トンカチ君は
鍛冶屋の息子だった
鍛冶屋の息子だけれど
大工の倅ではなかった
そして、臆病者だった
あんなことが、あるまでは
あんなことがあるまでは、我が懐かしのトンカチ君は
臆病者だっ ....
その年の
6月22日のこと
人知れず
ひとつの流星が砂漠の真ん中に
落ちた
その流星の息を飲んで
二人の子供が日の本の国に生まれた
ひとりは女の子で
後に有名な小説家になり
ひとりは ....
 ほんとはこんな命題で書くのは不本意なんだけれど
 それでも立ち向かわなければならないんだ
 そんな勇気を
 一握りでも

死にたい人間のすべてが自殺を
成し遂げられるわけではない
死 ....
寿司屋っつったって
回転寿司だよ
仕事おわってさ
仕事ったって郵便配達の
しかもアルバイトだったさ、当時
しかしこれが夏真っ盛り
炎天下でヘルメットかぶって
制服着て
汗かいてしかも残 ....
フエンヒローラ!
昼定食
一皿目はガスパチョ
二皿目はチュレタ・デ・セルド
バスケットに盛られたパンの耳を残して
ポストレのエラド・ショコラテと一緒に食べる



ひとりぼっち ....
ギタレレをオープンチューニングにしてやった
そしてじゃんじゃか
かき鳴らして
ボガンボスとかとともに
踊り狂った
狂った夏
がもうすぐ来る
俺は会社に電話をかけて
もう仕事には行きまし ....
     初恋。思い出と呼ぶにはあまりに拙い後悔



ぼくは確かに恋をしていた
あの頃
あの頃
あの頃
この胸の裡に何度呟いても消えないこの想い
ぼくは男の子で
彼女は女の ....
     詩を書いてゆこう



俺は詩を書いてゆこうと思うよ
なぜ
何のために
何を目指して
詩を書いてゆくのか
なんて、そんなこと
知らない
毎晩、缶ビールを飲むのと
同じ ....
     酒の呑み方を考える



田んぼに水が
入ったんだかどうなんだか
蛙の合唱を子守唄がわりに
うとうととしつつ我が生涯をなんとはなしに振り返り
いつの頃からか
我が人生 ....
     にんげんのおとことおんなが



にんげんのおとことおんなが
セックスを愉しむ
それはあるとき
必要以上に意味を持たされた儀式であったり
あいさつ程度の交わりであったり ....
     いくところがない



ぼくには、いく
ところがない
いるところもない
いたいところもない
だけど生きている
今日も生きている

ぼくの言葉がそんなにうるさいの ....
     バーベキューハウス



アイスティーに入れるための酒を注文したよ
だけどタンは牛タンだなんて言うなよな
俺はひたすらにニンニクをおろして
海の塩と山の塩を使い分ける季節 ....
     旅路



ひとはみな
利己的なもの
それでいいのだ
利己的でなくて
何ができる
{ルビ己=おのれ}を大事にできないものに
何を大事にできるというのだ
己を愛せな ....
    メキシカン



俺の街には
メキシカンがない
もしもメキシカンさえありゃ
こんな夜は…

どこにもかしこにも
イタリアン
だけどメキシカンは
この街にはない
 ....
     涙のようなもの



死んでしまいたい
太陽が
雲に隠れて
貴方は哀しい顔をする

せっかく生まれてきたのに
そんなことを言うんですか?
まあ、気楽にやってみな ....
     不倫、哀しい方程式、直説法複合過去的動詞変化




「なんなのよ
あたしのどこが
悪いのよ
不倫
してるわよ
そうよ、あの男には
妻も子供も
いるわよ」
 ....
     孤独



君は本当の孤独を知らない
だから「寂しい」なんて言う
君は本当の孤独を知らない
だから「死のう」なんて考える
君は本当の孤独を知らない
本当の孤独を知らな ....
     アルハンブラ、上空二百メートル、風力ゼロ




