同性の上級生を誘いたい夜は短いワンピースを着る 誰か
私の取扱説明書を
作ってください
自分でも
使いあぐねているのです

ほうっておくと
女の身体ばかり見ています
注意しないと
非常識な論難を始めます
制御しておかないと
い ....
年賀状でも書こう と
去年もらった賀状の束を
取り出し 眺めると
ああ そうだったな
みんな やたら
夫婦で それに 間に
子どもをはさんで笑っている
そんな写真のわきに
おめでとうご ....
心を石にしなければならないときもある
そんな言葉を聞いて 今がそうなのかと
石になって押し黙っていたら
でくのぼうと罵られた

欺いたり盗んだり蹴り上げたり
でもそれは愛しているからなのだ ....
あなた という名のふくらみに
わたしはこの頭をもたせかける
そっと 流れるものを 感じる
ふくらみを(世界の) あなた
という名の 熱く流れるものを

わたし という名のふくらみに
あな ....
ジャケットを着ていこう
今年初めてあなたに会うから
いつものカーディガンでなくて
高級品ではないけれど、お気に入りの
ベルベットのジャケットで行こう

心にもジャケットを着ていこう
変に ....
磁針の指すN極めざして
人混みの中を歩き続ける
身体はふしぶし痛み火照り
イルミネーションに囲まれ
深い咳が絶えない

この街のどこかに
今夜極北が存在するはずだ
そこに屹立したいのだ ....
ぼくが遅れてきたからね
君のことが見つからなくても
しかたのないことなんだ

いつも遅れてしまう
バスにも試験にも
日焼けしたり、泣いたりするのも
少しだけみんなより後で
時計やカレン ....
はじけたんだよ はじけたんだよ
わかりやすくいうと ぼくの脳内
α系回路にきみの画像がスキャンされて
性興奮反射にはたらきかけたんだよ
抑制(^o^) 冷静(-_-;) 理性(*!*)

 ....
よく話し合って進んできたはずなのに
ぼくたちは何かを大きく間違えて
今考えているものはきっと世界を
ひどく害するような概念のあり方なのだ
嘘つきが一つの嘘をついたばかりに
百の嘘が必要になる ....
紙魚による古い日記の傷み
思い出を放っておいたから
ところどころ判読不能で
繰ると震える頁の立てる低い音
音は、シ、ミ、シ、ミ、と
B、E、B、E、B、と
古い日記の痛みの音

あなた ....
需要と供給との交点を探る単純に経済学的な
愛の問題だったのかもしれない、冬の

あなたの唇が触れたことのある私の傷口は
今も赤紫のかさぶたとして残っています
それが何かの文字に見えてくるとき ....
切断された こ、と、ば
断面から折れこぼれ
中途までしかあなたに届かない
だから背を向けたのですか
断ち切られた視線
くちびるのあかぎれ
私は し よ を横に並べて
は に見立てようとし ....
正月ぼけで出勤すると
コーヒーメーカーで淹れたコーヒー
汚い共用灰皿からこぼれる煙草
   不愉快だったり
コンピュータのご機嫌と上司の会議
会議中の上司への電話
俺には意味不明な伝言
 ....
雪も降らないまま年が明けて
アパートの隣人は帰省したまま
窓の下のちょっとした幹線を
行き過ぎる車もまだ少ない
そんな夕暮れ時、あなたからの電話

あなたはもう恋なんてしない人
ずっとそ ....
私が知らない、あなたの息遣いがある
私が知らない人の前でその息遣いを
あなたは、する
固く組んだ指を解いて
代わりに軽く瞼を閉じて

あなたの裸体を描くことができる
その正確さにやるせな ....
ヴィトンのバッグが欲しいの、だめ?
ってねえちゃんを張り倒し
ぼた雪の靖国通りを伊勢丹方面へ

薄暮に連なるテールランプさ
車列が確かに調子はずれの
聖歌をがなりつづけている

お前は ....
かすかな破裂音を立てて
冬眠中期の蜥蜴の夢は中断し
ブロック塀の上に捨て置かれた
白いビニール手袋が
道行く人を時折驚かせる

ゼラチンあるいはグミ状のものが
生成するのはまだ先のこと
 ....
映画館のないその街の市民が
映画を観られる唯一の場所「公民館」
そこに私は技師として勤めている

 あなたがレコードを出した
 レコードで聴くその声はあの頃
 そうパブで私とはしゃいでいた ....
君の悲しみよ
涙と流れるな
結晶化せよ

君の疲れよ
汗と滴るな
結晶化せよ

君の痛みさえも
血と噴き出すな
結晶化せよ

しょっぱい思想として
都市と対峙せよ

君は ....
今夜この街の二十万のベッドの何割かの上で
愛が倦み、愛が生まれ、愛が壊れる。
ベッドは一つの水準である。
ある部屋のあるベッドに潜り込もうと
住民たちは昼間、さまざまに図り
汗を垂らし、涙を ....
ショパンの旋律に震えつつ
掌を変拍子で打ち鳴らそう

湖で一番美しい白鳥なんかになるまい
烏たることに自足しよう
ぶざまに群れ
餌を漁り太り気味となり
ふてぶてしく騒ごう
そこから立ち ....
本当はあなたと一緒に
花壇を作りたかったのだ
ともに暮らす家だとか
肩を並べてドライブする車だとか
そういったものはどうでもよくて
ただ花壇を作って花を育てたかったのだ

だから花は好き ....
きょうも帰ったら
知らない人から何通も
郵便が届いていた
(開封せずに捨てる)

最近この国では
知らない人に
手紙を出すのが
流行っているらしい

ぼくは手紙は書かない
今度会 ....
おまえには赤い照明が似合う
顔に笑みを塗りつけ
何か歌う その歌は
ざわめく客席には届かない

この店はただでさえ暗く
ましてショーの時間ともなれば
隣の客の顔さえわからない
それでい ....
新しい歌は歌わない それが
はなやかな街でぼくの耳に
はしゃいで聞こえてきても
その旋律を覚えない

歌うのは若いころに覚えた
三つか四つの歌だけだ
このごろ流行らない拍子は
どれも友 ....
佐野みお(26)
タイトル カテゴリ Point 日付
同性の上級生を誘いたい短歌113/10/20 22:54
私の取扱説明書自由詩209/12/26 19:43
年賀状自由詩009/12/26 19:13
石になる自由詩309/12/5 20:56
天動自由詩009/11/1 1:44
ジャケットを着ていこう自由詩208/1/4 21:53
私は抵抗しようと思う自由詩007/12/23 21:32
ぼくが遅れてきたからね自由詩407/12/18 20:54
もう止められないんだ自由詩107/3/18 20:52
正しくないぼくたちのために自由詩407/3/16 21:36
書いたものが何かであったころ自由詩207/3/4 20:33
L自由詩007/1/31 20:20
切断と鏡像と自由詩407/1/10 20:42
きょう仕事が始まった自由詩507/1/4 21:22
soul&snow自由詩307/1/2 21:50
射手座自由詩706/12/25 21:30
歳末狂騒曲自由詩106/12/19 21:25
十二月、中学校のある町自由詩106/12/10 21:00
映写技師[group]自由詩706/12/4 21:09
結晶化せよ自由詩606/11/28 20:18
ベッドタウン自由詩606/11/23 23:37
行動の準則(1)自由詩306/11/19 23:24
花壇のわきで自由詩506/11/15 23:24
手紙自由詩006/11/13 23:40
踊り子よ自由詩306/11/12 21:55
新しい歌は自由詩606/11/10 20:26

Home
0.36sec.