窓の外には金の星
ぼくはぼくが優しく振舞えば
君が落ちることを知っている
君の瞳にはそう書いてある
でもそうしたところで
その先には何もないのだ
ふたりともたちまち痩せ細り撤退するだろう
愛の前線には敗北が ....
ああ、十月の田園よ
田舎よ
ぼかんとした昼間よ
丘陵地帯よ
金山よ
見慣れぬ重機よ
ナマズよ
小魚よ
真っ黒なヘビよ
ぼくはもう五十にちかい
宿の女将と何度視線が合おうと
手を出 ....
ずぶぬれおっけー
この頃は寂しさなどは感じざり想い出に生き始めたるかも
見ることも聞くこともなきチスジノリ橋を経巡り日がなさがしぬ
チスジノリ
血条苔。紅藻類ウミゾウメン目の淡水藻。暗紫色で、多くの糸状の枝を出す。河川に生育し、生育地は天然記念物に指定され ....
放たれし小魚のうち一匹は力なく身を裏返しけり
人知れず投げたる石のよく飛びて湖心に落ちぬ秋ぞ明るき
オレンジ色のジョイ
猫には郵便局へ行くと言ったが正しくはローソン
静やかに辿り着きたるバス停に迎えの来しは入日のさなか
二兆三千五百億円なり
(毎日百万使っても二千七百年かかる。一兆使い切るまでに。)
夢で鶴太郎に反物を売った
黒い石鹸が割れた
月光の仮面
石榴の時
夕刻陽が溶鉄色の玉となる
何かが瀞むようです
遠目にも紫と見ゆるマニキュアの天満宮の光の中へ
食堂が水撒きしてて看板の「うどん」が赤で「生そば」が黒
ピアノという家具の冷たさの{ルビ傍=そば}で
冷めたコーヒーおーけー
マニキュアや街の隙間に山赤く
二十年を畏れる
淋しい山から海が見える
心臓を撃ちぬかれ邦人記者の身はミャンマーの路に倒れたりけり
瓶に鉢にポトスは生を渡しけり窓に風なき秋の{ルビ朝=あした}の
ありふれた雲
タカノホームに客無し
丹念な歯磨き
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