ユンケルの細いストロー
沖縄の海上の雲に穴ありてその下の海原は金色である
空の意味がない
青空しかない
よく晴れた秋の昼下りが知られずにいた
地上二十メートルの雲がある
砂の熱さを憶えている
山から電車を眺める
路地裏の神社隣の子供かな
六甲の夕映えはるか丘陵の伸びやかにして淋しきものと
{ルビ蟷螂=かまきり}の貼りつく道の女かな
{ルビ白真砂=しろまさ}の空地に這ひし{ルビ葛=くず}の{ルビ蔓=つる}九月はじきに終ふる気のする
白真砂=花崗岩由来の白い ....
秋の夜の水の冷たさを腹に溜めた
2?百円弱の水を飲みロールケーキを四切れ食う夜長
庭より白猫の帰り来るもう秋
激しい雨に立つ
夏終わる紙幾枚か燃えながら
扇風機止めて静まる夜更けかな
行く夏や新幹線の中のこと
幾枚か光る瓦や夏の月
悪霊に息の根を止めかけられて目覚めし夏の夢の暗さよ
アポリアが首を擡げる猛暑かな
蒼空の下に熱風の日々続く類稀なる夏となりけり
若うして死をいそぎたまへる
母上の霊前に
本書を供へまつる
種田山頭火句集『草木塔』序文
山頭火は十一歳の時に母親を亡くしている。自殺だったそうな。 ....
中上忌今年は浅田彰来ず
{ルビ冷奴=ひややっこ}夜が大きい{ルビ他所=よそ}の街
スギ林の土壌調査に雨は降り濡れに濡れけり草木もろとも
丘陵地谷面中部林内雨山椒魚とじっと濡れけり
白鷺のいる雨
夜更けの雨を好み候
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