藍色の雲をひいて
女は降下してゆく
ひうひうとした
耳元の音を拾えば
落下であり墜落だが
彼女には
降下と認識される
微笑む猶予すら私にはある
空想のスカートから
プ ....
赤や黄色の粒は
振動で波を起こし
リュートの正しさみたいに回っています
地軸に掴まってごらんよ
頭の先がちりちりいうから
そうやって星を捕まえるんだ
ひいらぎの葉が示すとおりに ....
*
天井から
赤い針が
たくさん落ちてくる
売られる人魚がいるようだ
人魚を買うのもいるようだ
ちりちり
さりさり
落ちてくる
踏むといけないから
小皿に受けて ....
あしたのあさごはん
たまごやき
きいろいもののよこには
みどりいろ
やさいをたべましょうと
かていかのぽすたーがいう
あかいとまともつけるといいな
わるいゆめをみたあとは ....
酸素が足りなくなってしまったから
あおっちろく光る水槽を
足でかき混ぜる
だいじょうぶ
魚はもうずっと居ない
*
ケロシン
ケチラン
水槽の底に住んでいる人魚の名前
腿ま ....
裾を引きずって階段をのぼる
踊り場がすきなの
どこにもいかない
ちゅうぶらりん
冬と冬の木とさざんかの赤色
窓 窓
手のひらをつけると
とてもつめたい
誰かになって ....
括られた紐は
私を食べて
箱型の実をつける
月光から逃げる為
風が吹いたら
ざあん ざあんと
ちぎれて旅立つ
泡立つ床の波の中
落ちた箱は
或いは開き波を染めて
固く閉じた ....
裂いたスカートの行方は
右の親指だけが知っている
布を食卓に磔刑して
右手に
左手に絡めて引き裂く
これが誰かの髪であったら
どんなにかいいだろう
ちりぢりになった悲鳴の
....
朝を待つ人は
髪を枝葉のように広げて
目を瞑ったまま夜を探る
どこかに昼のきれはしが落ちてやしないかと
どこかで夜がめくれて光が漏れてやしないかと
暗い空が屋根でよけてもまだ重い ....
アオダイショウもたげた首のねじ切れて妹は明日七歳になる
夜更けには見るなの鏡なお震えほつれた髪の母で無い母
踏みつける足の重さが違うから大きくなったんだね彼岸
じゅを ....
月光を手繰る振りをしていたら
どうやら海が釣れてしまった
窓を開けているんじゃなかった
部屋に溢れたいっぱいの海は
両手で抱えられる所かますます増えて
わたしは飲まれた
手 ....
空晴れて上手にさよなら出来たから卵を一つ割ってお祝い
晴れて空開けた窓から草いきれ鳥は去って海は残った
空晴れて二匹のいもむし糸を吐く指に絡まる欲と欲と欲
晴 ....
「せっこう」
あのしろいせっぺんを
たとえばたわむれにくちにふくんで
したをはわす
さくらんぼのくきがむすべないしたは
おずおずとたしかめて
ぎょうぎのわるいおとなんかたてるんだ
....
あわせたてのひらのあいだから
こぼれおちるもの なあに
こゆびをつけて みせかけて
おやゆびを はなしてみるの
ころん、おちた
びいだまだ
たたみをすべって とまる
せいざした ....
好いた女に逆立ちさせて
床を舐め取らせる
女はみんな子宮にサイクロンを飼っている
そいつの威力によって
泣いたり喚いたりしやがんだ
お前の髪が一番床を汚してんだよ
ええそうね、そう ....
みえないふねが
でるころに
おまえはひとりでうまれたの
かあさんがそういいました
つじのむこうのとおりから
にもつをもって
あるいてきたと
にもつのほかには
なにもみにつけ ....
角砂糖ひとつ、つまんだら分かった
冷めたお茶の底にもうひとり
わたしがいるの
少女は集合体で出来てる
丸いもの、赤いもの、風きり羽根のコレクション
もし彼女の身体を裂いたなら
....
おかしのぱんだにつれられて
あたまにおおきなももいろりぼん
てあしはちぢめてふくをきて
てをつないであるいてく
ぱんだのては
だんだんねとねとしてくる
おかしだからしかたないね
....
そのまぐわいは
なまぐさく
なつかしむようなシグナル
やまのほうへいくとね
わたし
どうしても
あの
ぐうともりあがった
さんちょうにむかって
いかなきゃならない
いかなきゃな ....
天井のフックに引っ掛けても
まだ
膝の裏に届く長い髪で
息をするように嘘をつく
望めば全てと言うし
少し前のことを覚えていないから
お話を作るのとも言う
とても髪がのびたから
....
一、
きれいによせれば
はじめから
なかったことに
きずなどうそに
ゆうぐれがくる
ニ、
ていねいにぬえば
きずはきっとうそ
ゆうぐれがくる
うずくまる
三、
....
七万四千六百とんで二分の一の三割二分五厘のぶんだけ君を!
この頃酷く舌が重いのです
昨日食べた刺身のせいだ
なまぐさいあれがいけなかった
バイパスを走りながら理由を探す
朝ついたつまらぬ嘘のせいだ
私は透明人間と歩いています
....
アイスクリン アイスクリン
僕のすきなアイスクリン
ソーダ味 アイスクリン
アイスクリン アイスクリン
僕のすきなアイスクリン
ソーダ味 ミントの冷たさ アイスクリン
アイスク ....
(天井にはたくさんの実がなって、今にも落ちるような気がする)
犬と抱合しましたの。 痩せた短毛の犬です。
私は十六日前に生まれた女。唖です。
この骨の肉は、絡み合ってようよう見えそう ....
わたしはみぜっと
ひとりのみぜっと
だれもしらないところからきて
みどりのふかくで
いまねむる
わたしのみぜっと
あなたはこっぽら
かわいたしまからあるいておよいで
かみはのびてつ ....
しらないあいだにすてられて
みえないものがおおかった
はるになったらあえるのよって
あうひとみんながいってたけれど
くつをなくしてしまったから
ふねにのれないでいた
しんわ ....
そとが雨だからいけない
夕方になったからいけない
いも虫のようにねむる
からだを抱いてねむる
くちびるはサンザシの小枝
水滴を払う手の甲
デメイ
獣かそこらを従えて
女神に挑んでころがりおちた
(燃え尽きはしなかった
デメイも女神の眷属だから)
ふたつに縛った髪はほ ....
お前の母さんだよと恐竜が言う
地下室の扉はひんやりしている
地下室の天井から縄が一本降りている
恐竜が肩を抱き、母さんに会いに行こうと言う
恐竜の皮膚はざらざらしている
....
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