少し風が寒くなる冬の訪れ
霜が土を持ち上げて
それを潰すのが好きな君
缶コーヒーを握り締めて握り締めて
小さな温もりを分かち合ったあの日
遠くで聞こえていた子供の泣き声
....
寂れた教会に嘆きの歌声が響く
優しい旋律が辺りに流れ出す
顔の半分が壊れた銅像
それでも神に祈りを捧げる
老婆は今日も来る
一縷の光が導く明日への階段
希望の後の絶望を ....
刹那の叫びの声のする方
深紅の瞳をした少女が
何も言わずにこちらを見ている
赤い扉は未だに開くことはない
指を売った少年が残りの指を売りに出す
手の中には掴む事の出来ない金 ....
いつか、迎えの時が来る
そう信じている
だが、実際の所は何も来ない
遠くの街から響く鐘の音
その鐘は見たことがない
僕らは未だその街に住むことを許されていない
想像の中の街の姿 ....
窓を開けると
渇いた夏の風が髪を浚い
安らぎの匂いがした
教室の窓側の席
君はいつも遠くの世界を見ていた
何も変わらない風景
一年を通して見れば違って見える
君はそう呟 ....
空は高く澄み渡り
雲一つない快晴に
ふいに恐怖を覚える
揺れるアスファルト
伸びて行く木々の影
落ちていく星の輝き
乾いたグラウンド
白球の汚れや誇り
遠く響く ....
自由な生活が手に入れた
楽しい事や笑う事が多く
傷付いた心が治癒された
もう、戦場には戻れない
好きな時に起きて眠って
気がついたら一日終わっている
この生活に「幸せ」の二 ....
遠くに伸びる影を背にして向かう
過去を振り返らずに生きていけたら
どれ程に楽に生きていけるのだろうか?
今よりも幾度かマシになるのだろうか?
重ねた約束を背負うだけの日々
....
渇いたばかりの洗濯物
風に揺れる穏やかな一時
何処までも途切れること無い
日々の流れに時折失望したり
少しでも希望を持ちたくて
君に甘えてみても
特に何も変わらない
....
降り止まない豪雨
微かに水を切る車の音
窓伝いに零れる涙の雫
渇いた歌声
整えられた髪飾り
銀の指輪が錆びて
嘗ては、歌姫と持て囃された自分自身
今は廃れた自分自身 ....
最後の夜が直ぐ傍まで来ていた
闇に二つの姿が飲まれていく
彼女の瞳は硝子玉のようで
薄汚れた世界でも綺麗に映す
少しの衝撃で砕けてしまいそう
そうしたら、醜い世界を見せなくてす ....
中途半端な記憶だけを頼りに
美化されていき君の本当を忘れていく
残されたのは自分自身の不甲斐なさ
初夏の風は何処か生暖かい匂いがする
排気ガスと灼熱のコンクリ
歪む陽炎に誰かの ....
中途半端な定義を読んだから
それの影響を受けて
妙な選択を繰り返す
自分はどの選択肢なのだろう
不安と期待で本を捲る
蝋で出来た模造品の翼
真実の熱で溶け始めて
嘘は少 ....
艶やかな君の身の曲線
終極を教える鐘の音
眩しい程の朝焼け
交わらない運命を選んだ
その言葉に罪の意識を覚え
殺したばかりの愛が生き返る
指先を合わせて重ねて
伝わ ....
僅かな希望の芽を摘み取る
君の手は狂気に染まっていた
少し透明な爪が痛々しい
心に閉じ込めれた過去
出会いの中にいくつ別れを感じればいい
答えのない質疑を繰り返す
木々 ....
遠くで何かが吠えて、僕の耳に届く
それは時間共に細くなり
消えてしまった
僕の手は冷えて、風が過ぎていった
君にも聴こえているでしょう?
この声は幻聴ではないでしょ? ....
?
耳障りな都会の雑踏に身を置く
誰かに救われたいと思いつつ
自分を傷付ける
深夜の静寂(しじま)の公園
月明かりに照らされて
悲しいシルエットが其処に映し出されている ....
世界の速度に背中を押されて
僕らはその歩みを止めること出来ず
黙々と前に進むしかなく
横目に座り込む人々を覗き込む
言葉の嘘に紛れ込ます優しさ
この一言が誰かを傷付けない
....
過去に戻れることが出来るのならば
五秒で良いから戻りたい
そして、一言を交わして
元の世界に帰りたい
其処に変化がなくても
心の奥底は変化しているはず
誰かが手を差し伸 ....
二度と交わらない運命を決めたのに
今更に揺らぐ心の奥底、君の言葉
傷付けずに愛し合えたらいいのに
お互いの希望を通すことは出来ず
どちらが諦めるしかなく
お互いに譲れぬ想いを持 ....
寂しくなると君を思うのはなぜだろう?
電話のボタンを完全に押し切れないのはなぜだろう?
九個目で指が宙で固まり動かなくなる
何度も何度も現実で別れた
体は理解している筈なのに頭の中 ....
同じ痛みを分かち合えたなら
二人でいる必要はない
別々の意味を知るのならば
どちらかを傷付けて
その痛みを知り合う事
景色の色が一つ消えていく
翌日には更に一つ消えていく ....
憂鬱な日程に会えない君の事を考える
私の手が届かない所で何をしているのだろう
君の至福を少なからず、嫉妬している
窓の外は優しい四月の雨が朝から降り続いている
桜は雨風を浴びて緩や ....
十字を背負う身
叶わない約束を守ろうとしている
夜風が吹く
海はこの世の終りを告げている
砂の上に君の名
刻み込む罪の重さ
差し出された手を触れずに立ち上がる
....
僕と君の距離
詰め寄る
静寂
と
鼓動
唇が触れ合う
その一瞬
心
と
心
の
入
れ
替
わ
り
最後の接吻 ....
人は何故故に権利を持ち出す
人は殺すと罪に成るのに
動物は罪に成らない
絞首刑
足元が消えて
身体が躯に変わり果てる
街中で包丁を持ち歩く
煌びやかに輝き
目の ....
何かに怯える様に愛し合う
思考が働かずに自然に求めて
貪り皮膚が剥げてしまいそう
止めどなく吐息が数を増す
小さく刻む口が言葉を囁く
アイシテイル
動かない君の心身
....
記憶の奥底、光が届く事なき場所
誰の手も触れられなく汚れる事なき思い出
耳を澄ませば、僕の名を呼ぶ声が
微かに日付が変わった日に雨に混ざり
聴こえてくる
忘れかけの言葉と記憶と ....
電車の音が響く部屋の中
窓の下では人々が何処かに向かい歩く
出発か到着か解らない
または旅の途中かも知れない
夕焼けの寂しさを感じるのは
今日と云う日が満足に終えられなかったか ....
白と黒の記憶の片隅
その中でも君は微笑む
唇も目も其処に在る様に
手を伸ばしたら壊れてしまいそう
優しい中に鋭利に尖った凶器
知らず知らずに君の優しさに溺れて
心の奥底まで ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
0.41sec.