ざわめきの外に取り残された
ストーブの匂い何を焦がしたの
長靴を脱いで履き替えたブーツ
その高さまで減らない思い出は
缶コーヒーのプルトップを引いて
魔法みたいに飛び出す泡のよう
....
点線のように
切り取られない
その形をまだ
誰も知らないの
下書きみたいな
心をはみ出し
飛び回る日は
また別行動だ
何よりも高い
場所から見ている
小さな買い物
大 ....
花が散った後の
道を誰かと
走ることでまた
輪になる自転車
舞い上がる
蝶のような
羽根をした
春の証に
触れてみたかった
祈りの日を忘れた
僕たちは
地球と目が合う
....
海を見ている心に近付く
波が削るのは
まだ温かく濡れる予定のない
明日を生きる力 前借りをした
歩きながら拾う貝殻の色
いつもより綺麗に映る鏡だ
プリズムみたいに反射する笑顔
海 ....
白いレースの
解けた先には
微熱があるから
触れちゃいけないと
知っているのに
揺らしたくなるのは
カーテンが重たい
せいなのかな
抱きしめるものが
人じゃなくても
恥ずか ....
鼻の通る道で
擦り合わせた
花びらが渡す
匂いの小袋
目には見えない
粒子が飛ぶような
風の流れに
心を開いた
言葉が少しずつ
欠けてくパズル
何かで埋めようと
探してみ ....
初恋のように揺れる炎が
白い間は優しくなれるかな
傷付いたらそれを隠そうとする
甘いクリームのトンがった場所に
カラフルな雨が音もなく落ちた
マーブル模様のテーブルの上で
空はいつ ....
街で手渡された
ピンクのチラシ
細かく破って
投げ捨てる場所に
音が鳴っている
若者の歌だ
ビルの凸凹に
合わせたような
メロディは空へ
届くだろうか
薄っぺらい鞄を
....
揺れることのない
楽しみがいつか
未熟な身体に
鈴を付けるまで
笑いの中に
いるのに
飛べなくて
しぼんだ風船
胸に当てていた
置いて行かれた
ような寂しさを
透明な ....
僕たちの影を
ひとつにしようと
月が動いた日
星が泣いた夜
まつ毛のお皿に
乗せる料理を
唇の先で
運んで行こうよ
割れても良いのさ
舐めて返したい
接着剤のような
....
飲み切れなくなった
ジンジャーエール
心には屋根が
あると知ったから
もったいないけど
流してみようか
海は誰も
いない方が綺麗で
炭酸の泡に
傾ける音を
波だと思って
....
大根は足で
白菜は体
生まれて間もなく
捨てられた子供
口があったなら
哀しみの言葉
誰よりも早く
覚えたのでしょう
陽の当たる場所に
いられる命が
人と同じように
....
人差し指の
第二関節で
憩うとんぼの
羽根を借りている
右や左へと
動くこの身体
コックリさんとは
違う強さで
運んでくれるよ
踵を蹴って
空に切る十字架で
作る窓は ....
ぶどうの粒を
潰して戻らない
それは昨日の
命の音だけが
弾けて飛んでく
種みたいな夢
指の真ん中で
舐めて笑った
転がるうちに
皮を脱いだのなら
振り返るなよ
きっ ....
もしもこの雨が
痛みを強くする
ものだとしても
ブラックコーヒー
苦くシメた胸
盾になるような
武器が欲しかった
ひとりでは寂しい
電車の中で
窓と巡るのは
四角い思いさ
....
誰かがいて
誰もがいなかった
隠れんぼのように
取り残された
神社の鳥居に
ブランコはない
バチが当たるのか
風が当たるのか
日常のノイズ
白く飛ばした
青春はまだ
....
導かれながら
月へ行くロケット
破れない鼓膜
その仲間も消え
これからは全て
通いやすくなる
磨いた爪で
傷付けぬように
指を立てたら
足に変わるんだ
夜に動か ....
こんばんは
スローモーション
派手な歌も
踊りもいらないよ
ひと回り大きな
コートみたいに
優しい言葉で
包まれたくても
雨粒と音
その間に挟む
ネオンの色が
瞳と重なる ....
ここではない
どこかへ
行きたかった
明確な意思など
持たないままで
小銭はジュースが
買える程度で
心臓をひとつ
預けてみよう
赤じゃなくなって
色褪せた
白い糸を ....
海に浮かんだ
満月は臨月
その膨らみを
我が身に重ねて
呼ばれてもいない
暗闇の中で
下着をはみ出す
肉を震わせた
逞しくなれよと
言われながら
大きくなったのは
随分前 ....
固くなったパンと
心臓だけで
貧しくなるのは
早すぎるから
急いで飲み干す
冷たい牛乳
広がる胃の中で
描く地図さ
一番近くの
スーパーマーケット
汗を流した
ハンバ ....
洗剤を飲んでこの身体ごと
泡立てて綺麗に生まれ変わろう
鼻から飛び出すシャボンは小さく
天国で揺れるお花みたいだ
張り裂けそうなクッションを抱いたら
跳ね返る痛みここだと教える
....
春の桜が
切手になる前に
思いを届ける
言葉を探して
生きることは
きっと寂しいけれど
ひとつの季節が
終わろうとする
この行間に
愛を埋めたい
プリーツスカートの ....
太陽の目を
見た日に始まった
心を読まれて
裸にされる
透明な鏡
なぞる指先で
言いたかったこと
言えなかったこと
輪郭になる前の
言葉だけが
壊れそうだから
大事に ....
何でも同じ物を
持ちたがる
その心に飼える
羊の数は
あなたと私で
違うはずだった
怖い夢を見て
涙滲む夜は
助けに行くため
羊に乗るから
数えていないと
不安になるよ
....
破れたジーンズを
めくる風だった
膝の頭を
この世に覗かせて
撫でられるのか
食べられるのか
分からないまま
アップリケをした
人を笑った
何が怖いの
誰の真似なの ....
その距離は
未だ測れないまま
見つめる星が
見つめ返した夜
瞳の中で
転がる光は
孤独な鉛筆
削り終えたよ
大切なことを
書こうとすると
先へ進まずに
折れる心が ....
空を詠みながら
星を解きながら
両腕を回す
宇宙のベルトに
縫い付けたくなる
心も体も
違う時間を
生きる人の声で
帰る道を知り
肩を落とすけど
まだ間に合うな ....
風に吹かれた
白いブラウスの
襟が羽ばたくよ
折り目を外して
この手で何かが
掴めそうだなと
見えない人の
肩幅を探す
咲けば咲くほどに
淡くなる桜
誰の視力でも
届かず ....
大きな足跡を
残す雲が
滑り止めの
ソールを自慢した
脱げないように
転ばないように
履き続けると
決めたその心が
生まれた時から
ずっと見ているよ
さよならを言う
....
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