない
遠くで咲いている花や
綺麗なものばかり見ていたし
過去の破片で指を切るような
痛みさえ周り道をする
緩いカーブの ....
陽が残る夜は
ただ照らされて
その気になるだけだ
世界と同じように
泣いて笑って
影の形をぼんやりと
なぞる風は
どこから吹くのかな
いつもひとりで
ふたりぶんの
景色を用 ....
赤い空の下で
燃えたのは何だろう
触れたくても
触れられずにいた
夢の腫れ上がったものが
夕陽なんだと思う
心臓が外側に付いたみたいに
坂道ができるわけじゃないし
こんな目 ....
キミと歩いた道
夕日の鏡に映るふたりが
そのまま波を越える時
初めて夏が来たような
錯覚に溺れて
熱くなる身体に
飲み干した炭酸の
泡が星になったから
いつまでも忘れたくはない ....
衣替えの季節になると
高校生の白い背中は
汚れる前の消しゴムみたいで
名前などなくても
世界を変えてしまう走りをする
朝が早いうちに
知っておきたい未来のことを
自転車のカゴに乗せて ....
くちばしを失くした鳥が
空を叩かなくなったから
こんなにも暗い世界なんだ
会いたい人はもういない
欲しいものはきっと売っていない
あの街ではぐれた心と
似たような色の
ミルクティ ....
今まで掴んで来た
大切な人の腕が
光を遮るから
明日は切り落とさなきゃ
さよならが通った道は
もう歩きたくないのに
どうして最後は
花を探してしまうのか
ハサミやノコギリの
....
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