「あなたは生きている資格がありません」
「あなたが嫌い」
といわれたら、
酒をあおりたくならないか?

それは自分が弱いからなのだろうか?
血栓ができるほど
溜まりに溜まったものを
押 ....
雲に鉄塔が浮かび、鷗が舞う。
一面静止画のようでいて、
アスファルトをひと蹴りするごとに
地震のように画面が揺れる。
ドンドンドンと突き上げるような感じ。

今は坂の上で、
 ....
あなたが私のことを子供みたいだといふものだから、私は内心腹が立つた。
だが、少し経つと、成る程いい当てている処もあると感じた。
子供。
私は感情が細密な管を通して、妄りにだだ漏れしてしまうことが ....
漁色に耽った
日々に
思いを致し、
日は暮れてゆく。



俺が
舌の先で
乳首の先端を
舐めれば、
お前は
声を漏らす。
胸を震わす。
目を潤ます。
そう、
すべては ....
机の上で
ふとこくり。

一瞬が十秒になり
十秒が一分になり。

かすれていたイマージュが
少しずつ
はっきり現れてくる。

あなたの全裸が
球体の曲面に
映しとられる。

 ....
万年筆を握つて、ヴァージニア・ウルフは遺書を書く。
ケータイの自殺掲示板に親指を使つて、“リカ”は「死にたい」と打つ。

「私はこれ以上戦えません」
“私は生きていても意味がありません”

 ....
 アロマキャンドルの
 蝋が尽きそうな炎を
 ただひたすら眺めている。

 ノエルの夜。
 火を少し怖がりつつ、
 キャンドルを掌で包み込む。

 匂いに鼻を啜りながら、思う。
 や ....
濡れた髪ぽたぽたと
雫をつくりて、
あなたの肩に
こぼれる。

雫欲しさに、
短く刈り揃えられた髪に
唇をつける。

チクチクと
針の如く、感触に
神経はいよよ醒めてくる。

 ....
ああ、陶酔の果ては
干からびた礫のよう。

時{ルビ経=ふ}るごとに色褪せ、
あなたの固く締まった乳首は
砂粒となり散ってしまった。

赤く爛れた夕陽は、
あなたを染めた
最後の証の ....
古びたモーツァルトの響き。
どんなロマンスも叶わない。

つらく悲しかったのはいつのことやら。
駅の蔦がまぶしく露で光っていたのは。

孤独に討ち入ることもできず、
茶色い紙を鉛筆で傷つ ....
なすなく
思いは果てる。

プラットホームに貼り付くガム。
私を置き去りにしていく人々。

重しをつけた足で階段を下る。
途絶した時間を思って何になろう。

交差する歩道橋。
肩が ....
君の目は滲む氷雨に似ているよ ああ我は形ないものなり。

 ああもはや何者でもなく、
 ああもはや意志もない。

  ただ揺らめく、
  そのことさえできない。

   粉雪になれたらいいな。
    ....
超える。
漢字と仮名の間に
読点を加え、
える、を片仮名に化かし、

我等が国

彼等が国

断絶する。

超、エル。
憐れなる哉。
くっ付ける助詞もなく。


敏 ....
誰もこの苦しみに気付かない。今日をひょいと乗り越える奴らが妬ましい。

賞味期限切れ、落第、なんでもいい存在、ただの風景。つまらない試験を受けて、うだうだ受け答えして、どうせ切り捨てられる仕事にや ....
時としてひらめく羽根は渦を巻き過ぎればそこに白薔薇が咲く ハルコさんワンステップの春霞  君の丸顔。
 太い眉。
 きらめく瞳。
 青黒いひげそり跡。
 小さく赤い唇。
 陶磁器のような肌。

 ああなんて。
 その柔らかい輪郭よ。

 脳裏に映し出す。
 ああ。
 ....
 君の丸顔を
 指でなでる

 ああ何てなめらかな輪郭であろう

 このひりひりした感覚
 ドットの集合体みたいな欲望に
 火はつかず

 ああそれは君が表情を変えないからだ。

 ....
 ほこりをかぶったA4の紙に
 メールの文章が綴られている。

 もう十年も前のもので
 「たーいへんそーう」
 と書かれている。

 同じ所を繰り返し
 何度も読んでいる。
 当時 ....
ヘンデルの響きむなしき如月雨 時がすぎれば
忘れられると
強気でそう
あなたが言うものだから
私はくる日もくる日も
何ごとも起こさず
日めくりカレンダーを
めくるように、
繰り返す朝夕を
過ごしました。

朝 ....
チョコレートケーキ
甘いと思ったら、
舌の敏感なところで
苦さを感じてしまった。
スポンジの芯あたりから、
ほのかにオレンジの香りが
鼻についてきた。

人の生き方も
こんな三重奏だ ....
ずっと白壁にできたコーヒーのしみを見つめている。
目まぐるしく動く世界を見ていた昨年末と較べたら、なんとひっそりとした師走なんだろう。


あの時、オフィスのエントランスにはクリスマスツリーが ....
私は不能者になりました。できると思っていたことができなくなり、もはやこれ以上どうすればよいのか分かりません。隠し通して生きることもできません。少しずつ私の生活に侵食してくる恐れや不安が今有ります。抗う .... 刻一刻、過ぎ行くとき、
諦めの吐息を吐く。

鮮やかな、滲むような
赤色のセーターを見つめる。

あの飴色の日々を
脳裏に蘇らす。

戻ることはできない。
もはや空白のページを繰る ....
仕方ないことと思い、
メローなBGMに耳を傾ける。

沈殿した思いは、
そのまま沈殿させておくのがよい。

凝り固まり、
先に進まない時間をやりすごす。

黒一色のTV画面には
灰 ....
すれ違うあなたの言葉うつろなり私の言葉はすでに死の淵 貝殻が自殺に見える冬の番組 突き出された尻に尻をつける。鏡を覗くと、二つの体はY字を形づくっている。太い腿と細い腿。毛に覆われた脛と白い肌が剥き出しになった脛。顔をこちらに向け、訴えるような熱い目をしている。淫靡ではなく、真剣な ....
前澤 薫(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
てめえ自由詩209/3/7 16:03
或る宣告を受けて自由詩209/3/5 17:53
私が子供だと自由詩109/3/4 17:50
漁色の日々に自由詩109/3/4 17:27
夢のイマージュ自由詩109/3/4 17:26
死の時に自由詩009/3/3 13:38
ノエルの夜に自由詩109/3/3 13:30
あなたの髪に自由詩209/3/3 13:17
時経りて自由詩009/3/2 10:01
不在自由詩009/3/2 9:56
なすなく自由詩009/3/2 9:51
君の目は…俳句109/2/27 16:51
形ないものなり自由詩109/2/27 13:37
超、エル。自由詩009/2/27 13:32
暴言、自由詩109/2/27 13:27
時として…短歌109/2/25 16:34
ハルコさん…俳句009/2/25 16:31
自由詩109/2/25 16:16
無垢自由詩009/2/25 16:08
メールについたほこり自由詩309/2/25 16:00
ヘンデルの俳句009/2/24 17:44
優しい嘘つき自由詩209/2/24 14:09
チョコレートケーキ自由詩3+09/2/24 13:53
十二月の或る日の点描自由詩009/2/24 13:48
不能者自由詩109/2/23 10:06
日々自由詩209/2/23 9:53
喪失自由詩109/2/23 9:42
すれ違う短歌009/2/22 21:53
貝殻俳句209/2/22 21:37
私と彼自由詩109/2/21 19:58

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