◆仄暗い図書館で凡ての文字が魔法のように、炎となった。本質的に材木(materia)を意味する材質がではなく、その本質が燃え上がっているのだ。だが、この幻視は、幻視が見せる炎に照らされてしか見ることは .... ■天使がわたしを幻視しているのが見えた。
(ボルヘス『夢の本』非所収)

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|(縦軸を下るほど目覚めに近くなる)
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■天使が口を開くとき唇の奥で歯車が動いているのがちろりと ....
《何も無いところ》に寺院が建つ。迷宮は見失った。「わたしは立ちつくす迷宮であり、上下に腐敗する男なのです」 世界の総量から雨がそっと漏れ出す。時間を置いてくることは可能事だがそれをひとは時間と呼ぶので .... 私は薄暗い部屋に閉じ込められていて、毎晩(ここに来てからずっと晩なのだ)、手探りで秘密の通路を探す。私はいつもそれを見つける。通路を辿っていくと私を閉じ込めた奴の寝室に出る。秘密の通路は無数に穿たれて .... 壜詰が中に容れられたものを保存するメカニズムは知られていない。知られているのは、壜詰が腐敗を遅延させる、ということのみである。重要なのは、この命題である。それゆえに、数個の壜詰はまとめて、より大きな壜 .... ■或る猫のイメージに悩まされている。
黒猫で、きちんと正座していて、そして首は切り落とされている。水平な切断面からは花が溢れんばかりに咲いていて、花束のようである。脊髄から花弁にいたるまでピンと張 ....
■「知らない金属の話をしないでください」


■「ぼくと話しても、あなたが知るということはありません」


■「どこかへ金属が行ってしまったのです。話をしてください」


■「 ....
君を黙読する――ご自身のカナリア(声帯)でお歌いください
(声帯は真空で、ぼくは空っぽの透明なインコ咽喉を絞める。音紋が体内の歯車から空気中の歯車へと樹状に噛み合って鳴り響くためには、頚部にかかる ....
猫の発語器官は発情期間よりも長く
そして低く尾を引く
ルトゥラ まだ{ルビ私語=ささや}いてる
名前を逆立てて
毛並みを呼ぶ君の
体内は群れを為し
ねむりのポーズで音に鳴る
 ....
■水槽に鳥を入れる。


■「その先はぼくが眠ることにするよ」


■日記からみた夢日記がそうであるように、夢日記からみてそうであるような日記を書くこと。


■ぼくからみた君が ....
白ヤギは黒ヤギの夢を見る
黒ヤギは白ヤギの夢を見る
夢にまで見たとおり
お互い夢に見ているのに
眠る白ヤギを黒ヤギは見る
眠る黒ヤギを白ヤギは見る
ぼくの目はまぶたの下で冷徹  ....
□「花の世界は霊の世界の午睡である」(ノヴァーリス)




■隈無く経巡り、しかしいつかはまた戻ってくる、円形をしているのだろうか、広大な花園。ここかしこに様々な花が隣り合って咲き乱れ、 ....
ぼくらはいつか飢えてしまうから、手紙でも交わそう。
どちらが白ヤギでどちらが黒ヤギなのか、はっきりさせようじゃないか。
『きみが白ヤギだ』
『きみが黒ヤギだ』
でもぼくらは読まずにたべ ....
あのころ僕らは草原を這いずり回っていて、いつかこの大空に罠を仕掛けてやろうと企みながら待っていた。必要なら鶺鴒だって呼び止めた。まるでピンを刺すようにして。でもそのときから、大空も僕らを罠にかけようと .... 鳥の肋骨でできた鳥籠に鳥を閉じ込めて歌う僕の透明なトルソには金魚がすうっと泳いでる。 ■訓令 第一〇〇一〇号

