バラが咲いた

灰色の地衣類コンクリートブロックに這い上がる
暗い庭に真っ赤なバラが
古い光が正午前の短い時間に射し込んで来る
祝福の時間は短いほど真摯だ

寂しかった僕の庭にバラが咲い ....
イスラム寺院の
ドーム天井の様に
高く積み上げた空
あんな高い所に
天国が
在るなら
昇っては
逝け無い

冷たい水が沁みる
奥歯を噛み締めると
青く染めた空の奥で
騒がし ....
侵された柔らかな海の洞窟
蒼く反響する水底から
掬い取った石英は
浮き雲が見る夢のかたち

船虫の棲む加賀の潜戸は
時を流刑する賽の河原
打ち棄てられた白磁の人形
反転しない砂時計 ....
ふたりは手をつなぎ
パンくずを撒きながら
黒い森に流れていった

小鳥のように木漏れ陽は揺れ
遠くの海を目指して歩いたけど
僕は正しい方向を知らなかった

ヘンゼル
森の魔女を殺しま ....
いつか通販で買ったあの赤い実の生るあれ
今年はやけに沢山生ってる
エッ去年もそうなの
そうか
今朝小鉢に取ってきた
一緒に買ったローズマリー
生い茂って大変だよ
ああ良い匂いだ
山椒が ....
小さなピンクのつむじ風は梅雨前線をくすぐり
日本海に柔らかな雨を降らせた
灰色のおおきな背中を撫でられて
海はじっと沖を見ている

昼前にここ数年の病歴を書き込んだ診断書を
提出すると ....
四十五分後に会うことになった
今掃除中で忙しいので
十五分ほど掃除をしてから
来るようにとの事
掃除は嫌いなので
詩を書くことにした
今書いている
15分で一篇
雨の日曜日の朝でも ....
いったいなにを鳴いているのだろう
夜の底が蛙の声で沸き立っている

半球はいつも夜のこの星で
絶え間なく鳴き続ける声はいつか
太陽系の外側の宇宙にむけて溢れ出すのだろう
何億年のあいだ ....
桜の木は老い
花びらは輝く力を失い
低いサーチライトに照射される
低く低く流星弾が飛び交い
黒い影はジワリと砂に滲みだす

断ち割られた石のベンチに寝転んで
覗き込む夜空の底
私た ....
静かな夜にいざなわれた
私はそのまま往ってもよいと思った
いざないは何度か尋ねてきたが
気付かぬ間に帰っていった

私は空ろな骨だった
呼び合うものたちの声に気付かなんだ

今夜月明か ....
やみくもに捕えられ
放り出された宇宙で
死んでいくのだね

やみくもに
放り出され
死んでいく
と言う処は
僕と同じだけれど
それから
文句を言う相手が
見つから無いこと
君は ....
遠い星から
スナイパーは
銃口を宇宙に向ける

地球から打ち込まれた
探査機は
火星の赤い大地を
不細工に這い回っている

地球人・ゴー・ホーム
宇宙にむけて
撃ち出された
君 ....
ジャブジャブ歩いていける
砂浜から続く海
うすい砂色の皿に
浅い海の色のスープをそそぐ
(鶴は飲めない狐のスープ)

ふかい空から
ひたむきに
飛び込む姿勢で
(ウミネコの視線で)
 ....
ぷよぷよ頭のシロイルカや
花火のようなくらげをみて
三人でおおきなアイスクリームを食べても
小さな女の子はそっぽを向いたまま
だから水族館から海へ向かう砂浜は
お母さんと君だけで歩いて行った ....
ついに発見されたのですね
青空いっぱいの無色な孔雀の骨
嗚呼ただの伝説かと思っていたのに
雲雀の血のにじんだ五月の空の
気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
発見されたので ....
師と呼ばれる男と
弟子が出会ったのは
ゴギと呼ばれる岩魚が棲む渓流で
両岸を繁みに覆われた小さなポイントだった
弟子は師の手造りルアーを3個藪の中に投げ込み
その夏最後の渓流釣りを終らせた
 ....
無い知恵を絞っても
さまざまに思いつくことは
己一人の生き様だけで
それぐらいしか思いつかぬ
そんなものでこの世を測っても
いい加減が
疑わしい物を計るのだから
腑に落ちる話にはならない ....
私を見付けなさい
私はもう隠れる事にした

