「あれです」
後ろから指差す声に、「あれ」の方角を見なかった僕。
雨が降り始めて、地下には大きな水溜りが出来た。

粉々になった写真を灰皿に入れた風景。
燃えていく写真は灰になって机に落ちた ....
曇り空の中に太陽が少しだけ顔を出す。
緑色の林に、小道が南に延びている。
昨日の土砂降りは
降水率25%だったらしい。
今日は80%で、何も落ちてくる気配はない。

木枯らしが懐かしく感じ ....
麻雀に負けた。と言っても、いつものことだ。僕は麻雀が弱い。弱い理由は、頭が悪いからだ。人生は麻雀のように運だけでは渡れない。半チャンが終わるたびに、僕は落ち込んでいく。
「もしも、あと一手早ければ」 ....
朝方早く、空は虹色をしていた。
世界にだまされている。
ベランダに立って、気がつけば、
世界は今も動いている。
給食センターのトラック。除雪機の眠った倉庫。
海に続く空気。

朝方早く、 ....
土砂降りの晴天のなか、駅を降りた少年は
まっすぐ立ち向かうべき仕事場を放棄した

夜はまだ長い。と、呟いた手のひらの生命
それでも、まだ電車は過ぎていくのだと、
かすかな罪悪感の中で、思い至 ....
しゃがんでみる。背伸びしてみる。ジャンプしてみる。
僕の大きさはどっからどのくらいだろう。走ってみる。歩いてみる。突っ立てみる
僕の速さはどのくらいだろう。

僕と話した人がいる。僕の存在が記 ....
僕と、君の境界線はどこにあるのだろう。僕の体と、空間の境界線はどこにあるのだろう。僕は移動し、僕を変化させる。揺れ動き、僕の境界線を不確かなものにする。
僕は、僕を崩し、僕の体を確かめる。どうしても ....
眠いのを我慢して書いている。
日差しが強いのを我慢して寝ている。
コーヒーが熱いのを我慢して飲んでいる。

そういえば、昨日、道路に落ちていたガラクタは、
いつかの誕生日の母親からのプレゼン ....
夜から続く朝に、雨の跡はなかった。霧雨は降っている。地上に湿度はない。
細身の女はテレビの中で「昨日の事は忘れて頂戴」
その細いからだの細胞は、今を忘れるためにある。
階段を上がる足音が聞こえる ....
そいつが若い頃、「ロックンロールは永遠だ!」って叫んでいた。今じゃ
そいつは「ロックンロールは死んだ」って呟いている。
そいつはロックの神様みたいに、ロックを永遠にしたり殺したりするけど
そいつ ....
落書きだらけのアパート。部屋にかぎは三回目の合鍵。
一度は逃げられた恋人に持っていかれた。
二度目は側溝のどぶ川に流れた。

そいつのアパートには汚れたジーンズのパンツが五枚あるだけ。
後は ....
空中に持ち上げられた、
そいつの、苛立ちが、
そいつのリズムに宿った。

林の道を抜けると、池があって、
そこでそいつはいつも昼ごはんを食べている。

お昼ごはんは、雨の日にだって決行さ ....
そいつは何を間違ったか「仲好しこよし」ってしかいわないんだ。
だから、嫌いなものとも「仲好しこよし」
好きなやつとも「仲好しこよし」

誰も、そいつが「仲好しこよし」ってしかしゃべれないなんて ....
時計を見ると、待ち合わせの時間から1時間くらい過ぎていた。連絡は来ない。僕が待つもの。約束なのか、友人なのか。

愛が報われるなら永遠でも待てるといったエミリディキンスン。彼女は約束なんてちっぽけ ....
真っ白な 階段の、背の高い イチョウの木。
見えない ふりをして かくれんぼを続けよう。

「日本最高気温をぬりかえた日」

たいようは 不死身で、僕は 貧弱だった。

君は、砂ほこりを ....
果たして夜は来るのだろうか。
僕のイメージはほこりをかぶったまま闇の中にほおむられている。そして、君が、好きな誰かへの感情も、きっとそうだ。なぜなら、ここはネバーランドじゃないから。

世界の中 ....
配列された写真。白い空間。僕は、写真展の一室にいる。中央のソファーに座った中年の男性。その後ろから僕は写真を見る。いつか、その中年の男性がそこに座ると計画されていたように、写真はその男性を飲み込んだ。 .... 桜色の花びらが、黄土色した池に散った。
三匹の亀がいっせいに昼寝した午後に
冷やされたソーダが飲みたくなった。

鋭い花びらはなくなって、柔らかな日差しが透き通る
昨日の約束を殴り書きした電 ....
昨日の昼に桜を見に行きました。
桜はふわふわと空間にういているようでした。

