夏を浪費する素足の少女たちよ
居留地の海岸で手を振り
明日 明日 また明日 と
仮借なく絵札を覆してゆく
向こう見ずな天使たち
─── ごきげんよう 波打ち際のマクベス!
と ....
明け方の夢の出口で
思わず振り返ってしまった古本街のオルフェが
見失ったのは未来でした
季節をカンニングしたような短いスカート
の制服の少女は
ショウウィンドウに影を吸い取られて脱色して ....
夜 歪み絵の上に鏡張りの円筒を置くと
立ち現れる 舶来之軽業少女
鏡の森を抜けてきたので
衣装に絡みついた光を手で払う
零度で宙吊りになる 水で書いた詩
ストローで吸い込んで要約すると
....
あの青い空の下に もう季節はかえらない
愛は贈るものではなくて
奪うものだという
君の十五才の陶器のくちびる
かわした言葉たちが ....
マッチ擦り尽くしても鎮まりきらぬものわが内にあるを知るか君
一プラス一の答えにたどりつくまでの迷宮なのか人生は
言の葉の裏を返して見てみたい 時には長い手紙を書いて
見えていてすでに ....
六月の森に泣く
道化師の
ガラスの涙
こぼれる
すべての助詞
〈をとととがとで とのとへと…〉
遠心力のない世界が
一回転すると
不意に頬よせる
少女の
杏子のく ....
昏がり
伸ばされた少女の白い腕
僕の地平線のすべて
そうよ
私がいなくなれば
永遠に陽はのぼらないわ
僕は鳥
魂は地平線の彼方---
不意に少女が腕を下ろす
僕は
....
みそひともじ はおまじない
歌を忘れたカナリアが
閉じ込められた鳥籠の
扉を開ける合言葉
57577
世間知らずの詩人さん
おいらも一つ考えた
ぜったいばれ ....
ふるさとは1行の詩よりも価値がない
と 少女は似合わない口紅のような言葉で
潮騒を1行に書きとめます
1行の言葉の地図を広げ
次の1行へと飛び移る
くりかえせば
言葉が連れて行 ....
鍵盤の上をいつもおくれてくる指のように
わたしはすでに取り残されてひとりで立っている
ビー玉を空に撒いたような
ボールパークの歓声に耳をふさいで
美しい惰眠をむさぼる緑色の猫の舌が
....
あこがれたいから 遠ざけた
見つけたいから 目を閉じた
伝えたいから 口をつぐんだ
信じたいから うたがった
抱いて欲しくて 裸になった
開いて欲しくて 扉を閉めた
....
水に浮かべた言葉がね
ゆらゆら揺れて 透けてゆく
にじんだ意味が 虹色に
かさなりあって消えてった
現代詩百年の孤独
わたしのいきつけの書店ではもう何年も前から「現代詩手帖」なんか店頭在庫していない。現代詩はもう「お取り寄せ」の詩になってしまった
と嘆いたのは十年以上前のこと ....
{引用=
「夏の思い出」江間章子
夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空
霧のなかに うかびくる
やさしい影 野の小径
水芭蕉の花が 咲いている
夢見て咲いている水のほとり
石 ....
北園克衛は1930年代にあらわれた一群の若い女性詩人たちの中から特に数名の名を挙げて次のように述べています。
{引用=「先日西脇順三郎氏を訪ねたとき、偶然左川ちか氏の話が出て、西脇氏は左川 ....
「大東亞戰爭に就いて」という文章で白秋は「 詩歌を以て愛國の至情を獻げ得る我がこの職分を思ふと、血湧き肉沸る思がする」と言い、戦時に歌を詠む心構えを説いています。
{引用=「短歌表現の限界といふ ....
倉橋由美子は「大脳の音楽 西脇詩集」(「毒薬としての文学」講談社文芸文庫)で、
「音楽と言っても朗唱して耳に快いなどということとは関係がなくて、西脇氏の詩の音楽は直接脳髄に響いて脳の回線を思 ....
はじめに昔話で恐縮ですが、二十年以上前、パソコン通信のニフティサーブ時代の『現代詩フォーラム』でのことになります。
フォーラムに投稿された他人の詩句を並べ替えて、そのまま自分の詩作品として投稿した方 ....
寺山修司二十歳のおりのエッセイ(「カルネ---<俳句絶縁宣言>」)に「美学をぼくはVOUクラブで学び、…」という一節があります。「VOUクラブ」は北園克衛が結成し、詩誌「VOU」を発行して ....
西脇順三郎は「詩的な美」とは何か、について次のように言います。
{引用=
「その存在は一つの抽象的な、眼にみえない理論的な(譬えれば、原子形のようなもの)フォルムである。それは通常の経験の ....
{引用=
「……十九世紀においては、詩人は文明からの逃避者として現われ、二十世紀にあっては文明の批判者として現われていることに注意しなければならない。イギリスのエリオット、オーデン、スペンダー、フラ ....
ぼくは十代の頃に少し詩を書いていたのですが、それは数年で終わり、その後は十数年間詩作から遠ざかっていました。ふたたび詩を書くようになったきっかけは、十年ほど前、はじめてパソコンを購入し、パソコン通信の ....
シルクハットを鏡のなかに投げ入れると
鏡のなかのじぶんが投げ返してくる
さみしい 中年詩人の ひとり遊び
ある朝 いつものように あいさつがわりに
シルクハットを鏡のなかに投 ....
ワーズワスの「詩とは力強い情感がおのずから溢れ出たもの」というコトバが示すようにロマン派の詩人達は人間を無限の可能性を持った湧き出る泉のような存在として考えました。それに対してヒュームは人間というのは ....
西脇順三郎は『雑草と記憶』というエッセイのなかで、
{引用=
私など自然の風情を愛する気持ちは全く vision であって thought からでない。ワーズワスと違いそれは何等神に通ずるすべ ....
現代詩はT.E.ヒューム(1883-1917)から始まった、とよく言われます。
ヒュームは二十世紀最初の詩の前衛運動である「イマジズム」の理論面での中心でした。
彼は詩におけるイメージの大切さ ....
『寝ながら学べる構造主義』というおもしろい本を書いた内田樹さんのサイトをのぞいたところ「内田樹の研究室: オリジナリティについての孔子の教え」(http://blog.tatsuru.com/arch ....
約束を違えて
飲んだ針千本は
すべて追憶
の言葉の塔
胸に突き刺さり
屹立する炎
十二月の街
ショウウインドウに棲む人影は
追放者のごとくマッチを擦り尽くす
ある麗らかな朝、一行の詩が書物から立ち上がってはるかな水平線をめざして言葉の海を泳ぎだしたまま行方不明になった。さっそく捜索隊が組織され船出することになった--------。
どうも気がすす ....
プラットホームに着いた 銀色列車のドアがひらいて 夏の海が溢れだしました
ピストルが鳴って 貌のないメッセンジャーが フリースタイルで泳いできます 燃えあがるピアノの上の老いた漁師は差し ....
藤原 実
(64)
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『世界の詩論』(青土社)を読む
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