月の欠けた影の中に
水仙の球根の中に
二枚貝の柔らかな肉の中に

そうしてもう動かない

蛇の口の深く長い闇の中に
夢見る形に開いた蛙の ....
みかんの花が咲いている島から
瀬戸内海が見えるというのは
あの有名な唱歌のせいだ
などと想いながら
コンビニ弁当を食べ
入り江の澄んだ水の色や
水平線に浮かぶ
白い雲のような櫻を
見て ....
海から見えるように
植えられたので
海岸沿いの山の中腹を何キロも
桜並木は続いている
去年は車の中から
弁当を食べながら観たけれど
いつか海の上から見たいね
ずーっと櫻色の帯になって
 ....
夜空を往くものがいる
丸く小さくひかって
星よりおおきく
飛行機より小さく
月の無い空を
意思もって動くものは寂しい
水茎を行く天道虫の意志
生きて動くものは寂しい

林檎 トマ ....
春の夜の淡雪は消え残り
白と紫に染め分けた山が
灰色の空のなかで静謐に光っている

午後の暖かな日差しが雲を溶かし
日陰に水路のながれる町で
冷たく甘いチャイを飲んだ

開け放った窓は ....
反響する月あかり
空は明るい菫色です
白い雲が
流れます

今夜
地上で起きている
出来事が
みな懐かしい
白い廃墟の町も
風の荒野も
現実にあった夢も
何一つ欠けることの無い ....
ファンタジーの中に閉じ込められて
夜空にはしろい雲が流れていた
玲瓏の青い水蒸気に燻され
旅人は迷宮をさまよう
白の魔術は失われ
中空で光さえ
囚えられ
病む

夢の
苦しさに
 ....
思いっきり身震いしたら
壊れてしまうかと思っていた
田舎町に
今ではすっかり馴染んで仕舞い

若かったゴジラ達も
皆立派な町の世話役となり
ズルズル引きずっている

逞しい尻尾に気づ ....
(よっぱらい)
酒を呑んで話すことをしなくなった
友情も愛も口にしなくなった
同意も求めなくなった
脅し文句も
誑し文句も
愚痴も
寝言も
歌も
詩も
・・・・

嗚呼・・諄い ....
杣人の 分け入る山の残り雪 ゴギ棲む川は寒く濁れる

   白く濃く もくれんの花咲きにけり 春陰の里を足早に行く

   黄砂止み 一面の菜の花 ゴビの砂漠に春の風吹く

  ....
三保神社前の土産店で
ママカリを干したのを
またもらった

いわしと一緒に取れるのを
ついでに干しただけだから
いつも無料だ
なにか他の魚を買ってくれ
と言う

竹で編んだ手籠と
 ....
無数の硬い実だ
日陰の広いテラスの横で
落葉したポプラの木に実るのは
黒く枯れた夢だ

初春の陽射しに映る
しろく輝くビル街は
湖水の向こうの蜃気楼
見たことの無い未来だ

二人で ....
草深い宇宙の
風景の灰色の中で
疼く不満や寂しさは
如何なる文化の残骸だろう

石垣に染み付いた地衣類や
鉱物を喰う黴は
硬い石の上に一時記憶され
やがては落魄する

地球儀と砂時 ....
まんぼう(61)
タイトル カテゴリ Point 日付
夏の庭自由詩406/7/1 11:57
自由詩005/10/16 19:21
夏の扉自由詩305/8/28 13:20
ヘンゼル自由詩005/2/19 10:32
今朝未詩・独白204/6/13 9:39
台風四号は四国沖で温帯性低気圧になった未詩・独白604/6/12 0:15
梅雨入りまえ自由詩104/5/30 10:23
蛙声自由詩504/5/24 14:21
鉢抜け自由詩104/5/22 14:32
いたずら未詩・独白504/5/10 22:30
宇宙犬ライカ自由詩104/4/30 15:21
スナイパー自由詩304/4/23 10:09
浅い海の色自由詩6*04/4/23 10:03
子供の日自由詩604/4/16 13:07
空の骨自由詩704/4/16 12:25
師弟自由詩204/4/14 10:01
海の日自由詩604/4/14 9:58
愛へ自由詩204/4/2 13:22
言い訳未詩・独白304/3/29 11:49
櫻の頃夜の海で未詩・独白404/3/28 16:08
不在の寂しさ豊饒の悲しみ自由詩304/3/21 10:54
春の旅人自由詩304/3/14 15:59
月夜の話自由詩1104/2/27 9:17
月の扉自由詩3*04/2/27 9:14
春の扉自由詩8*04/2/27 7:39
酒三題自由詩204/2/23 11:35
去年の春短歌1*04/2/22 10:15
干しママカリの南蛮漬けの造り方自由詩6*04/2/19 17:28
旅立ち自由詩504/2/18 12:58
宇宙暮らし自由詩304/2/18 12:56

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