荒木さんが
すっぽんが獲れたから
食べにおいでよ
と言うから
友達誘って
焼酎抱えて
出かけていった
すっぽんは
みごとに捌かれ
くつくつと
鍋の中でうまそうなすき焼き風味で
....
錐揉みしながら
落ちてきた
とおいふる里のことも
すっかり忘れて
妖精が
家庭菜園造りに
精出す日曜日
ゴーヤは
伸びきった蔓を
なんとか
風に巻き付かせようと
精一杯の ....
こんにちは
おはようございます
こんばんは
みしらぬひとが
あたりまえのように
あいさつをかわす
みしらぬかぜが
みしらぬひかりが
あたりまえのように
あいさつをかわす
....
さあ なにを言う
きらきらと
輝き疲れた
君らに。
なにを言う
風の香りだけを
語る俺が。
なにを言う
蛙と
野ネズミと
そして
向日葵の咲く
この土地で。
田圃に水が張られ
田植えもほとんど終わった。
これまでの鉄筋巣箱を捨て
庭付き一戸建て官舎に住んでいる。
職場まで車で5分
渋滞など無縁である。
田圃の上を
オハグロトンボがひよ ....
それは
いまにもきえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえにあらわれ
ながれにおち
みずいろにひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
だれにしられることもなく
ひ ....
なんじゃもんじゃのはなを
きっとみようね
みにこようねと
こがらしのふくひに
きみは
はじめて
カエルに触れて
眸はキャッキャ
はしゃいでいる。
それは
ほんの
小さな
眸そのままのカエルではあったけれど。
そのカエルが
眸に
ビュッと
おしっこをして
....
こんなにも
ひろびろと
あおいかぜのなかで
ぼくらは
とりになれない
だから
くもよ
ぼくらは
こうしてねころんで
かぜをつるのだ
そらのしずくが
ふたつ
いただきにさ ....
はる風がふくと
ぼくらは旅に出る
あき風がふくと
ぼくらは旅に出る
風がふくたびに
ぼくらは彷徨い
風がふくたびに
ぼくらは傷つき
その代償のような
中途半端な安息を得てきた ....
とびっきりの良い天気に浮かれた医者が
いっちょやりますか、天日干し
頭をカパパッと開いて
脳味噌の天日干し
カパパッと開いた頭の中の
脳味噌の襞には
初めて外気に触れて
すっ ....
きょうはぽかぽか
おひさまのきげんもよく
きょうはぽかぽか
そらのきげんもよい。
こんなひはおもいきって
あたまのふたをぽっかりあけて
ちいさなこぶのひとつふたつ
とりだしてみたくな ....
帰宅途中、車の中から
ぷよぷよ太った老犬が
ぶくぶく太った青年を
散歩させているのを見た。
老犬は青年を気遣うように
時々立ち止まり
引くひもをゆるめ
よたよたと歩く青年を
振り返 ....
おれのなかには
たしかに
ひとごろしの血が
どくどくと
ながれている。
その血は
おれを
きみを
あなたを
なにもかもを
しろくしろく
けしさる
おそらくは
{ルビ空=く ....
区別する
やつらを
心底
差別する。
青炎を秘めた
冬の向日葵が
太陽を見据え
{ルビ白骨=ほね}のように
カタカタと
笑う。
街灯のなかに
きょうも
娼婦は
立ち尽 ....
これまで
何百人の壊れた瞳と
話してきたのだろう
何千人の傷を覗き
何万人の嘘を写してきたのだろう
そして
その中の
何人のひとの血となり得たのだろう
おれは
昭和元年が
自宅の階段から
滑り落ちて
踊り場の手すりに激突
品よくあつらえられた手すりを粉砕した。
七人兄妹の末っ子である昭和元年は
戦時中もすくすくと
ちりめんじゃこを食べ続けて ....
みぎにねがえりをうったら
ゆめが
ころがってきた
ひだりにねがえりをうったら
ゆめがまた
ころがってきた
ころがりでたゆめは
うずをまき
すぱいらるの
かなしみに
なみだし ....
とびっきりのえがおが
かけてくる
じかんのながれをぬけて
まほうのように
こがらしのふくみちに
ひかりがあふれ
かれはたちも
かけてくる
かくれていた
あのころや
たちすく ....
しねない
なんどしんでも
しねない
男が嘆く
しねない
なんかいしんでも
しねない
あぁ
女も嘆く
男はこれまでに7回
高さ50メートルの橋から
海に身を投げ
....
午前一時
俺のあのころが
反転する
ベレー帽かぶった美知子が
学生集会からとび出し
目の前に現れる
上気した頬に そばかすをちらし
瞳をキラキラ輝かせて
俺にささやきかける
....
温泉もどきで
つんつるてんにされて
ぽっかり浮かんでいるうちに
ほら、奴らの手の内に落ちてしまうぞ
思う壺にはまってしまうぞ
ほら
ほら
ざっtざっtざっtざっt
ざっtざっtざっ ....
でっぷりと
脂の巻いた腹を
波打たせて
浮かんでいる
隣では
これまた太鼓腹が
頭にタオルを被せ
キリストよろしく
両手を手すりに預け
うたせ湯している
あちらの薬草風 ....
バス停のベンチに
毎日のように
座り続ける男がいるんだ
超然と背筋を伸ばし
ただ一点だけを見つめ
来るはずのないバスを
ひたすら待っている
廃線になった
路線バスのベンチで
....
明るい娘たちだ
美知子が寝込んだ今日も
夕食を作り、洗濯をし
ピアノに行って
キャッキャと笑って
ぐっすり眠っている
小学六年の薫は
ふくらみはじめた胸を
ホイホイとかかえて笑 ....
おいらの心には爆弾
おいらの頭にも爆弾
心爆弾はいちど爆発し
おいらいわゆる臨死体験したけど
頭爆弾はどうやら
いまのとこ静かにしている
心爆弾も頭爆弾も
とてもスリリングな付き合い ....
あるいている
みどりのなかを
あるいている
あるいている
かぜをおって
あるいている
あるいている
ひかりのなかを
あるいている
あるいている
あめにうたれて
あるい ....
さよならは
出会い
夕陽の中だ。
勝ち気な瞳
ショートカット
華奢な体
風のように
光のように
純粋が
体操する。
明日人間ドックに行こうとしているのは
まぎれもなくあの時列車に飛び込んだあの人だ。
鏡を眺めながらしんみりと
最近、なんか顔色悪くてねえ
などと話しかけてくる。
そう言われても
な ....
うしは?
ん〜
うしわあ〜モう・・・
ニコニコ
ニコニコ
じゃ、うまは?
うまわあ〜・・
うまわあ〜・・・・・
エヘ、エヘ、
エへヘ
眸が
モうと鳴いてい ....
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