双子の心臓仔猫の心臓

とっとんとっとん世界をまわせ

器械の心臓双子の心臓

ばらばらばらばらプロペラまわせ

ねむりの上を見よ くろがねの大鷹はとんでいく

静かに滅べひとびと ....
今にも泣き崩れそうな
この空の下で
砂を噛め
針を回せ
鼓動を刻め
気を吐いて進め
胸を張って
風を切って
少女よ
忘れられた旗をうち振って
心だけは自由に生きてゆけ
現在速度毎時0.002パーセク
 重力ブレーキ作動
 回生フライホイール接続
 閉塞信号確認 
定刻より遅れコンマ4秒……
メガロポリス池袋銀河ス ....
路上に駐車する中型の窓に『敗走中』とある

ああ逃げているのね、フムンと見送る

崩れてゆく戦線に溶けていく{ルビ生命=いのち}、黄昏に沈む国

傾いた客船は船首から浸水し一気に沈む、折れ ....
ある日、{ルビ自我=イド}の底に溜まった汚泥を掻きだしていた。

その泥を天日に干して固めたレンガをぶつけあう祭りがあると聞いた。

延々と風景のガンマ値が上がり続けて

まっ白になってな ....
発:青青下下右上 宛:上上下右中中赤


緑もやしからセアカゴケグモへ。氷の季節になったので通達する

バーンズの糖蜜倉庫を十六夜に出て、1マイル向こうで折れざる矢を拾ってきてほしい。

 ....
祈りは聞き届けられず

願いはまた叶わない

夢を見る事はあたわず

黒く塗りつぶされたキャンバスに

さらに木炭を塗りこめるように

意図的に隠された意志、彼方から響いてくるさけ ....
さびしいわ畑のキャベツされこうべ お目々はどこにあるのかしらね 弦月に照らされて薄い影をおとす

ウェンドリンはクラン・マクラハンはるか沖にたゆたう大戦艦が二隻

浮かべるはくろがねの城

それは曙光さす姫君と宵闇にあそぶ姫君の居城

鈍色の大砲が ....
「踊っているのでなければ、踊らされているのだろうさ」学舎で一番の秀才、リヒテンシュタインはそう言った。

彼が踊り手なのかマリオネットの操手なのかはわからない。

酒場の小劇場で煙いスコッ ....
寒々しい都会の奥のほうから聞こえてくる一連のメロディ

単調な旋律をくり返すそれは

緑色の憂愁に満ちている

暗く沈んだ湖沼の水に似たトーンで奏でられている

どこの誰かは知らないけ ....
耳をふさげど聞こえるうめき

目を背けても視える奇妙な果実

空から落ちる黒い灰を敷きつめれば純白

{ルビ社海=ソシエシー}にうかぶ小舟のような魚雷艇

いまどこを漂っているのか
 ....
順調に死にむかって船出する男たちが

道端の赤い花に最敬礼

彼らを見送るのは

むくんだ顔をまっ白く塗って

泣きながら笑っている道化

まっ白い顔に黒い星と涙の模様をえがいて
 ....
眉一つ動かさず殺す女神が飼っていた

眇の金魚がいる。

水銀めいて光を反射する鉢を住処に

血の河を泳ぎまわる金魚を飼っている

銀の炎ちらつかす死神めいた女

まっ黒い眼をした ....
『死は万物に等しく訪れるが、死を悼む者の多寡は平等ではない』

『死は万物に等しく訪れるが、死者がこの世に残す未練はその限りではない』

『死は万物に等しく訪れるが、死によって失うもの ....
かかなくては、死んでしまいます。

うたわなくては、死んでしまうのです。

髪も、膚もまっ白い、ゆう霊のやうな少女は、さう云ひました。

あかい硯を右手に、まっ黒い{ルビ蝶々=てふてふ}の ....
A.光とは波である

B.光とは粒子である

光は粒子であると同時に波である

粒子はかの人の心を砕いた粉末と同一である

波はわたしの砕けた心にひろがる波紋と同一である

満ちて ....
おれたちはずっと遠回りしつづけてきた

かかとをすり減らして

同じところをぐるぐると

赤いオーロラにてらされて

歩きつづけていた

こわれた街頭テレビのなかで

陰気 ....
銀翼連なる雲の果て

七たび往きて そのたびに

傷つき血を吐き火を噴いて

なおも折れざるかの翼

祈りたまえ 唱えたまえ

神よ神よなぜ見棄てたもう

キリエのうたう歌が、 ....
人の世のかくも美しき

もつれ魂の上にも

雨ぞやさしく降りしきる

