指を切り落とした手袋の先で
触れ合った時に起き上がる爪で
印を付けたい逃げられる前に
あなたが渦の中へ消えた日から
誰も寄せ付けず海は鳴いている
靴に入ってくる砂は記憶の
端っこで ....
光る宝石を身に付けた時は
それより輝く命を見逃す
一瞬の煌めきの中で揺れる
原石を持った人の夢だから
重たくて軽い口笛を吹くと
眩しい世界へ届きそうになる
真っ白なノートを開いただ ....
曖昧な返事をした
優しさのつもりで
誰かに希望を残す自分を
果てしなく広がる空が見ている
恥ずかしくなって
雨も降らないのに
傘を差しながら隠れた場所で
小さくなるほどうずく ....
夜の落ち葉が光る波のように
寄せては返す大丈夫だよと
肩を叩いて飛んで行ってしまう
残された重さを手で包んでも
冷えていくのは止められないから
ハンカチを当てて隠した肩に
思い出を並べ ....
黒板の側に新しいチョーク
ピンクの口紅が綺麗だから
塗ってみたかった鏡の前で
公式に当てはまらずに余った
この感情は消せない気がして
はみ出す度に未熟だと解る
自分の心が揺れている ....
煮込んでいるジャガイモを
箸で仕留めて目玉を二つ
描いただけの顔
人参に寄り添い聞く耳と
しゃべる口を与えてあげようか
玉ねぎと仲良しだから
いつも涙を流して空を見上げるよ
....
人見知りの鼻息を止めたら
もっと楽しい生き方ができる
さよならを自分からは言わずに
後出しジャンケン気持ち悪いね
白いキャンバスは食パンみたいに
耳を切り落とす神聖な場所
何も ....
あの歌の中に僕が生きていた
嘘みたいな言葉を本気にして
色褪せずにただ染まっていたくて
君の声だけが道を広げた
抱きしめるように独占できない
メロディはやがて誰かの心を
いっぱいに満た ....
厚く張った氷を砕くために
ブーツの踵が地上へ届く
心臓が埋められた場所で
掘り起こしてる足跡の形が
誰にも踏まれず残っているのは
きっと一人で歩いたせいだね
氷と永の文字が出会 ....
ピンクの小瓶に入った香水で
描いた円の中を8の字にくぐる
身体に纏う鎧は軽い方が良いと
何だか強くなれた気がする匂いを
薄い皮膚の下に忍ばせながら
シャツの襟元を折り返す時
桜 ....
ウールのマフラーを強く巻いても
誰かの腕を離れたこの首は
隙間だらけの星空みたいな
編み目のひとつにほどける思いを
両手で救って届けたかった
チクチクと痛むウールの感触
太陽の熱と ....
紙の質感やインクの匂いが
伝わる指先を誰かに向けて
1ページの物語も読まずに
主役を生きてる人が妬ましい
自分らしい振る舞いやセリフを
学んできたのは同じはずなのに
シャボン玉の大 ....
緑のざわめきが膝で笑い
風の咳払いが耳を撫でる
雲のフィルターが通した言葉に
洋服を着せた天使のはにかみ
夕陽に染まる頬はみんな同じ
空に浮かべた思いを綴るため
盛り付けられた一枚 ....
ディナーのパスタはボンゴレロッソ
口の周りで太陽が踊る
紙ナプキンに吸い取られた熱が
唇の形をかたどりながら
渡せる相手が未だにいない
テーブルで話す恋人たちは
いつの間に名刺を交 ....
自転車置き場に届く光が
まだ短くて生まれたばかりで
ちょうど髪の毛のような糸が垂れ
サドルにまたがるとすぐに消えた
太ももの上を温める光
こんな所で遊んでいるのかな
動いたら付 ....
美学があるなら
飴玉を舐めよ
ゆっくりと
優しい坂道を
転がる味が
舌の中で
溶けながら
綺麗な透明に
色の付いた
ノスタルジーを
抱えて消えていく
瞳の大きさと ....
漠然とした痛みが夜を襲い
ミシンを踏んで絆を作った
上糸と下糸が手を結ぶと
縫い目を増やす足跡のように
0.1ミリの隙間が怖い
どうしてゼロにはならないのかな
追いかけて止まっ ....
スカートを履くと
股間が震える
解放された
器官を放り出し
投げ売りにする
みたいな軽さを
乾燥した空気が
読み取った
スカートの下に
ジャージを着ると
生々し ....
落ち葉が舞ってる君を追いかけて
スニーカーの底で中敷になる
君を支えているんだと思える心強さを
震える身体で伝えようとしたのに
眠りに落ちて低くなる体温
君を冷たいまま放置していた
....
靴の中で
転がる小さな石を
親指の先で
ゴールに決める
僕の足にだけ
ボールが集まる
不思議だなぁと
思いながら
シュートを外しても
狭いピッチで
回ってくるパスを ....
ボールペンの先で泡立てている
思いを言葉に変えられたなら
メレンゲのような柔らかい気持ち
心に挟んで飛んで行きたいよ
頭と背中を洗ってみたくて
側に行っても良いですかなんて
言 ....
スポットライトに
目が疲れると
瞬きの回数が
増えていく
それを誰かが
ウインクと間違え
夜のギターケースの中で
待ち合わせるような
約束をする
赤いビロードが
レ ....
パジャマ姿で病室に眠る
その腕を繋ぐ点滴のリズム
どこかで落とした涙のように
揺れるカーテンを眺めて思う
向こうの世界へ飛び出す身体に
大きな羽根を与えてくれないか
お弁当箱にしま ....
宝石が輝く未来を映す
約束をしてる指輪のように
細かい傷さえ命の鼓動を
刻んだ証に選ばれた音
エレベーターの最上階で見る
夜景と同じ眩しさを知っても
転がる釣銭を追い求めてる
....
あなたはどうして
広げた腕に
光と闇を
交互に見せるの
優しい顔で
厳しいことを言う
大縄跳びの
ジャンプに飛び込む
タイミングがまるで
解らないように
私たちずっと
....
線路の隣で揺れるコスモスが
うなだれた首を守りきれずに
飛ばされていく自分のように
シャツのアイロンを忘れたくらいで
家に戻るのが面倒になって
朝は行列に並ぶことなく
好きな映画を ....
あなたはもう
帰る場所を決めて
私が乗り込む事の
できない飛行機の
偉い座席に座り
遠い国から国へと
渡って
記憶の中に
新しい砂を撒いて
私の姿を消して
いくでし ....
懐かしい言葉で会話するには
心の壁に反響させながら
自分の声を拾うための装置
駆け出しのリズムを叩くスティック
誰かが割り込む思い出を捨てて
人というものから離れてる
生き方をして ....
靴下の日焼け跡が残る足
それを隠すために選ぶ長さが
メスシリンダーの目盛りを上げて
短い夏に終わりを告げるよ
新しい靴下が止まる場所に
黒いサテンのリボンが似合うから
翼を広げてどこへ ....
部屋に飾る写真が
色褪せないような
角度を探す
大切にするよ
景色も匂いも
分け合う前の
勝利みたいに
誰かと一緒に
抱き合えるかな
将来の夢は
写真への思い
ソ ....
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