涙がいっぱいあふれたせいで、笑っているのに、君の顔はまっくろだ。
こんなきたない笑顔は見たこと無くて、君の泣き顔はとても退屈だ。
ありふれた未来に触れることなく、途中下車して、手を振った。 ....
{ルビニート=希望無職}
ぼくはひっそりと生まれ、この世を去った。
長い間、暗闇を歩き、しばらくの間、眠っていた。
ばくはだまってその場を去った。
誰の目にも触れることなく、消えていった。
....
誰もいない、電車の中で、
がたん、ごとんと、ゆれる、
心がもたないので、
じっと我慢して、
何も見えないふりをした。
届かないコトバ、見えない気持ち、
消えてゆく音 ....
ひとのはなしをゆっくりと、ききなさい。
こしをおらずにじっくりと、きいてみなさい。
あなたがなんで涙をながしているのか、かんがえながら、
ずっと、おはなしをきいていました。
....
街角を歩いている(君を)見て、
一緒にもう歩けないことを、(ぼくは)さとった。
泣いて笑って、泣いて逃げて、そして(逃げた)。
タイトルだけは過激で、やたらと顰蹙買う。
おかげで僕らの楽しみが減った。
ひとの命を軽く扱うのは得意だったのに、
雨の日、新聞を届けるのはひどく骨が折れるなぁ、と思った。
人生 ....
いまさ、こうやってぼくがキーをカタコトカタコト叩いてさ。
コンピューターにいろんな計算をさせてさ。
カタコトカタコト。
そしてさ、見えない電波で繋がっている回線を通してさ。
う ....
会社というのは、(まぁ)、ひとりでも出来るわけですが、
多くの会社はふたり以上、いる。いる。いる。
かいしゃ、かいしゃ、かいしゃっ、いや、かぞく、かぞく、かぞくっ、
、(まぁ)、ふた ....
よーよー、ようこそ、おいでくださいました。
さぁさぁ、ぼっちゃん、そこに座って、
ささ、どうぞ。
片時も我の手を離さない小さきぼこ
人を見、知ることも、ままなら ....
あが、あがあが。
手にとって見たら、ちがった。
こりゃ、まずいぞ。
見なかったことにしよう。
誰かに見られたら、まずいぞ。
あがあが、あが。ちがった。
....
夢の中で{ルビ飛礫=つぶて}投げる
つんつんつーんと、水を切って、飛んでゆく。
つんつーん、つんつんつん、と水の中へ吸い込まれて行く。
岸の向こうまでは届いた。
でも、涙が止ま ....
なぜかゴマだれがなくて
フレンチかけて、たべた
ファミリーマートのドレッシングはよく品切れ、ている。
オフィス街の悲しさか、ひとの好みは偏って、いる。
ゴマダレはなぜ ....
カレンダー泥棒が街にやってきて
みんなの予定をどんどん、どんどん盗んでゆく
ぼくの楽しみのしていた秋の遠足も、運動会も、あっという間に盗まれてしまった。
運動会はいいけれど、遠足は返 ....
あなたの全てを吸い尽くして私は咲く。
あなたが掘っている穴は自分のため。
誰もあなたを責めはしない。
あなたの骸の上に私が咲くなら、誰もあなたを責めたりはしない。
あなたが生き ....
のど飴をのどに詰まらせ咽る日々
忘れ物取りに行ったら忘れ物
潮引きて冷や水もなく汗もなく
足袋ほつれ動かぬ故に終る日々
柳風枝垂れるみどりみどりかな
飲み食いもやがては飽 ....
雪が降りやがて溶け合う
春になり消え去さった
夏を迎え思い出し
秋を訪ねて彷徨う
猫の舌のザラついた感触を思い出してニヤリとする。
猫を触ったことが無い人は、ああ猫舌かと考えただろう。
そう思ってまたニヤリとする。
部屋埃鼻水かずむのぼせ鼻くちんくちんと涙目霞む
先長く後ろ短き時一つ春の朧の言うに及ばず
青い窓と少しひんやりとした空気を感じ
明け方にヒグラシホウシが鳴いている
季節を忘れ、わたしは幻を見た。
太陽の往来を無視し、わたしは幻を見た。
覚めることなき夢の季節 ....
八重の桜も散り始め、緑の花も咲く頃になってきました。
お元気ですか?
この間こんな言葉を知りました。
年年歳歳花相似
歳歳年年人不同
響きは何となく知っていたのですが意味は ....
煮干しわしわし噛む。
使い捨てられたカメラと
眠りすぎた昼寝
無残にも別れを告げられた男
残されたフィルムは
焼かれることも無く
時が経つのを待っている
傾く影と壁に映る窓枠
....
溜まった洗濯物を洗濯機の中に放り投げて、
ぐるっと回せば、汚れなんかは、どっかに消えちまう。
そりゃ、そーですわい。
でもさ、ほころびた服を繕ってくれる洗濯機は、無いんですわ。
....
手にとって感じるあなたは誰ですか?
目に見えた映像はいつのもの?
2年前と同じメンバーでした花見。
散ってしまった花びらをかき集めて手渡した。
見えないところで何かが揺らめいている。
....
今日、春の嵐が吹いていたことなど忘れているだろう。
鈍く伝わる雷の音、ひたぴたと重なる雨の音が、心地よく感じられる日。
今はそんな夜、だった、よ。
調子のいい別れ言葉なんか全く思いつかなくて、
ナイフを垂直に落としてゆくようなものだと、
先生に教わった。
扇情の末、夜の雷が地面に突き刺さる
咲いた、泣いた、サクラが白く。
咲いた、泣いた、サクラが泣いた。
泣いた、咲いた、ぼくらは泣いた。
溶けてしまいそうだ。
涙なんか出ず、喫茶店で時間つぶして、
帰 ....
ドアを開けるとそこには海が広がっていた。
あまり風の強くない日、浜辺に立つ。
波打ち際には近づかずに遠くで眺めた。
水平線は、左から右までずっと続いてて、ゆっくりと曲がっていた。
右に ....
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