私が知りたいのは
この体に感じる空気
命の生体反応が何処であるかである
個々の生命体に同一の感覚器官があり
決してそこにいる人間が機械でないことと知る
生まれて一度も
他 ....
丘に一本の木がある
見向きもされず
子供が木に登ることも無くなった木
紅葉もしない木の回りはやがて
町になっていく
道が出来て町は活気に満ちた
木は独りになった
....
恐ろしく雄弁に語り始めた
もうすぐ死ぬであろう男の言葉に
耳を傾けることにした
妻は生きているかと言った
もちろん生きている答えた
息子は元気だったかと言った
....
人が欲しかった未来的な機能
過去へのタイムスリップを可能にしたのは
彼らだろう
半永久的に維持され
薄れゆく記憶にも臆さず
少年の笑顔が少年であり続けられる場所は
も ....
握った砂を
こぼれ落とす
ゆっくりと時間を掛けて
小波の中
夕日が散っていくのを感じながら
また握ったとき
私の中で一つの時代が
眠るように終わりを告げた
昔の詩の中は未知でいっぱい
何ていったって私は戦争なんて凶悪なものを知らない
かといって飢餓や
疫病も知らない
病院行くなり
両親頼るなりすればすむ
満たされた世界か ....
愛していますかと言われた
愛していると答えた
そうして育った君を裂いて
貪り尽くす
玉蜀黍
君の身が丸まるだから
死にたくないから
君を殺します
愛しているか ....
置いてきた
始まりは
よく考えれば分かる場所にあった
家の中なのだ
四つの言葉は伝染する
太陽に
抱かれて
今僕が生きている
まだよく分かっていなかっただけ ....
僕らが死んだとき
その手に握られたものを
そっと次の人へ手渡す
リレー選手のように全力疾走できないけれど
手渡した瞬間
思いも
願いも
約束も
希望も
全部託 ....
真実はどちらにもスパイスとして含まれている
どちらを選んだからといって外れにならない
負けはない
しかしその先に敗北似の
地雷が仕掛けられていることもある
選択後スパイスは強 ....
女は男を見ていた
男が何を持っているかであって
何ができるかを見ていない
鋭い視線
男は体毛をたくさん生やして
怖がって
体毛が生えない人は一目散
町の端
ビルの ....
プランターに大根が育つ
セッセと蟻のように虫を爪弾きした成果だ
その蟻も我が物顔でプランターに通う
家に入れば味噌汁が待っている
買ってきた大根の味噌汁
母が汗水たらして買っ ....
二十一世紀というものがやってきた
何気なく
僕らは息をしてきただけ
身軽に空を飛べるようなものも無いし
見たこともない食べ物があるわけでもないし
すべてに ゆっくりと足跡をた ....
新しい芽が出る
それは心に生まれるわが子
おはようという
答えはない
それでも生きていると答える
葉っぱが答える
上を向いて、生きている
上だけを見て、生 ....
ここに今、一つの時間という概念が存在する
過去に行くためにまずは言葉に変換する
するとどうだろう
言葉は半自由を得る
次に
未来へ行くために空想のエキスを啜る
すると ....
眠たくなったからが先か
眠ってしまうからが先か
どちらにしろ 人は眠りにつく
人が言葉に出会った
生み出したか
生まれたかの違いで
人間は使い始めていた
息をする ....
私は生きているらしかった
時計が回るのをただじっと見つめて
ご飯を食べるのも忘れ
私は下校のチャイムが聞こえるのも忘れ
泣いてばかりいた日々の中で
鋭敏な空気の中に孤独を感じ ....
君は恋をする
移ろいでいっぱい好きになる
何もかも見えなくなって
急激に吸い込まれていって
もっと好きになる
同じ言葉は生まれない
本気で好きになったときに
一生 ....
答えなんてないのよ
赤い砂糖なんかに
どこへ行っても甘いといわれる
彼女の抱く塩っ辛い悲しみは
いつも甘い砂糖の味がする
甘くて
強くなれない甘い命
彼女は口に
貴 ....
ゴミにはゴミの事情がある
使える筈の物がある日使えなくなる
とか
見栄えが悪くなった
とか
引越しするんで持っていけない
とか
人間が貼ったレッテルは
使 ....
僕はネコを弁護する
ネコには悪意は無かった
ただ生きようとしていたんだ 僕と同じで
リンゴをかじったのは
人間にとって
バツが悪かっただけ
誰にも謝る必要
ない
....
イス
最初は誰も座ってなどいなかった
長い旅路を終えた人が
まずそこに座った
イスは埋まると新しい物が置かれる
そこを求めて誰もがやってくる
駆け足 跳び足 忍び足
....
時間の過ぎた大きさを
ときに強烈に感じる事がある
不思議と馬鹿をやっていた時代に
さりげなく聴き濡っていた歌
時代を経た瞬間
実しやかに去来する空虚感
一歩も二歩も向こう ....
「お味噌汁を下さいな」
真っ赤なお味噌汁が出てきます
赤いじゃないか 豆腐はどうした
あ、へぇ
豆腐も味噌も微細な菌の死肉を元に育った大豆という豆を
見事きれいに潰し ....
死んだのだよ
誰も知らない場所で
その音を
騒ぎを私は早朝に聞いたのだ
あれは
お前の声なき声だったのか
顧みるに
お前は絶命をしたのか
私に
この心の中の残された ....
お前たちは人間だ
動物達から突きつけられた言葉が
訊いている
年金問題に揺れ
教育に揺れ
事件に揺れて
私たち人間は今
どこへ行こうとしているのだろうか
誰もいなくなった
傷付いたスーパーマーケット
一階には生鮮食品売り場があり
上には日用品売り場と
もう一つ上に家具売り場が
整然と人知れず並べられていた
蜜柑は一 ....
私は私が笑って死ねる場所を探したい
と
旅人は思うらしい
ひょっとしたらポックリその場で死ぬかもしれない
車に当たって死ぬかもしれない
恨まれて誰かに殺されるかもしれない
欠 ....
やっと休むことができたのだ
静かに寝かせてやろう
お前がいるから
私も、私達も尊いと
泣くことができるのだ
お休み
また新たな門出で、お前には世話になろう
その時
....
私は女です
子供を産めなくても
私は女です
私はカエルです
鶏肉みたいだといわれても
私はカエルです
私は鳥です
空にいけなくても
私は鳥です ....
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