黒キモノモ白キモノモ午前九時ニ集ヘ
生キモノハ正午ニハ帰ッテモヨシ
然シテ夕刻ニハ孰レニセヨ灰ニナラン
今夜も月が美しい。だが、今夜かどうかを決めるのはまさに月の運行とそれを見守り暦を作成する天文博士なのだから、月が美しいか否かに、夜が今夜であるかもかかっているのだ。予言は正確に行われるが、月の綿密な計 .... 動物の顔を剥ぐ猟奇事件。頭、ではなしに。顔だけを剥がれた動物たちが彷徨う。犯人のプロファイリング。しかしながら、profileとは本来、横顔、あるいは顔の輪郭を指す言葉である。そもそも犯人は顔を有して .... なにものかのとおったあと――
古色蒼然とした部屋に大小様々な地球儀がいくつか並べられていて、地球儀はそれぞれ貫通するようにくりぬかれている。まるでなにものかのとおったあとのように。物質は色を持つが ....
あなたは眠っています。まずルナの重さを想像しなさい。次に星の騒音を聞きなさい。最後にウサギになりなさい。名前を与えます。あなたはこれからウサギのπです。三三九度、廻りなさい。上がり、下がり、上がり、下 .... まず鍵に砂糖をまぶします。銀色糖をまぶします。白色電球で九六一度(融点)まで熱しつけます。揚げます。並べます。あげます。食べましょう。合い鍵はなくなりました。合い言葉は残りました。食べましょう。 そのみこなし、柔らかな幾何
そのあしあと、極短時間の化石

猫は固体でも液体でも気体でもなく
都会につきさす、猫の武装!

極彩色や鈍色
生き延びた影にただ延びた陰
絵画の ....
「月の光の成分をリバースエンジニアリングすることを禁ず。瓶詰めもまたこれを禁ず。ジャムにすることはもっともこれを禁ず」

夜をシミュレートしたいというのはすべての徹夜の願いではないでしょうか。で ....
散乱するテトリス/展覧さる璃とす
(さんらんするてとりす/てんらんさるりとす)


トリスは決して居ないテトラを口にしない。
それは沈黙にも似た餓えであった。
テトラは必ず、いつか ....
そして彼は土に還る。
再び芽を出すことがあるのだろうか。
再び目を開くことがあるのだろうか。
そこに待っているのが、エデンの園なのか、カインの土なのかは分からない。
確かなことは、
 ....
■do{
  printf("Hello world");
  printf("Hollow world");
  printf("Hal ....
「夜空の星の数が素数であることをこの天体望遠鏡で首尾良く証明し得てもさ、結局ぼくが星になったり、あるいはだれかがもう星でなくなったりすれば、素数じゃなくなるんだ」
「割り切れないものだね」
「 ....
群れなし列なしオムレツを
喰らいにいこうオー!ムレツ

目をツムレ
オツなオムレツ
レム睡眠でも
ツレないオムレツ
オムレツオツムはお疲れお疲れ
めを閉じ くち開け たま ....
湯気の中 愛の言葉を 囁かれ 貴方は一人 麺食らっている


「お返事」を 麺ごと伸ばす 極悪人 胡椒がわりの 沈黙楽しむ
数千の水仙で垂線を降ろしたてまつり垂涎の水煙もて粋(すい)とせんとす
10010(35)
タイトル カテゴリ Point 日付
Bibliotheke自由詩310/2/21 13:42
脊椎自由詩109/5/7 20:05
無題自由詩008/12/30 7:46
自由詩008/5/12 13:37
壜詰自由詩008/4/24 6:51
無題自由詩0*08/4/23 3:34
自由詩307/12/18 13:39
自由詩007/11/15 13:11
rThuL'A自由詩007/10/24 4:32
無題自由詩207/10/23 17:31
白黒 2.0自由詩007/6/26 3:15
MERKAVA自由詩007/6/26 3:12
白黒自由詩207/5/5 5:02
鶺鴒自由詩007/4/29 23:04
無題 5自由詩507/4/28 14:43
訓令自由詩107/4/19 6:13
NO MOON自由詩007/4/15 3:54
無題 4自由詩007/3/15 5:07
なにものかのとおったあと自由詩207/3/15 5:05
ウサギのπ自由詩606/12/27 3:17
自由詩606/12/20 4:45
猫のオルテ自由詩206/12/16 0:42
水族館2.0自由詩4*06/11/27 11:25
無題 3(TETRIS)自由詩106/11/13 12:21
無題 2自由詩006/11/6 11:20
HALLOWEEN自由詩206/10/29 21:58
無題 1自由詩006/10/29 21:49
オムレツ 2自由詩406/5/22 16:15
_短歌006/5/22 0:37
水仙自由詩106/5/21 23:34

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