部屋の机の上に飾られた写真立てに
うっすらと積もった埃をなぞって
ここで過ごした時の長さを思った

写真の中の笑顔はそのままに
もうずいぶんと遠くに来てしまったような
そんな気が ....
虹色の透明なシャボン玉は

きらきらと太陽を反射して

青空に高く高く舞いあがり

初夏の爽やかな風に乗って

一番高い杉の木の真上まで

わたしたちの祈りと願いを
 ....
ひとは思想だけで死ねるという
それにはわたしには思慮が足りなかった

ひとは愛のために死ねるという
それにはわたしには憎しみが足りなかった

ひとは祈りのために死ねるという
そ ....
部屋にかかったカレンダーは
どれもあの夏でとまったまま
色あせて端が少しめくれて

蛍光ペンで記された丸印が
日に焼けてかすかに残りそれも
何の記しなのかはもう不明で

思 ....
あなたが好きだったアーティスト
なんだか鼻について嫌いだったわ

あなたが好きだった作家
なんだか生き様が嫌で好きになれなかったわ

あなたが好きだった食べ物
なんだか食感が妙 ....
世界が急速に色褪せて

景色はぼんやりと滲んで

過去と現実の境界は曖昧で

夢と現は混濁する



浮かび上がる記憶の断片だけが

鮮やかに色付いて

現れる ....
笑顔を求められ

強く生きることを求められ

死ぬことも消えることも許されず

貼り付いたペルソナは次第に現実と乖離し

ひずみは徐々に大きくなり

もうもとの形を失って ....
あのとき雪を頂いていた山はもう
緑もずいぶんと深くなって

あのとき枯れ草を敷き詰めたようだった田はもう
水が張られて田植えの準備が整い

あのときどんよりと重く垂れ込めていた空は ....
あずみの(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
白い病室自由詩7*07/6/12 11:40
二人遊び自由詩7*07/6/10 18:35
うつくしい死因自由詩807/6/9 7:47
夏に澱む時間自由詩407/6/8 8:35
記憶のかけら自由詩407/6/7 12:34
モノクロの喧騒自由詩5*07/6/6 9:59
道化師の慟哭自由詩507/6/5 20:26
ときの流れ自由詩1107/6/5 7:39

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