遠くでベルが鳴っている
目覚まし時計のベルの音だ
いいえそれは遠くではなく
私の内側から響いているのです
不本意な絶対音感が
耳鳴りさえも聞き分ける
この音は
子供の頃に使っ ....
妹のパンツが盗まれた
ぼくんちの犬は知っている
この足跡
この残り香
子供の頃よく遊びに来ていたお向かいの子だ
塀の落書き
ピンポンダッシュ
むしられた花壇の花
直接投函された手紙 ....
子供の時に付けたルゴールが
こんなにも大人になってから染み出す
小児科の匂いだ
私の喉からは
子供の時によく連れて行かれた
お医者さんの匂いがする
とても体調が悪い
母さんは
....
夕日を見た私は
きれいね
と、つぶやく
すこし眉をよせ
物憂げな表情をする
目からぽろりと
塩化ナトリウム水溶液を零す
そうプログラムされた
アンドロイドだから
....
まえむき に いきると
こっち を みて いうな
まえ を むけ
もう こっち を むくな
もう
そこには
とっくに わたしは いない の に
青空の下
パーンと爽快な音をたてて
真っ白なブランケットを干す
昨夜吸い込んだ涙は
これできれいさっぱり
今夜からは
まっさらなブランケットに包まって
もう汚さないと
決めたの ....
あいあい傘は
左側の方が好きなんだ
利き手で
あなたを守りたい
アタシは見栄っ張りだから
犬でなくてよかった
馬鹿みたいなアイツのひとことで
勝手にシッポがゆれうごくなんて
まっぴらゴメン
ほんとうに
犬でなくてよかった
去っていくアイツに
全 ....
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もちろんYES
YESYESYES
並びに並んだ
あなたの名前
あなたの名前
あなたの名前
ときどきクリックしては
ウインドウを開く
あな ....
耳鳴りが
止んで
はじめて耳鳴りに
気がつく
たった今も
消えなければ解らない
何かに包まれているのかもしれない
ひとの気持ちは
わからないし
そんなわたしも
ひとにはひと
先生
なんにも
なあんにも見えないんです
なんとかしてください
心因性超近眼
あのひと以外見えないんです
どうにかなりませんか
先生
それってコンタクトレンズですか
恋の盲目 ....
片々雪花
春を目前に
街の喧騒を
吸い込み
静寂の
雪
大きな雪片は
まるで天使の羽根だと
貴方は天を仰ぐ
天使なんかいないわ
私の胸に
貴方の名を刻み込んだのは ....
満月に欠落もあり雪ならば月に向かって降れよと呪文
パスタを茹でる間に
僕は死んでしまった
彼女は救急車を呼んで僕を運んだが
既に手遅れ
帰宅した彼女は
味のないぐずぐず茹ですぎのパスタを
僕の最後の料理を
ひとり頬張る ....
お願い、静かに
もっと、もっと静かに
マイナスの努力は困難ですか?
何も要らないが、欲しいのです
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