水面には、桜が反射されていて
なんだかだまされているようでした。

無作為に、桜を指差した方向に
酒を飲むサ ....
朝、布団から勢いよく跳ね起きる。
頭の中に張り付いた夢から現実を奪回せよ!時計の針は九時十分。ジャスミン茶三杯分の時間は残されている。


     ビルの屋上の景色。
     空とコンク ....
永遠に来ない地下鉄の、プラットホームの彼女の声。
青いレンガの双璧が、僕に届く音のすべてを断ち切っていく。

港の、船の、煙の、消える、空の、僕の、小さな、声は、
永遠を知りはしない。

 ....
木製の、キシキシ音のする、大きな橋。
緑色の柳が揺れるたび、懐かしく思い出す建物。
透明な、湖の、湖上に浮かぶ、大きな橋。

鉄製の、熱を忘れた、冷ややかな橋。
茜色の夕焼けに、灰色の幻影が ....
以前、待つ行為について考えた。今日も、考えてみようと思った。エミリディキンスンの詩を読むたび、僕は待つ行為の困難さと安易さをひしひしと感じる。全く矛盾した文章になるのだが、やはりそう感じる。困難さと、 .... たどり着くことの出来ない場所。
そこへ向かおうとしても、そこへ向かって走り出しても、たどり着くことの出来ない場所。その場所に本当の自分がいると感じる。

「まだ本気なんかじゃないさ」
と僕はよ ....
透き通るくらい真っ白なコンクリートの空。
ため息を我慢している満員電車の人ごみ。
電車の窓から朝日が差し込む。

座席には眠り込んだ人
話し続ける人
うなだれる人。

目的地につく頃に ....
拘束された時間から開放され、外に出る。
すでに暮れた空が広がっている。
目の前にあった光は失われて、そこには確かな闇があった。
すがすがしさとはまた違う、冷ややかで繊細な風が吹く。
周りには一 ....
両親から送られてきたりんごを食べた。

早く立派になりたい

屋上の空でもない地上でもないコンクリートの上で

ものぐさな空腹は僕の目を覚まさせた。

両親から送られてきた肉が腐れた。 ....
冷たく刺ささる外気に、空調の完備された部屋から出てきた僕は一瞬たじろいでしまう。エレベーターのドアを、もう一度閉めてしまおうと考えたところで、ふとわれに帰る。

「そうだ、終電だ」

早足で歩 ....
彼女の家は鄙びた村の一角でなければ、喧騒に追われる街の中心でもない。
寂れた温泉街でもなければ、シーズンだけ人口の増える観光地でもない。

彼女の家の前には大きな寺があるが、彼女の家の横には神社 ....
空を見ていた少年が、
昨日口にしたきのこの切れ端を
歯の隙間から取り出した。

対向車線の運転手は、少年の歯の隙間から出てきた
きのこの切れ端を、見つけたのか、
見つけないのか、
自分の ....
チャオ(115)
タイトル カテゴリ Point 日付
指差す声に自由詩3*05/6/17 3:58
世界主義[group]自由詩1*05/6/7 15:53
ギャンブル落ち武者散文(批評 ...4*05/6/6 6:02
空の朝自由詩6*05/6/1 13:24
匿名文化[group]自由詩1*05/5/30 20:56
もののかたち散文(批評 ...005/5/30 20:30
僕らがつくれるもの散文(批評 ...105/5/28 15:09
我慢虫自由詩005/5/18 6:48
作り話の内緒話。自由詩2*05/5/17 8:15
そいつのロックンロール自由詩2*05/5/16 18:03
そいつのアパート自由詩1*05/5/14 1:57
そいつのリズム自由詩1*05/5/10 13:12
そいつの日本語自由詩1*05/5/6 15:45
人が待つもの4散文(批評 ...2*05/5/2 13:42
日本で一番暑い日の、僕と君の遊び方自由詩1*05/4/21 4:14
人が待つもの 3散文(批評 ...4*05/4/18 0:14
フリースタイル散文(批評 ...1*05/4/14 13:11
ソーダが飲みたくなった自由詩1*05/4/13 1:27
花見について自由詩205/4/9 0:36
君のための小説自由詩1*05/4/6 0:12
プラットホーム自由詩2*05/3/25 1:47
透明な建物の鏡に映る橋自由詩3*05/3/19 0:35
人が待つもの2散文(批評 ...105/3/15 1:54
僕の本気未詩・独白3*05/2/12 1:52
昨日の思い出自由詩005/2/7 9:01
すがすがしさとはまた違う、小さな風が吹きさった屋上の物語自由詩1*05/1/25 1:31
僕の部屋には自由詩305/1/22 19:08
最終電車散文(批評 ...105/1/9 2:05
彼女について知っている2、3の考察未詩・独白105/1/3 11:20
少年と空 ハンドルの正面と歌自由詩1*04/12/28 23:20

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