大きな一呼吸

(ピーッ・ピーッ)と鳴る心拍数

閉じたままの瞳

左回りの一針が

小さな不安を呼び起こす。

(高い鼻・長いまつげ・尖ったあご)

顔立ちが美しいと

 ....
父が教えとして伝えた物事は
今すぐに理解出来なくても
成長するにつれて
解かる物ばかりです。

何かに困ったとき
どうしたらいいか迷ったとき

父の言葉を思い出して
父ならどうするか ....
父の声が、聞こえなくなった。

「もう、泣くのは止めなさい・・・・。」と

私を突き放したのだろう。

匂いの消えた、フリースマフラー。
折りたたんだ簡易ベット。
もうすぐ手放すファミ ....
父の好きだった物を食べると
思い出す事が多すぎて
(もう二度と食べない。)と
自ら放棄した。

熱々のラーメン。
つやつや光る大皿の刺身。
カラフルなマーブルチョコレート。
一息ついで ....
あなたに抱きついて

匂いを嗅ぎました。

いい匂いだと判ったので

一人占めしたくなりました。

声も/その手も/優しく奏でる詩も

横に居て一人占めしたいと

ますます強く ....
名前を呼んで。

私だけの持ち物を。

眼鏡の奥の瞳を見ながら

名前を呼んで。

父と母と家族がくれた

この世で唯一の宝物。

(お願い。お願い。)

名前を呼んで。
 ....
切っ先を突き立てると

むき出しの乳房をつたう赤いしずくが

干からびたへその緒を濡らす。

一人欠けた視界の中は

景色と表情と人の形が見えなくなった。

遺体になれない私は
 ....
私の父は、明という字に彦と書いて「明彦(あきひこ)。」という名前だった。
小学生の頃国語の授業にて、名前の由来の話になった。
当時クラスには、「彦」という名前を持つ男の子が2・3人いた。

昔 ....
星になったお父さん。
緑色に染まった大腿骨
熱が残る銀の台。

星になったお父さん。
布団の上に置かれた守り刀
それを手に取り
喉元へ突き立てる。

白く覆われた空が
泣くのを見ら ....
顔を上げると、あなたは笑っていて

私を見つめる瞳は、逸らされることも無く

固定されている。

「ただいま/行ってきます。」といっても

自分の声だけが響いて

あなたはただ
 ....
洗い立てのセーターが
残っていた匂いをかき消して

近くに居るはずの存在感をまた一つ
この世からほおむり去った。

庭先で鳴く猫が
「寂しい。寂しい。」と呟いているようで
荒れた畑の片 ....
父の声を聞きながら
新宿駅9番ホームへの階段を駆け上がる。

「早く帰っておいで。」
という会話を終えて、今年最後の電話は切れた。

(山梨行きの特急切符。)
お金と時間を計りにかけて、 ....
雪が残る夜の庭先。
これから・・・・
帰宅する父を待っている。

妹二人に連れられて
「ただいま。」を言わないで帰ってくる父を・・・・。

(父が眠りに付き、大きく息を吸った瞬間を覚えて ....
刺身を盛り付けると
「うまそうだな。」という声が聞こえそうで
安曇野のわさびをすりおろす。

刺身を盛り付けると
ほくほく顔のお父さんが横に居るようで
馬刺しも別皿に用意する。

「ま ....
目の前で
僕の知らない姿になって
君は無言で立ち上がる。

目の前で
僕の知らない姿になって
白い胸元晒しだす。

目の前で
僕の知らない姿になって
綺麗な背中を見せ付けた。

 ....
父が寄り添う。
父が寄り添う。

喪服姿の妻と娘たちを抱きしめるかのように。

父が手を振る。
父が手を振る。

満開の桜を頭上に仰ぎ
最後の団欒を見届けながら。
昨日まで
温もりを感じた父の身体

今日になって
冷めかけのお茶よりもぬるくなる。

一昨日まで
温もりを感じた父の身体

今日になって
明け方のこたつよりもぬるくなる。

三 ....
父の衣服が
風も無いのに揺れだした。

一人でうずくまる東京のアパートで。

死の間際
僅かな体力と精神力を右手に込めて
「お父ちゃん。お父ちゃん。」と呼ぶ娘たちの両手を
ほんの少しず ....
雪が解けた、駒ケ岳の峰。

麓に向かい、流れてゆく水が
悲しみも流してゆく。

不意に通り過ぎた突風が
父からの「がんばれよ。」にも聞こえたようで

南の方角に手を振った。

(生 ....
お別れの言葉

お父さん。おとうさん。
お別れの言葉と言われても、何を書いたらいいのか解かりません。
かといって、等おじさんの様に感謝と思い出を素直に綴ったものを書くことすら出来ません。
だ ....
父の祭壇の後ろに回りこみ
白い布の結び目をほどき
小さなロケットの中に1・2本の欠片を入れた。

