・藤篭に鳴く生きものや死にものや


 わたしが佐藤みさ子の川柳と初めて出合ったのは、『川柳MANO』だった。
 『川柳MANO』は樋口由紀子が発行人を勤める川柳誌であり、佐藤みさ子はその会 ....
 優れた詩に出会うというのは、そうそうあることではない。
 それはインターネットの世界も同じことで、ここ現代詩フォーラムにおいても、文句なしに優れた書き手といえる者は全体の1%にも満たないのではな ....
 「5号は、全体的に、許しとか、ほんのり希望、というものを感じました。特に示し合わせたわけではないのですが」とは、同人の遠海真野の言葉だが、『反射熱 第五号』の詩は、確かに一定の方向性を持っていた。そ .... 街にパレードがやってくる。大好きなパレードがやってくる。誰もいない大通りを人で埋め尽くすために、暗い夜を明るく照らすために、子供たちに忘れられない思い出を刻むために、街にパレードがやってくる。鼓笛隊の .... ねんねんころりよ ねんねこよ
ぼうやよいこだ ねんねしな

おちおち山のやや猫は
何が悲しゅうて鳴いてやる
腹を空かせてひもじいと
おととが欲しくて鳴いてやる
腹は水ではふくれぬと
お ....
髪を結わえど瞼は針山
紅を差せども頬は熟柿
臭い立つ肌、稚児の麝香
何れ人には変りなければ
骨の一つも残しはせぬと
打ち棄てられた糸引き車
川溜めを浚う水車
畜生腹を見ていた風車
寄っ ....
{ルビ埋=うず}もれて天地山河の広けれどこの身の{ルビ外=ほか}に往くあてもなし

死ぬ迄はスワンのように美しく死なばオフィリアのように美しく

生成りて五徳の憾みありぬれば黄泉つ{ルビ途=み ....
呼吸していない瞬間死んでいる

あのね、のしたにわたしをうめている

野分して光る死人が立っている

嘘ばかり道理で昼もあかあかと

二階屋で蝶を飼うよなおとこなり
すきを覗けばあれあんまりで
だれもかれもがはらわたぬくい
こよい具合いが酷くよろしい
ひと巡りした頃合いの

あれは人より多いがわざわい
あれはかた輪を売りました
ありもせぬものどうにも ....
 ぜんまいが壊れたから、神様が代わりに心をくださったの。祖母は私だけに、内緒でそう教えてくれた。昔ね、おばあちゃん、お人形だったのよ。とってもきれいな、きれいなお人形……。私の手を握る祖母はそう呟くと .... 薄ら陰りの昼の日中に
雨漏り仏間の饐えた臭い
ぼんやり光る障子紙の
柔いざらざらに舌を宛てがい
斜交いに這わす舌先吐息は
さて什んな味がするのやら

迂腐な未通女の染めたる頬より
猶お ....
むかし
どうぶつはひとごろしで
ひとはどうぶつごろしだった


サーカスの暮らしは楽じゃないよ
パパもママも知らないんだ
でも僕は悲しくなんてないよ
だっていつかきっと

かわいそ ....
 明かりの灯らない平屋のバラックが何処迄も続く闇の濃淡の、草海原にも似た街並みの成れの果てを、たたんととん、たたんととん、二両編成の電気鉄道は往く。心寂しい律動が鼓動に同調し、寂しさに胸が絞り上げられ .... 咲く花 咲かれぬ花 何方も花に違いはないけれど
此んなにも胸を掻き毟る様な苦しみ悲しみは一体何に故なのでしょう

季節外れの風鈴の音が向う通りの軒先で鳴るので
何とも無しに目を遣れば外は真夏と ....
切り落とされた枝が芽吹いて
いびつに折れた朝の出来事
春まだ浅い日の寝ぼけまなこは
過ぎたことを知らずにいる

幸せな枝に降る雨は優しい
見知った顔をした人達のように
安らぎで包む穏やか ....
三階階段の縁から身を乗り出して
手を振るのは逆光の天窓を遮る影なのです

その振り子運動の往復に眼球が催眠される瞬間
私は階段の縁に手も掛けず三階下を覗き込み
爪先も触れぬ一個の天秤の両端で ....
雨の中で開かない傘の重さを
忘れられず捨てられもせず

晴れの日には大きく腕を振って
あてもなく足を伸ばしたい

線路の向こう側は幹で
こちら側は根だと教わる
街路はひと続きのようでも ....
幸い
私たち一人ぶんの空洞と
それを支える立派な外骨

喩えれば愛らしく可愛い舌の在るべきに
奥深く続く快きには臥せる
咀嚼の姿が見えていない


曖昧な自己愛の愛を隠して笑う
生 ....
古月(78)
タイトル カテゴリ Point 日付
【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)[group]散文(批評 ...8*10/1/11 23:50
【批評祭参加作品】客観描写ということ(高浜虚子)[group]散文(批評 ...18+*10/1/10 13:32
【批評祭参加作品】原罪と救済のパレード(反射熱 第五号)[group]散文(批評 ...3*10/1/9 15:01
パレード自由詩509/12/31 1:16
猫三昧自由詩2*09/12/28 17:58
成り変わり自由詩009/12/12 1:32
習作三首短歌0*09/12/7 2:55
習作五句川柳3*09/11/30 17:13
憂うつ自由詩1*09/11/22 19:02
発条と心臓自由詩109/11/2 1:12
想像妊娠中絶自由詩1*09/10/28 15:38
自由詩209/10/26 1:04
夜船自由詩209/10/24 1:34
春の病自由詩209/10/22 1:23
不在の一脚自由詩6*09/10/20 16:48
初秋自由詩309/10/18 16:57
自由詩509/10/16 22:53
教育自由詩309/10/16 22:27

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