出そうになるよ
あの頃を思い出して
そんなにしあわせでもなかったはずなのに
懐かしすぎるんだ

ぼくは君のこと ....
     タイカリー



小さな店の
タイカリー
わたしは、きっと
恋をしていた

その店の二階の窓からは
狭い通りを見渡せた
わたしはなんのかのと口実をつけて
デー ....
     貸金庫



   ああ
   いまひとつ
   勇気が足りない
   しかしやってみるしかないのだ
   無理矢理にでも
   自己に課してみなければ


 ....
   春の海鼠



ああ、そうさ
まったくもって
やりきれないことだよ
だからと言ってこれもひとつの現実だよ
窓の外には恵みの雨がざあざあと降って春の空を洗っているよ
行き場 ....
     蕎麦屋の蕎麦はそれでも君を待っている



君がこの
罪の巷を見放して久しく
夢のまた夢のまた夢のまた
そのまた向こうの向丘遊園地に観覧車
そのクランクであんなにも素敵 ....
え?
キムチ?
キムチがどうしたってえんだよ
何?
キムチにまつわるいい話?
そんなもんねえよ
そんなもんあるわけねえじゃねえかよ
キムチなんてもんは、なあ
それにまつわるいい話なんて ....
がなりたてる
ファズでも聴くか
毒の華
     ひまわり


ひまわりが
こんなにたくさんのひまわりが
ひまわりの花たちが
ぼくを見ている
ひまわりは
いい
何も言わずに
ぼくを見ている
もしもおいらが昆虫だったら
田に畑
鋤やら鍬の
一振り二振り
掻い潜って生きるのさ
都会の鼠の
腐肉やなんぞに集っちゃいないで
芳ばしい、この
土のうえ
一振り二振り
掻い潜って生 ....
酒、呑んで
詩を書いて
恋をして
見えなくなって
また見えて
傷つけて
傷ついて
泣いて
泣きやんで
目がさめて
……何ひとつ変わっちゃいない
昔のやり方、そのまんま
俺はバカ ....
こんなふうに暑い日が続くと
思い出すことがあるんだ
外には夏の光が溢れて
田圃の青も
入道雲の白も
痛いくらいにくっきりと鮮やかに立ち上がる季節に
俺はただ
泳ぎたいだけだったのかもしれ ....
寝ても寝ても眠い
起きれるけれど布団の縁
朝ビール
汗の匂いと腕枕
ふくだわらまんじゅうろう(144)
タイトル カテゴリ Point 日付
トンカチ君の甚だ壮絶なる青春自由詩009/7/22 17:24
1Q68自由詩209/7/18 23:45
自殺者の山と来るべき世紀自由詩309/7/18 22:34
寿司屋の生ビール自由詩3+09/7/16 0:41
ポル・ディオス自由詩2*09/7/15 0:12
オープンチューニング自由詩309/7/3 10:59
初恋。思い出と呼ぶにはあまりに拙い後悔自由詩109/6/28 22:22
詩を書いてゆこう自由詩209/6/17 21:59
酒の呑み方を考える自由詩309/6/15 22:53
にんげんのおとことおんなが自由詩309/6/1 21:50
いくところがない自由詩109/5/15 22:45
バーベキューハウス自由詩109/5/4 0:42
旅路自由詩109/4/23 21:18
メキシカン自由詩209/4/18 23:10
涙のようなもの自由詩009/4/14 17:04
不倫、哀しい方程式、直説法複合過去的動詞変化自由詩009/4/14 16:45
孤独自由詩009/4/13 2:29
アルハンブラ、上空二百メートル、風力ゼロ自由詩209/4/13 1:48
タイカリー自由詩309/4/8 12:00
貸金庫自由詩109/4/8 11:43
春の海鼠自由詩109/4/4 17:45
蕎麦屋の蕎麦はそれでも君を待っている自由詩509/4/4 13:40
四畳半キムチ自由詩309/3/28 21:50
オンザロック&ジャズ俳句309/3/15 12:53
ひまわり自由詩209/3/4 20:28
もしもおいらが昆虫だったら自由詩309/1/31 13:02
月面自由詩209/1/31 11:09
夜のプールサイドで君は自由詩307/8/15 0:35
春眠、その2俳句007/5/2 22:46
春眠俳句207/4/2 12:10

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