ニット
帽子
頬
十六の島に染められた子
遠景と 自動販売機から出た温かい缶を左手に
少女として佇む
移ろいゆくあなたが
ひとり勝手に 丁寧に動いている
遠雷と時報 ....
ハッカの花びらは
剥けて落ちるので青白く
外浪逆の上で
灯火の撒き餌になります
数滴
冷たい風にのって
持ち上がるのは
それは
大雪加です
見上げるほどに甘ったるい
葛 ....
薄ぃ暗い夜道ぁぁ濃密な夜霧
畝をとろかす二つの雲が太郎
工場と樫の森と琥珀とこぶし
ちっちゃく気高く可愛らしい
七分ざくらで雪の香り 艸
夜道は月明かりの妖しい仲間
水の浮いた田んぼ ....
煙突の上に煙突が乗っかって
綺麗な空だ
黒い空だ
人を憎むな
人を憎むな
こぼれ落ちる星がひとつ
ファミレスの窓がふたつ
天井が壊れ
フィルムの中で踊っている
くるりくる ....
可哀相な音がする
車も人も少な とぼとぼと
あなたの足でやって来る
歩いてんのは子供ら だろう
ぽつりぽつり
ジャージャー橋を
そしてぽつり と
歌の匂いをのせている ....
おまえには 抉り出された文字の気持ちなど
おまえには
ふるい塗料で
世のなかに
送電線は雨や 風
紙粘土の鉄塔が
削り取られ
魚のように
崩れそうに
土草ミズ艸
田んぼ道の
泥濘む足元に
横たえられてら
目の前の ....
文字もなく
舌根支える力もない
8両編成があんな赤い帯だったか
そんな些細な疑問が突っつく
みんな枯れ
上空三百メートル
黄砂のまんなか
あるのは火の警告灯だけ
衝突す ....
鉾田へ行きました
なぜか国道355で
湖を眺め
跳ねるように北上する道です
廃線跡の枯れ草が湖水を遮り
そのたびにキラキラとあかくて
スイフトとすれ違った先で
歌も聴けました ....
雨になりそう
バスがぐるぐるまわって
ETCレーンを抜ける
分離帯の植え込みが
千切れ飛んで
そしたら一本目の川を超える
珈琲色の田が広がる中洲
土手に目を向けると
赤いジャー ....
ありあわせの息をつなぎ止めては
上皮になすりつける
吸気とのバランスが保てないのは
肺が弱いからだろう
草も土も穏やかで冷たい
詐欺師のようにゼンマイで動く春は
枝から頬
鼻先に ....
あんなに強い西日なのに
青空がしろい
硝子の影が枯れ枝をくわえて
排ガスにはたかれた欠片が歩道に転がる
少しずつ少しずつ
細いものから音も色もころしてゆく
風は大きく旋回している
....
飴玉に
恋した
それは
悲恋だ
煙突と空と煙が同じ色
風と埃と夜と泣き虫
30メートル上に赤い目光る
ふたつ光る
60メートル上に赤い目光る
これもひとり勝手に光る
そのうえに虹
夜なのに虹
重たい色の唇と
言われたらしい
なんだって
導線から外れたら
振り出した足の小指から
じわじわ疎外されてしまう
単なる一歩は丹念に
親指から親指へ
カラーテープをみつめて
重心を ....
このクロワッサンおいしい
出来立てのお家の匂いだね
口に入れるとシャリシャリ
前歯でもちもち言ってる
ぼく喋ってる
紅茶も砂糖とか いらんよ
触るとお茶と同じ色で
焚き火のよ ....
コオロギの 濁点のような生涯
悲しい肉色の
西洋ツツジを切らさずに
昏々昏々 赤子と眠る
楕円の皿にわたしの指紋が乗る
楕円 私は 指紋のひとだ
ゆらゆらと少し苦い棒茶をすする
大鉢の下は銅の網が敷かれ
光沢もない
格子戸から黴がこぼれる
吹き抜ける風と
カーブミラー ....
ほら
真っ黒な風が
掃き付け壁みたいな傷と
戯れてるぞ
雑木林の真上で渦巻くものは
ボイラーから沸き立つ煙だろ
煤塵の腹のしたで
桜色に染まる三日月も
呼吸器の音色も まっ白い ....
流れ星を ・
ま 青い雲 す ーぐー に… . きれ いな 月 。_ -
みました ・ おやすみ
わたしは
冷たい座席に沈み込む帰途を選んだ
柩のような匂いが
鼻腔を撫でるもんだから
からからだ
青黒い窓を見つめると
スポーツカーをきいきい啄む
鴉の檻から搾り出た森が
....
胡桃の光をきいたかい
眼球を照らす胞子を
やわらかい言葉の浮かぶ土間を
流れの保たない漆喰に
バウンドし
チリンと匙を叩き
ザクロの茶碗に綿埃のる
加湿器が動いてる
光ってるオレン ....
僕は月夜
僕の飲む
お茶は熱い
氷は溶けて
水の中にある
トーストの切れ目
ジャムを塗り込む
左に茶葉
きっと苦い色
髪をすくう街路からの星
冷たいテーブル
....
プラスチックの色したカエルが
枯れ草に埋もれながら鳴いてる
今日はいいことがあったんで
笑ってんだろうね
つまんないものが
くるっとわっかを描いて
守ってたんですよ
彼の目の前に ....
その甘い息は
果実酒のギラギラだ
彼が毟りとって囲ったのが端緒
いま花壇に菌糸が潤む
涙も渇かぬ世界で白く荒い肌
舌で這いずる俺は犬のよう
餌ある限り死なないっての
米屋と倉庫の並びから
黒松のある石段までやってきた
市営バスの
卵色のソーダ水が
窓の中で揺らめいてる
並んだ頭はみんな後ろ向き
漬け物屋の側面広告にネコがいる
二夜の灯りを懐か ....
煉瓦も煙突の梯子も
宵に馴染まない
うっすらと蜜の匂いで
遠くの空は、山猫みたいだ
人が通り
加湿器が見え隠れする
冷たい錆がべっこうの窓を往来する
心細い釘に守られて
行灯は ....
疎遠が寂しい
メールが来ても
こわくて
返さない奴だ
すまない
雨
なんで
好きになるか
誰か教えてくれたかな
排煙を吸い込んだら空は少しむらさき
雨粒が落ちてきて
埋め立て地をバスは大きく旋回する
木場を眼下にカラスの姿を借りる
ぎらっと赤い橋の手前
白い橋の薄暗い輪郭に
3つの傘が揺れる
....
ねじれた幹から腕を伸ばし
まるい目のような光を孕み
銀色の匙の上に
頑張って浮かぶよ
髪が抜け
カラメルの天井からみて右横に壁に
僕の影があって
左手に温かい飲み物の人
眠いんでみんな ....
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