と、その人は言った。

なんとも不思議に穏やかな笑顔で、
世界の涯へでも
身軽にリュック一つで出かけられそうなほど
軽やかな足取りで。

すべてはよりしろになる
悪しきものも
良いも ....
今はもうだいぶ古びてしまったけど、
あなたが生まれてすぐの頃
お風呂に入れている写真がある。
頭の後ろを片手で支えて
おなかの上にはガーゼのハンカチ

ただ無心に 洗い残しのないようにと気 ....
なきつかれて

ふとみる

窓ごしのやわらかなひかり

見上げれば 曇天
誰の心にも 深い井戸があって
暗い水面からは いろんなカタチが
遠く響いてくる声に形作られ いつのまにか表れ出てくるのです

彷徨っているのはだれ?

さまよっているのは
掛け金を外さ ....
柔らかな心臓の
鼓動は低く 揺れ
深い海の底の静けさに憩っていた

淡く 桃色に透けるひかりを放ちながら

ふたつが重なった瞬間から
凪の鮮やかさと
嵐の激しい容赦のなさが
代わる代 ....
たけよ
わかたけよ

雨上がりに匂い立つ
若草の薫りよ

今日一日の棘を洗いおとし
網膜の奥底にしみつく
灰の濁りに
若草みどりの輝きで
健やかさの幻影を与えたまえ
水辺の匂い
 ....
たとえば
月明かりの下 大きな使い勝手のいい山刀を研ぐ
水を跳ね返す 月の光と 鋼の地肌

にごる にごる水を
細く落とすひしゃくからの流れが
零れ落ち 湿った土の上を蠢きながら流れてゆく ....
白昼の薄闇から
紡ぎ出されることばは

淡く銀に光るほそい糸となり途切れることなく
佇む木の脳髄に送り込まれてゆく

ほんの一瞥で
粉々に砕けてしまいそうなその糸は
淡い夢のように儚げ ....
涙が枯れた ひとりの夜は
ゆっくりと
あるいていよう

ひとりのリズムで
つきといっしょに

行く先は決めない

足の向くまま

吸って 吐いて 吸って 吐いて の
自分のりず ....
夢であったひとと
夢のなかで くらした

どこにいるときも いっしょで
なにをするときも いっしょだった

一つの眼で おなじもの を 見て
一つの耳で 同じ旋律を聴いた

おなじ時 ....
鍬を入れる

びっしりと雑草はびこる庭の

縺れに縺れ こんぐらかり絡みつき合った

根と 根と 根と 根 に

土の底から 酸素を送り込む

 ミエナクナッテイタ

 イ ....
千面体は ひかりを砕いてまきちらす

こまかい粒子になったひかりの粒は 

ひとつひとつが硬質なつぶてのように 

まわりにあるすべてのものを うち叩き続ける

そのおとは

くも ....
けぶるような雨が降る
微かに放熱しながら 闇のケモノはまどろんでいる

銀色の毛並みは霧のように細かな水滴に覆われ
恐る恐るそっと触れた手触りは
なめらかで ひんやりと。

目覚めた瞬間 ....
うつくしいケモノは
自分のうつくしさも知らず

ただ くろいナミダをながすのでした
ニゲナイ? と、問う
ダレ? と、問う

問うたびそれは 
私のココロをうつすカガミのように
わずかずつ よじれ
いつのまにか 似ても似つかぬかたち に。

それでも よごと もぐる  ....
金色に淡く ひかる
ひかりくらげのような あのひとは
あおむけに 漂いながら 沖へ沖へと流れてゆく

静まりかえった 暗い 藍色の海

黒い小舟にのり 船出するのは 私
古びた 三階だて ....
もびいる

カラ かさ

しにん



ほね


ほね ほね

われる

あきぞら



した


むぎほ むぎのほ

ゆれ ゆうらり


ひ ....
ゆびのおと(47)
タイトル カテゴリ Point 日付
透過させてゆくのです自由詩3*09/7/12 13:51
あなたに自由詩209/6/10 4:07
夜の居間に自由詩009/6/10 3:08
触れる指が教えてくれた自由詩109/6/8 0:00
結び目自由詩009/6/7 23:29
みどりのころの…自由詩509/6/6 18:18
皮を剥ぐ自由詩109/5/31 4:16
薄闇からの…自由詩009/5/30 17:51
りずむ自由詩409/5/25 1:40
しずかな木々 金色の光のなかで・・自由詩009/5/23 12:00
深く掘る自由詩109/5/17 21:35
ひかりのおと自由詩109/5/17 4:16
まなざし自由詩009/5/15 1:20
うつくしいケモノ自由詩109/5/14 7:20
カガミノヘヤデ自由詩209/5/12 22:18
葬送自由詩009/5/11 2:36
葬式自由詩109/5/9 21:10

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