腐らせた愛にくたばれ詩人達 ドーラン塗った哲学になれ
処女の夢 手持ち無沙汰に持て余す 有神論と無神論
ピアノ線のような視線につまずいて 気付く頃には夕刻の鐘
秋熟れて仄か色付く指先を包む手探す人恋しさよ
改行を連ねて測るその距離を知った時からその背見送り
待ち惚け待たされ惚けて暮れなずむ町に溶ければさびしくもない
さよならと言わず別れた十字路に右も左も後ろもなくて
木蓮や椿のよう ....
吐き出したこの煙で
あなたの肺が満ちればいい
何ひとつ/満足に与えられないわたしに
その肺を見せて欲しい
公衆便所で産んだ赤い卵を
明け方、ゴミ箱に捨てました
胎児のように丸くなったホームレス達が
横目でわたしを見ていました
ただいま/おはよう/おやすみ
ガムシロップを唇に塗ってキスをし ....
とうめい/だった
―.
透明だった、でも紛れなかった
やわらかさを感じて、温度がある事を知った
それぞれが違う形をしていて
それでも丸みを保っていた
誰か、が
誰か ....
おさないひと
その頬に
くちびるで 触れたなら
きっと、たちまち酸化して
朽ちてしまう
あなた、おさなさゆえに
プラスチックで出来た心臓はいつだって鏡に映らない
スニーカーの底に穴が開いていて、覗くときみが見ている
怖くて水溜りを踏めなくなった
プラスチックで出来た心臓が唸っている
引っ掻き ....
道端に 血溜りがある
猫の仔でも轢かれたのか
血溜りがある
街灯が ぽつぽつと灯る
さびしい通りに 風が吹く
ふと 生臭く感じて
しばらく息を止めていると
虚しいよう ....
(鈍色のニキビが気味悪いきみのビキニ/胸の谷間に宗教性を感じる/低気圧の随に彷徨う亡骸を救えば吸殻/戯言を睦まじく詰る間柄に豪雨/砂利道を慎ましく辿る先は賽の河原/幾何学模様に引篭もる愛の裏腹/「 ....
奇数は孤独でした
時々 胎児を宿す夢を見ました
(目覚める度に 酷く失望して)
奇数は孤独でした
時々 身体が欠ける夢を見ました
(目覚める度に 劣等感に襲われて)
奇 ....
やさしさが雨になって/降り注いだ真夜中
渇くばかりの僕達は/いつだって孤独が恐ろしいということを/宇宙に吐き出している
うちゅうは こどくの かたまりだ
真夜中の雨/さびしいと哭 ....
電車内、「あの子リスカしたらしいよ」と吊革を掴んだ左手に包帯を巻いた女の子をけばけばしい睫毛の下の小さな二つの黒目で刺しながら女子高生が大きな声で言った
夕闇の中を軋みながら走るぼろぼろの電 ....
「アーァ、全身打撲のように痛む心!」
カナシミを忘れるために雨の中叫ぶ僕!
ニタニタと笑う老婆はまるで骸骨/死神の影と重なっている、僕を呼んでいる!
水溜りの中の世界は僕の顔と同じ鉛色だ ....
万珠沙華に埋もれた肌の白さ
眩んだので栗の木肌に齧り付きました
露が濡らした唇から爪先の艶かしさ
喘ぐまいと墓を掘りました
落陽に照らされて香るしなやかな黒髪
乾いたので口に含み ....
「このシャツ2枚セットで2000円だったよ」、へぇ
わたしが今着ているスウェットは確か、上下セットで1980円だったよ
だぼついた裾を引き摺って過ごす1日
ウサギは巣で猫はわたしのベッド ....
コップへ注いだ水を飲んだら溺れてしまった
「陸で水を欲するからさ」
俎板の上の鮎が嗤う
だらだら、というよりはすらすらと、皮膚の上を汗が流れていく
視界の隅で蜘蛛が歪む
首筋が ....
液体で生まれる
混ざりながら/ゆっくりと凝固する
凝固したら溶ける
液体になる
蒸発する
液体で生まれる
あいということ
いきること/しぬこと
熱がある時に観る
テレビのような現実が
頭の端っこで丸くなって
きれいに瘡蓋になる前に
剥がして/痛がって/泣いている
0.2sec.