茨冠戴く盲のダンス

もし蛇が海ゆかば

鳴る鳴る山野の幾千里

万里の波濤をこえて南風が吹くとき

 ....
{ルビ眼=まなこ}を曇らせ歌う群衆

『夷狄一蹴進撃を』

『はや我が軍は重ねたり』

『{ルビ軍港=みなと}を見れば百艦の』

『煙は空を焦がすまで』

踵を減らして踊る踏みしめ ....
沙の夜に

伽藍伽藍とまわせ

斜視の僧侶の足踏みが

韃靼韃靼と

おお踏む、沙の海に曼荼羅を描いてゆく

翔ける、赤い翼を持った天使が月から星へ

骸の上にも虹がかかる
 ....
蒼い光りに照らされてさまよう

帰る場所のない人たち

一様におし黙って

立ちならぶ電柱の合間を

ぼんやりした駅のホームを

一定の歩調で脚をひきずるように

歩く

 ....
仰ぎ見るsolaに巻雲麗しく蒼の祭りか大好きなソラ 学舎で一番の秀才であるリヒテンシュタインの解釈によると、母親の窮極の愛とは

臍帯で赤子の首を締めてやることなのだそうだ。

あまりに深い愛に私は

慄然たる思いを隠しきれなかったが、
 ....
小さな小さな茨の冠を、そっと頭上に載せてあげる

わたしの小さな王女さま。

剣も盾も兵隊もいないけれど、

黒く切り取られた空が

のっぺりと広間をみたしている


{ルビ万軍 ....
 お元気ですか。こちらはひとしきりの雨が降って

家の前の坂道が下痢をしたように濡れています。

あなたが居なくなってから、ずいぶん考えましたが

とてもせいせいしました。

ところで ....
ぼくが石になった夜、

その娘は音もなく泣いていた。

「泣かないで」なんて

言えるわけもない

ぼくは石だった。

真っ赤な真っ赤な彼岸花、

どうか泣かないでおくれ

 ....
薄れかけた痛みがまたリフレーンする

足を引き摺るように

黄金色にぼんやり照らされた坂を駆け上がっていく

瞳孔に白金のかけらをちりばめた少女が、

繭を、

採りにゆく。

 ....
あなたの姿が網膜に結像するまえに

スペースキーを押して

戻って

あなたに出会うまえに

 ....
高原漣(142)
タイトル カテゴリ Point 日付
匂いガラスにくるまれて見た夢自由詩1*13/4/6 21:56
放し飼いにされた死自由詩1*13/4/6 21:33
ギャラクシィ・エクスプレス・サイキョウ・ライン自由詩1*13/1/29 22:28
敗走業者自由詩2*13/1/27 22:53
つるべ落とし、のような自由詩3*13/1/22 22:04
定時連絡自由詩013/1/21 21:48
暮れなずむうた自由詩2*13/1/10 17:40
おのが畑の三回忌短歌013/1/5 20:48
朝と夜の姉妹戦争自由詩012/12/23 1:43
旋回をやめない死自由詩1*12/12/17 22:16
奇妙なリフレーン自由詩0*12/12/14 0:49
絶えざるか絶叫自由詩012/12/11 2:39
希望をうたう道化自由詩4*12/12/9 3:41
眇の金魚自由詩1*12/12/2 22:25
書簡Ⅱ自由詩1*12/11/23 22:27
刻詩病自由詩1*12/11/14 22:52
光の定義自由詩1*12/11/11 1:41
まわる天気輪について自由詩012/10/27 23:02
征空のメサイア自由詩012/10/24 0:02
ある書簡自由詩2*12/10/20 14:04
血道唱歌自由詩1*12/10/8 0:58
赤い翼を持った天使自由詩2*12/10/5 1:21
唱えよその心鳴を自由詩1*12/10/2 20:33
solaへと至るうた短歌1*12/9/28 1:09
世界は淡雪のようなもので出来ている自由詩2*12/9/23 22:14
誰もいない戴冠式自由詩1*12/9/21 22:09
拝啓 くそったれアベニューのあなたへ自由詩2*12/9/18 23:10
失語症の彼岸花自由詩2*12/9/17 17:39
空の繭自由詩1*12/9/13 17:57
Visions自由詩2*12/9/6 13:28

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