街じゅうにあふれる歌が
線のない輪郭を花びらにした
それは子供の顔みたいに
温かいから色が付いたよ
優しいからサビが生まれたよ
はみ出しても行こう
間に合わなくても行こう
背中を二度もな ....
両腕が伸びたら
大きな木の幹を
抱きしめたくて
何百年、経ったとしても
同じ場所で待っていてくれたのに
忘れてしまっていた
僕はいつの間にか
人の体を抱きたいと思うようになって
両腕は ....
どこかの家の台所から
借りて来た匂いが
包丁で研がれて
僕を人見知りにする
家族のために
用意された花やカレンダー
想像が僕を膨らませたけど
その花をきっと自分では
枯らせてしまうのに ....
靴紐が指先で余る
あやとりみたいな
心臓を掻き鳴らして
誰かの視線を感じる
恋の中で蝶々結びを
ギュッとして
同じ大きさの
羽根で飛びたくて
少しでも長く一緒にいよう
シンプルな感情 ....
雨が片足を引きずっている
誰かの所へ急ぐのかな
糸みたいに絡まった過去を
身体に巻き付けて転んでも
春の目障りにならないように
雨は空回り僕は右回り
隠れていた時計の針の音が
主張を始 ....
みんなどこへ行ったのだろう
遊ぶ約束をしたはずなのに
横顔さえ見せてくれないね
花火はもう割れてしまったから
会いたい理由が見当たらなくて
夏の夜に捻った心を
冷やす方が良いの
温める方 ....
星の明かりの下では
名前がなかった
良いことも悪いことも
謝りたくなる
叶わない美しさに
閉ざされた口を
温めてくれて
素直になりたい
夜行性の手を伸ばして
空へ帰りたくなる日もある ....
電球の中で金魚が泳ぐ
赤い身体をうつ伏せにして
バタ足、ピクピク、
僕の過去を三枚下ろしにする
哀しみばかりが長いから
切れそうな電球を回す
もう照らすものはないんじゃないの
金魚の目玉 ....
暗闇の中で見つけた香りは
君の毛先を風に渡して
誘われたように抱きしめる
落ちない星みたいに
遠くへ行きたいけれど
香りまで一緒にいられるかな
君が走れば薄くなる空気を
僕が吸うからまた ....
幾ばくもしない
吐息に問いかける
褒められたことが
なかったから
人の良い所に
気づけないのかな
僕の会話には
ジャンプが足りなくて
誰もその距離を知らずに終わる
もう少しだけ話をし ....
言葉でべっとりとした
身体を殴りつけるために
外へ出ようかな
雲ひとつない空に
拭き取って欲しい
後悔や心配が
僕の靴の裏を汚すけれど
手ぶらで行くから
手ぶらで来てね
景色の中で迷 ....
ラムネのビー玉を
逆さまにすると
チリンと音がして
海に浮かぶ魂みたいだね
泣いているような
笑っているような
優しさの中で育った
街へ飛び込んで
たくさんの影を倒すのは
僕の膝なの ....
順番がついた日から
溜め息が深くなる
俯いた顔じゃ
こぼれ球さえ拾えず
一軍の場所に立てないよ
ポストに手紙を入れるくらいの
力で投げ返す気持ちが
優しさに出会えるまで
せめて空だけは ....
波の白い部分だけを
集めたものになりたくて
君の耳を泡だらけにする
守りたかったんだ
余計な音で迷わないように
空は雲を三角にして
僕にギターを持たせるけれど
正しいことなのかな
優し ....
言葉を覚えたのに
伝えられないこともあるよ
困らせるのが嫌だから
私の存在がただ余るだけ
起きてしまう心に宿題を
貰えたらきっと眠らずに済む
人は花のために優しくなれる
人は人のために寂 ....
夜に懐いた雨の音が
傘を持たないから良く聞こえる
雨肌は滑らかに
髪の毛をストレートにして
素直な仕草を誘うメロディだ
追い駆けるように歌い
消えるように跳ね返す
ひとつのグルーヴが
....
今までずっとありがとう
カラオケの最後に歌おう
合格発表で見つけた番号
ラッキーナンバーにしたら
キーホルダーを欲張り過ぎて
ガチャガチャと鳴り始めた
それくらいたくさんの
声を止めて来 ....
心を隠したくなるのに
誰かに解って欲しいだなんて
スカートよりも
長くなりそうな旅だよ
自分の身体や考え方が
人と違うことを知るまでに
凸凹の切符を交換して来た
未来へ行こうと決めたから ....
心臓は一個しかないから
片目を交換したら
いつも左側に君がいる
見守るような水晶に映り
悪いことができなくなって
煙草で曇らせた夜を抜け出す
何をするだろう何もしないだろう
音楽を聴いて ....
恋をしない時
確かに埃を被った線が
ショートするように首を締めた
痛みに無力な
子宮が泣いている
その音を聞きながら
誰か私を抱いてくれないか
屋根から伸びて来たはずの
線が盗聴器みた ....
ドラえもんよりも
大きなポケットが
海を吐き出した世界に
足を浸すのが怖かった
僕は泳げないまま
言葉を掴めなくて
助けてなんてどうやっても
伝えられずにいるのだろう
ノートだと思って ....
言葉にしなけりゃ分からない
気持ちを弄び滅んでゆく
喧嘩をしたことがなくても
ただ相手がいなかっただけ
褒められたことがなくても
また愛想笑いしなかっただけ
未完成で良いのに
密室を作り ....
繋いだ両手を離しても
鎖を引くように走るから
僕はひとりにはならなかった
何かを背負った人の宿命が
頬に当たる風で産毛を洗い
色褪せる前に揺れていて
君の存在が過去になるくらい
地平線を ....
目を覚ますと同時に
空気にふたつの穴を開ける
昨日の続きとはまた違う
宝物を見つけた気分で
世界を僕の顔に引き寄せる
例えようもないものほど
簡単なマフラーで巻いて
たまに落ちて来る煩 ....
誰でも鈴を持っている
笑顔の波間や涙の余剰に
顔を見つけて幸せになろう
時を超えても場所を変えても
首輪をつけた人は丸くなり
何かを招くようなお手つきで
言の葉に包む鈴を流した
リンリ ....
記憶が胸を確かめるんだ
いなくなった後から
思い出すのは何故だろう
ありがとうとさよならを
並べてゼロにしたくはなかった
電子レンジの音が主張する
寂しさを幸せに変えられず
ガムシロップ ....
雨の二乗から傘を差し出した
昨日はまるでヒーローみたいで
髪の毛の分け目を少しずつ
気にしなくなる今日は丸腰だ
日曜日を手のひらに閉じ込めるなら
四文字の方が綺麗に包める
その中で割れた夢 ....
大きな旗を振れば
君はすぐに消えてしまう気がした
羽ばたいてゆく翼の前で
青いものは温度を忘れていく
空やスカートやさよならの言葉
貫いた心を保存している
ジップロックを開けたい時は
君 ....
掴めなかった糸なら
そっと肩に置いて
誰かに気づいて貰いたい
優しく振り払うよりも
その指先で空を縫うように
いつかの傷口を庇えるから
針を持たないで出会えたら良い
大の字になった糸屑は ....
愛の楽譜を開くと
休符まで飛び出すように
決まりのない唄を歌い出す
何かが始まった気がする時は
新しい飲み物を選んで
それが美しいかどうかさえ
自分と一緒に窓へ映した
何にも染まる前の私 ....
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