今日もわたしの右手はうそを紡ぎだす。
すらすらすらと動いてくれれば問題ないのに
わたしの右手は面倒で、
気分屋で、困ったものだ。
だけど、それでもわたしはわたしの右手を愛していて
わたしの物 ....
見ているだけでよかったなんて、嘘なんだ。
君にはばれてたかもしれないけど、
本当は、 すごくすごく近づきたくて、
触れたくて、
泣きたくなるほどいとおしかったんだ。
失った切なさからの錯 ....
醒めるような夕べ。
眩い明日。
風に抱かれ、ペダルを踏み込む。
今日のあたしは、
少しごきげん。
見つめるだけで想いが伝わる魔法があればいいのに。
何も言えず、
何も訊けず、
うるさい うるさいと耳を塞ぎ、
こうして私は朽ちていくのだろう。
踏み出すのが怖かった。
真っ逆さまに 墜ちてしまいそうで。
言葉を交わせば交わすほど好きになっていく。
光が木洩れる箱の中。
がたん、ごとん、
レールに従う良い子なわたし。
たまにはこんな生き方で、
逆らうのに疲れた正午には
揺られて友に会いにいこうか。
戻れないものとわかってはいても、
何故か振り返ってみたくなる。
わたしの歩いてきた線路の脇に
また他の誰かの足跡か
わたしの軌跡の足跡か
勝手に育った草花なんかが 咲いててくれた ....
ただもう一度、 彼と手をつなぎたい。
待てば待つほど、幾度となく心を殺される。
何度も何度も謝った。
涙を流して、彼がそれをすべてすくってくれることに頼りきっていた。
何もかもを捨ててしまったとしても、彼の腕が零したみんなを ....
音が止んだ。
息を止めた。
雨が溜まる。
空には、いつかだれかが投げた小石。
凪いだ世界に 私はひとり。
マウンドに立つ その、一番。
目を見開いて、瞬間瞬間を一時たりとも逃さぬように。
ごくん、
と 咽喉を鳴らして。声を張り上げて。
さあ、 奴らが主役の夏が来る。
私は、
強さを求めるには 弱すぎますか 。
君とあの子が目配せしあう。
わたしはそこに入れない。
いつだって君のいる方向には 眩い光が射していた。
指輪は束縛の証し。
縛られるのを許したということ。
縛りたいと伝えたということ。
溶した。酸のコップにぽとりと沈めて、なくなれなくなれ、と 溶した。
それといっしょに、不変を試した。
と ....
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