絶望のなかで戦うのはいい
自分がはがれていく
その感覚は
異国の弾薬数を思わせる
明日の文化を披露しあう若者を心配し
下生えの中で眠る
埋葬される私の胸に
日記帳がのせられていた
長い乾期が始まり、色褪せた紫丁香花が
垂れ下がっている
台風を待てば故郷は救われる
そう言って村人をつなぎ止めた
かつての独裁者の像が見下ろ ....
僕はドアを閉めた
僕は肩をすくめた
僕は言った
僕は待ち続けた
僕は妻に電話してみた
僕は自分の荷物を下に落とした
夜空には何万という花火が上がっていた
僕は怒鳴った
僕は自分の手を見 ....
ここにいる私たちで
家族になりましょう
名誉も財産も忘れ
森に帰りましょう
温かいまなざしで
老婆の名を呼ぶ
海鳥の群れ
古く錆ついた甲冑を身に纏い
胸当てに薔薇を差した老騎士 ....
テーブルに誰かの書いた物語がある
私はそれに何かを書き加えたいと思う
ペンを手にとり、紙に傾く
私と文字の間に誰がいるのか
あなたを無人島に閉じ込めたい
それだけ
私は家に帰って
当たり前の生活に戻って
時々
無人島にいるあなたのことを考える
星の余韻にひたされて
自転車の窓を開ける
白い胞子を吸い込んで
肺がケホンと拒絶する
ペダルを恋でどこまでも
そんな気持ちでいたけれど
ハンドルが糸を引く
いっぱいの花が咲いてる
....
サイダー缶を傾けて
中身を地面に溢しながら
私に話しかける骨
アップル炭酸は
低いところへ流れますが
プライドは高い場所に
流れるのです
この剣を差し上げましょう
8万ゴールド ....
おもちゃ屋さんで
すきなキャラクターをみつけ
とびはねる娘
そそくさと
守備範囲に向かう
夫のひと
そんなふうに
いつまでも
すきな気持ちを
はなさないでね
今日は最後 ....
大地のテーブル
布を敷き
芋を供えりゃ
やってくる
全部忘れる
グマティヤール
身に覚えのないことも
10本指
とまれ
ディジュリル・ルマック
火花のように
舞え
2本 ....
その塔は永遠に近い高度だった
人々は街を作り
補給点をつなぎながら
天を目指した
何世代も
何世代も
いつしか
塔外部の螺旋階段から
地上は見えなくなっていた
足もとに広がる空を ....
あなたからの援助で
私は生活してた
自分で働いたお金は貯金し
大事に仕舞った
あなたの援助は
途切れることなく続き
あなたは私の人生を作ってくれた
大病を患ったあなたに
預金を解約 ....
裏庭に捨てられたロボットの
90バイトプログラムから
この宇宙は生まれた
炭素 窒素 水素 雷 宇宙線 マグマ
あなたが森であるために
森である必要はない
海と太陽
....
さあ苺を食べなさい
まだ酸っぱいけれど
食べ終えたら
好きなところへ
おゆき
もう煩いことは
言わないから
逃げ切った
小さく叫んで石壁に
身を潜める
取り出そうとした煙草が
地面に落ちる
うまく拾えない
背後を見る
奴の姿はない
なにが「次はお前の番」だ?
俺は逃げ切った
大金持ち ....
使い古された財布が
波打ちに漂っていた
誰かの落とし物だろうか
それとも海に帰したのか
迷いながら通りすぎた
次の晩
そこを通ったとき
もう財布はなかった
満ち干にひきとられたのか ....
あなたの子孫は
とても大きくなった
世界樹の森で
苗木のように
小さかったのに
投げ捨てた恋の芽は
こんなに大きくなるものか
こんなに
おもかげを残すのか
あなたと結婚すればよかった
すこし冷たい空気のとき
朝まで続けたメールを
手帳に書き写してるとき
ずっと好き
ありがとう
変わらないでね
そんな言葉で
別れたくなかった
....
数年前は
誰かが私を
語ってくれた
私の歌を
歌ってくれた
けれど長く生きたせいか
今はそれも
少なくなった
私が私の
物語を語るときがきた
私の歌を
歌うときがきた
と
....
単眼を置き
銃を肩に外した
穴の中で
泥のように眠る兵卒を
撃つことはない
赤い砂が流れていく
石灰で暖をとり
廠舎の壁にもたれ
レーダーで
空爆位置を確認する
朝にな ....
あの家の鎧戸が
開いてるところを見たことがない
ここに越してから
ずっと
表札はない
人が住んでいる気配も
ときおり
玄関ポストに落とされる
手紙
軒先に吊された軍手
....
きみは髪留めをもらった
母からの誕生日プレゼントだった
青と赤のガラスを
茶色のゴムがつないで
ゆらせばカチカチと
きれいな音がした
きみは毎日それを
学校につけていった
アメリカ ....
きみが跳ねると
青と赤のガラス玉が
ぶつかって
カチカチと音をたてた
秋からこっち
そのままの
藻のプールの水面を
ギーチョンが滑っていく
ほら
音楽室の窓から
ツバメが
透 ....
目が覚めて
昨日の夕食で朝食
元気なく出かける
昼休み
車内でパンを食べ
展望台で歌っていたら
ダイジョウブデスカと
片言で心配される
帰り道
急にお腹が痛くなって
インスタントの ....
落ちていきそうな音楽に
目を閉じて
その浮遊感に身をゆだねる
落ちていくのに
浮かんでるなんて
頭が痛くて早退したら
近所のカフェで宇宙戦艦が
かかってた
「ヤーマートゥー!」
発音が甘いな親父
コーヒーも甘いがな
全てを知りたいと
カプセルの赤子が泣いている
その声の意味は分かるよ
それでも
出逢ったものを信じるしかないんだ
もう泣かないで
世界の写真をあげるから
....
私は蜜を吸い
毒蛾になって
篝火に
吸い込まれた
海の写真
手のなかでロウソクが燃える
傘の下で雨に濡れる
コントロールパッドを
落として目が覚めた
離れても一緒にしようと
きみが買ってきてくれた
オンラインゲーム
薪を売って布を染めて
おそろいの服を着て
親切な騎士の人に馬をもらったり
....
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