ふゆのみず一枚ものの山の{ルビ膚=はだ}

日向ぼこ先客ありや梅の花

冬禽のほおばる橋や信濃川

かざはなとともに踊りの孤軍なり

冬帽子かぶるもぬぐも父めけり

とつぷりと{ル ....
ツンドラに三日月墜ちて小半日そろゝ窓も童話帯びしか


鍵盤に凭れし少年老いやすき高音探しに暮るゝ聖堂


魂は濡らさぬようにふところに忍ばせて来る冬の男ら


おもいでは至る所に散 ....
「過去から歩いてきた血液」

十四の頃眠れず、深夜に目覚まし時計の強化プラスチックの蓋を無理やりこじ開け、中の秒針をもぎとった。その時不用意に人差し指の腹の部分を切ってしまい、少なからず失血があっ ....
「やま」

やまは とおくにある

やまへいくと きがある

きにきいたよ

ここはやまですか


「あお」

うみのおみず
あおくない

おそらのくうき
あ ....
接触年……いくつめかの膜宇宙の寝返りの時、古い厠のような銀河の27週半した頃

種族分類……Aおおむね炭素、Bおおむねメタン、両者惑星間たった8パーセク

事後……A壊滅、Bに壊滅の意図なし及 ....
たくさんな人のたくさんなこころ
そのどれをとっても
たった一つのものだ
少し離れていればよだかの星か天の蠍に
それは
見えるけれど
近寄ればすぐ灼かれてしまう
ぼくはあす
近くのBOO ....
なんにもできない
この詩に涙の塩辛さを染ませることも
……
だから
それができないなら
詩などだめなのだ

ぼくは非才などべつにきにしない
たましいのことが
ずっと気にかかるのだ
 ....
菜の花のおしたし風にすきとほるほどな弔列春もみえずに


くちびるのまわりたくさんなかつお節のよな古語の御祠


とてもながーい縦書きの文章のよな気持ちです透き通ってゆくにごりみず哉

 ....
どんなに弱いか
ぼくがどんなに卑屈か知ったら
みんなぼくを傍に置いてくれるのだ
それがけっきょくはこの世界
世界の優しさは残酷だ
ぼくのりせいは
りせいと呼ぶにはあまりにみにくくて
それ ....
はなは
なんてやさしい
どくがろん
だろう
あなたが深く絶望するとき
世界は絶望するけれど
その世界はぼくの世界とは違うのだけれど
そのことでごめんなさいと思うのは
あなたの絶望の世界のなんだろう
ぼくは
まあこんな人間でやってきた ....
 耳朶の下に隠れていた子鬼がふいに現れPCをシャットダウンさせてしまう。ふり向くと堆く積まれた原稿用紙がある。どこからか蝿が飛んできて、用紙のマスの中に不器用に死んでいく。促されるようにCDの記録層に .... 「落雷」

本当はなにもいえない
脳梗塞の後遺症が残った人の
下の世話をしたとき
涙ポロポロ流して
その人俺の事怒ったっけ
俺はあの時立ち竦んで
10秒間
職務放棄した
それが俺だ ....
鏡は水製がいい
こどものあしおとで
目を覚まし
こまやかにブレては
すっかり世界を
ちがった風にもできるだろう

海はポジティブでいい
波のフーガに
くじらの歌に
鮫の鰭やら珊 ....
大好きなママがいなくなると
君はかなしくてすごく泣く
ママが来ると君は安心する
角のとれた軟らかい積み木を噛んで
ティガーとプーさんを放り投げる
ママがお呼ばれする
すると君はすこしキョト ....
 この文学全集でこんな短編を読めたらなあ、という夢想。『筑摩世界文学大系』は言わずと知れた高名な文学全集だが、その素晴らしさは歳月を経ても色褪せることは無い。そんな『筑摩世界文学大系』の続きに、もしこ .... 「墓石」

それはいつからかはじまり気が付くと終わる
そのようなものをさがしたら
じつにそのようなものしか無く
それはすべての核部へ到り
かつぬけてゆく風やうたであった
なので却って太陽 ....
ねじられた
きざはし月へ架かり
時をもぐ手の
{ルビ海豚=いるか}らしさ

黎明さざなみ
{ルビ遁走曲=フーガ}の乱舞
もろ手に火の神
イフリート

銀河零時の
鐘のおと
時計 ....
いかなる形をとったとしてもそれはその通り
そのものの道をゆくだけだろう

レプリカの矢じりの銘板には
そう刻まれていた


球体の表面だから
安心してしまう
とても古くて
そして大 ....
○「SF(勝手に)アンソロジー」~英米編~

こんなSFアンソロジーがあったら良いのになあと勝手に夢想。数篇以外は短編集やアンソロジー未収録のものを選んでみました。ちなみに全編が既訳となります。
 ....
銀焔
このように堕することはたやすい
いつだってたやすいものだ

