太陽の垂直父性に卑屈な笑み死んでいるのだ夏の日はただ
逃げた月誰もが自分の声を出す取りこぼされた知覚の外で
明かりのない部屋で
画面の光に群がる私
また生まれるの
そしてまた 日の出前に私は死ぬの
太陽に喰われるの
私 瞼の裏 なんだか妙にスカスカするの
だから仕返しに
喰ってやるの 奴の ....
月隠れの夜
街灯の影に咲き
暗い空の裂け目に
眩しそうな眉間の皺
寄せては返す
夜の嘘 その甘さ
秋の夜風の
気まぐれさに濡らされて
潤んだ瞳のその甘さ
じりじりと迫 ....
雨が降る
雲がほつれるように
空がほどけるように
滑り落ちる雨が
弾ける
割れる
砕け散る
ほら、あっという間に水たまり
さっきまでの青空を
吸い込んだかのような
真っ ....
紫陽花と雨の溶け合う{ルビ夜=よ}の薫り狂気の足取り海に沈まれ
私が昔住んでいた家のすぐ近くに火葬場があった。晴れた夏の日によく、煙突からにじむ煙を無邪気にながめていた。そんな記憶がある。
私の祖父が亡くなったのもそんな季節のことだったけな。もう、5年も経 ....
夜はうえ。昼はしたを見て歩くのがよい。
ひかれたトカゲが一匹、ひからびていた。なぜか仰向けで。もしかしたらひかれた後、のたうち回っていたのかもしれない。肌がぴりぴりと痛い陽射しの中。彼のお腹の ....
街灯に葉が透ける
見るでもなく 見ないでもなく
浮かぶ 黒猫の瞳
水たまりに漂う
おびただしい黄色の残骸
昼 彼らは風に揺られて
あたらしいいのちを探していたんだ
春は今 ....
水面の歌う声
月をも遠ざける
まるみがかった夜の漣
騙された雲は空を去り
世界が空に包まれた
朝はもう 来ない
額のしわを撫でながら
小男が河原を跳ねる
青白い夜のざ ....
地の底から
這い出た時
そこには
鋭い三日月があった
羽を切らないように
そっと飛んだ
深い深い夜の底
湿ったアスファルト
どこか涼しげな蒸気
空には
鋭い ....
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