死が冬ならば
棺に花は入れないで
死が春ならば
棺に花は入れないで
死が夏ならば
棺に花は入れないで
死が秋ならば
棺に赤い落葉を敷きつめ
芋みたい ....
おびただしいメモを
トランプのように並べたら
墓石に コツコツ名前を刻んでたみたいで
ひっくり返しても 朱はなくて
どうしてだぁれも呼ばなかったの?
箱庭から ....
春浅し大観覧車ゆうるりと
剥製の芯にも春の驟雨かな
沈丁花おまえ独りの夜じゃない
街が
スーラの絵のよう
わたしたちを呑みこんだ
白と黒の
点描画
死に場所はあの頂きか冬の蝶
石女の指のしなりや雪女郎
雪しまく有刺鉄線さえ見えず
地下茎でゆるくゆるく絡まればこの人生を楽園と思う
どうだ
この幹は
凍裂と虫喰いだらけではないか
ひわひわと痩せて
在っても無くってもいいような
木ではないか
梢の先が仄かに萌えて
てんでばらばらに明日を指し ....
一度だけ繋がれた手の深々と二度と迷わぬ二度と離れぬ
傷つかず抱かれようなど抱こうなどいいではないかただじゃれあうの
鎖骨のくぼみに
ビー玉を置くような
無邪気
ひんやり転がる
Kissをいっぱい
あの白はあのひとときの雪卍なだれこむよに鳩尾の中
ばさばさ
斬りこまれるたび
どうしてだろう
鏡のような
湖面を 想う
ほんとうの秘密の雨は甘やかに観音座像の足も崩れて
真っ赤な空ならどうだろう
雲の白さに
焦がれ果て
そこに救いがあるように
そこに聖母が御座すように
冬の金魚が
光の輪を独占する
もうじき
ゆるい眠りが降り積もり
わたしだけの金魚になる
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