天の星に看取られ
それでもなお辺獄の河を下っていくことは
或いは想定されはしたが
あぶくとともに沈んでゆくのが
こんな ....
詩は
トランポリン
跳ね上がる分だけ
沈むから

詩は
いんげん豆
筋を取らなきゃ
喰われない

詩は
動物園
雀の檻も
ちゃんとある

詩は
となりのお爺さん
何歳 ....
{引用=響きわたる
主語
空砲

フレーズは
野兎となり
雪原を転げてゆく

ナナカマド
直喩への赤い奉仕

雪駄の声に
あごを引く文節

風と橇
イタリック体

お ....
とおく、とほうもなく、微笑して、口をわらない何かがあって。カーテン留めを はずす事にさえ、充分満足できる何かがあって。そういうものをずっとさがしてきた気がする。そしてずっと見つからなかった気がする。
 ....
心を奪ってしまう
Eテレのくま
まつ毛の下で
すばらしく跳ねる関心
持てないマグを
もとうとする指
区切られた
きみ
裏方のママは腰痛で
でも
わらってる
きみがジュースをこぼす ....
思ったことをぶつけることしかできない
そうやって生きていって
まよったまま
いつか死ぬ
それだけのことを
これからしていくだけなんだと
腹の底から思うと
わけもわからず
なんだか力がみ ....
人に話しにくい夢をみた
その夢はこんな夢
杉の樹だった
長い事ずっと杉の樹
星や森の理性が
ティンカーベルの様に幹を交流してた
そして山火事
白亜層の匂いで
目が覚め
さめた目をさ ....
「炎の惑星」

炎暑で痙攣する夏空の真ん中
涼風吹き込む洞窟に
途方もなくでっかい入道雲が
安置されている
SはNのプラグマティックな個室で
SF小説を嘗めたりして
可愛い旧式のロケッ ....
「漂流」

気が付くといつも善悪の島に流れ着く。



「地球動物園の《人間山》」

自分にどこか似ているが自分より脆そうな猿、そんな猿がいると、猿は安堵する。そういう猿の存在が猿山で ....
{引用=だから森は
透明色の
青ほたるぐさ

傘をとじ
ぽたぽた垂れる
し分音符

ちどり足の
ケ・セランパサラン
忘失の風

岬あやうく
フレアスカートのように
はためき ....
道草次郎(665)
タイトル カテゴリ Point 日付
冬の先客俳句2*21/1/23 21:07
十二の落首短歌3*21/1/23 19:35
過去から歩いてきた血液 他一篇自由詩321/1/23 9:42
やま [group]自由詩2*21/1/22 22:33
『銀河おもしろファーストコンタクトあれやこれや便覧』[group]自由詩4*21/1/22 15:53
本を買うんだ自由詩4*21/1/22 3:09
無題自由詩2*21/1/21 18:35
われに死地を短歌3*21/1/21 18:16
錯乱と円環と自由詩2*21/1/21 9:58
帰結自由詩1*21/1/20 21:43
水は流れるところへ流れる自由詩7*21/1/20 10:28
残響自由詩4*21/1/18 22:59
落穂自由詩3*21/1/18 20:38
創世自由詩6*21/1/17 22:59
眠る世界へ自由詩3*21/1/17 20:01
Sci-Fi anthology 筑摩世界文学大系編散文(批評 ...221/1/15 23:32
夜の夢の分裂、他三編自由詩6*21/1/15 8:38
夜来の神話自由詩1*21/1/14 23:50
展示館にて自由詩3*21/1/14 22:57
Sci-Fi anthology 英米編散文(批評 ...1*21/1/14 0:40
銀焔絶歌自由詩2*21/1/12 23:22
月の海自由詩2*21/1/12 20:04
氷海と成語[group]自由詩3*21/1/12 9:18
疾走する砂礫へ自由詩4*21/1/11 18:26
心を奪ってしまうEテレのくま自由詩2*21/1/11 11:47
自覚自由詩1*21/1/10 19:55
夢物語自由詩1*21/1/10 7:00
五惑星物語自由詩321/1/9 13:42
漂流 自由詩1*21/1/9 8:59
酔生と透過[group]自由詩021/1/8 23:58

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