「ごめんなさい。ごめんなさい。お父さんごめんなさい。」

近くに居て欲しいと願い
いたず ....
最後を惜しみながら、父の顔に手を置いた。

最後を惜しみながら、閉じた瞼と睫毛に触れた。

最後を惜しみながら、聞こえるであろうはずの耳に話し掛けた。

最後を惜しみながら、車を見送り
 ....
カランカラン・・・・。と、骨が笑う。
カランカラン・・・・。と、骨が笑う。

「それは父がよこした、私への返事。」

問いかけても
話しかけても

手のひらに置いた骨を握り締めても
 ....
気持ちを、大きく放つ。

砲台を唇に

爆弾代わりの言葉をセットして。

(囁いて・問いかけて・叫んで・・・・。)

零れ落ちる感情を

受け止め切ることが出来ない。

あなた ....
物を落とした日

探しても見つからないと

諦めて無かった事にした。

(心の針を一巻きして、出会う前の私に戻ってゆく・・・・。)

顔と名前がちぐはぐで

「あなた、誰?」すらも ....
死を待つ女が一人

手を組んでいる。

これまでの歩みと

関わった人々に感謝を表すかのように。

父が死んだ日は声を殺し

読経が響く斎場の前列で

ひたすらに泣いた。

 ....
名前を呼ぶのは、心を満たしたいと願うから。

前を行く背中が遠くに見えて、少しだけでも触れたいと伸ばす手が無意識に振りほどかれて行く。

「居なくなってからでは、もう遅い。」

しゃり…。 ....
(傷口が、膿み始めた。)
誰にも見えない六畳間で。

山盛りの塗り薬をこぼしながら
ぺたぺたと肌に塗っている。

(傷口が、泣き出した。)
細く赤い線を描きながら。

「 ....
ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。

ダイニングテーブルに、私ひとり。

ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。

時刻は、夜20;00過ぎ。

硬くなった肉を ....
何かあれば心で語りかけ

父の姿を探すようになった。

残された教えを守り

地道に生きよう。と

父に感謝をするようになった。

(死にたい。死のう。)と思い始めたとき

父 ....
梓ゆい(404)
タイトル カテゴリ Point 日付
脈。自由詩215/3/30 21:15
父の教え。自由詩315/3/28 18:21
形跡。自由詩215/3/28 0:04
chikara。自由詩315/3/27 22:55
好きな人。自由詩415/3/20 4:50
名前を呼んで。自由詩215/3/20 4:32
むき出し。自由詩115/3/20 4:23
名前一つの尊敬。散文(批評 ...115/3/16 22:39
星になったお父さん。自由詩415/3/16 22:26
笑顔。自由詩215/3/16 22:26
形見分け。自由詩315/3/15 20:22
年末年始。自由詩115/3/15 20:01
待ちわびて。自由詩215/3/15 19:55
食卓。自由詩415/3/10 17:01
目の前で。自由詩115/3/10 16:38
無題。自由詩315/3/2 15:13
今日になって。自由詩215/3/2 15:11
形見。自由詩415/2/28 15:29
月命日。自由詩415/2/27 22:42
お別れの言葉。散文(批評 ...115/2/27 22:19
49日。自由詩315/2/24 18:23
惜しみながら。自由詩315/2/24 3:17
手のひら。自由詩215/2/23 19:19
○○。自由詩215/2/13 18:52
封印。自由詩015/2/13 18:50
死の間際。自由詩215/2/13 18:49
リセットボタン自由詩215/2/11 21:55
塗り薬。自由詩115/2/8 1:19
ごはん。自由詩215/2/7 22:58
よちよち歩き。自由詩115/2/7 22:21

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