もう梅花もそのひとりごを嘆く頃
陰鬱な空から出発への涙がもたらされる

皐月と文月の橋を取り繕い
ただその涙に濡れるひとりごよ

育ち切った不幸は青い毒に
生まれたった刹那の風邪に乗 ....
ジェット機に乗ってそれはやってくる

音に染まってくたびれたヒマワリ

ちぎったサルビア アリの巣の大洪水

限りない荒野に 軟禁されたことを知る

道端に命を落とした蝉の自由な羽 ....
空の心に涙ひとすじ

空の巣箱に花は湧きだし

無尽蔵な青が照らすは

いつか見かけた空っぽの辞書


つくしが白紙に若葉をなぞり

若枝は手に手を取って

夏に誓った光 ....
そこに

ないものを見つけてしまう

あるものを探してしまう


街が闇に溺れる頃

ベルベットの水晶は全てを映した

油絵の波のタッチが心地いい


生物会議の議題は ....
神様の爪先からこぼれた水が

南極の氷になってアイスコーヒーを冷やしている


ふつふつと白く昇る泡が

46億年の想念とブラックホールを残していく


果てのない黒い海

 ....
17年 生と死の間を行きかいしていた


広い川の岸辺に佇んでいた

花びらに埋もれていた本を手に取った


沈丁花の香りがする

自分という深い湖の底に沈んでいく花

そ ....
5時限目 人の心を読む授業

鉛筆の影がノートに映る


あの子は几帳面に 鋭利な鉛筆を持って数式を解いている

僕は陽にあたりながら 丸っこくなった鉛筆を持って

πの可能性を ....
アヤメ(37)
タイトル カテゴリ Point 日付
梅雨自由詩011/6/17 21:26
子どものレクイエム自由詩011/4/6 21:32
空から(空っぽと青空と空虚)自由詩011/3/29 21:40
生物会議自由詩111/2/27 21:49
南極の午後自由詩511/2/24 23:40
自由詩211/2/21 22:00
数式のまどろみ自由詩311/2/20 17:41

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