異教徒を大量虐殺した独裁者も
何人もの幼女を切り刻んだ青年も
我が子を押し入れに閉じ込めて餓死させた母親も
みんな赤ちゃんだったのに
かわいいかわいい赤ちゃんだったのに
あなたのいのちにきょうめいして
あたしのからだのいちばんおくの
ちいさな鈴がふるえてる
あたしのものとはおもえない
きれいな音で鳴っている
まっ白いクリームの上で引き立てあう
イチゴとミントみたいになりたいのに
今夜はうさぎのお話をします
*
その詩人は愛するうさぎのために
十日ものあいだ寝食を忘れ
うさぎに捧げる愛の詩集を書いておりました
みなさんご存知の通り
うさぎは淋しいと死んで ....
詩人さん
ぼくは詩なんていらないからさ
じらいをふんだ兄さんに ぎそくをつくってちょうだいよ
ばい春してる姉さんに きれいなドレスをもってきて
ちいさなおとうといもうとに ....
アスファルトのすきまで花咲かせてるちいさな花
いつだってあたしは笑ってたいと言ったきみを思い出す
まようことなくまっすぐと
明るい明るいほうをめざすきみを思い出す
なんでも願いを叶えてくれる女神さま
もしも「あの子がほしい」と願ったら
いったい何をしてくれますか
ぼくはどうしていいか判らないのです
それほどあの子を好きなのです
あの人がほしいあの人がほしいあの人がほしくてたまらない
でもどうすればあの人を手に入れたことになるのか判らない
たましいをわしづかみにしてあたしのとりこにして
お互いの区別がつかないくらいど ....
あのとき咲いていたのが清らかなみずいろの花だったら
あたしたちはそれぞれの家へちゃんと帰れたかもしれない
自分の花とおなじように
他人の花も大切にできたら
そしたら世界は平和になるかな
この真っ赤な嫉妬の炎が
あたしのすべてを燃やし尽くして消えたとき
その焼け跡に清らかな花が咲きますように
そしたらあたしはその花を
あなたとあの子に渡します
「仕合せ ....
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