人並みにもまれながら逆行している女がいる
 (それきっと、あんたじゃん)
耳元で囁かれた生温い感傷はとうの昔に放り投げている
掴む腕は瞬く間にいつもするりと抜け
踵を返す間もなく 心臓を狙って ....
たとえるならば
    白のキャンバス
    ナイフでは出せない
    色もまばらな使い古しの筆
    なのに、赤だけが多く滲む油絵具

たとえるならば
    夢を追う事さえも
 ....
真夜中のファミレス
遠慮がちに
丸まって寝る老人
テーブルには
ドリンクバーのカップ

人もまばらな
真夜中のファミレス
ひとり・ひとりが
さみしく何かを
抱えて飲むコーヒー

 ....
げんこつ出してと
子等に言えば
なんと可愛い手が三つ
両手で六つ
げんこつの大きさに握った
おにぎりを一つずつ

パーを出してと
子等に言えば
なんと可愛い手が三つ
両手で六つ
 ....
お母さんって
優しくて、ふんわりしてて
なんだか甘い匂いがする

うちのお母さんは
いつもくたびれてて
髪のセットもしないまま
仕事に出ては
アルミの粉の匂いがしてた
ささくれと、ア ....
騙されていた
笑われていた
知らないうちに
犯罪者よばわりされていた

言い訳しようとも思わなかった

でも

あたしは幸せ

お金では買えないものがあるから

あなたよりは ....
丘を越え 町を走り
海原にて待つ かの人の元へ
駆けてゆく 駆けてゆく
後ろを振り返る事も無く 澱む間もなく
陽が差すあの海岸の
かの海岸の かの人の元へ
涙、未だ止まらずに
思い出が溢 ....
四角い窓から明かりが差し込み
それはとても眩くて暖かくて
サッシ越しに季節が変わるその瞬間は
希望を見出してくれているようで
やっとのことで精神の崩壊が止まった気がした

貴女は貴女のまま ....
街角にはまばゆいばかりのイルミネーション
一人の女も
二人の男も
三人の子供たちも
足を止めガラス球に目を細める
さぁ、手をつなごう
そして主を待ちましょう
終わりのない時が瞬く間に降り ....
この海原の先の先には
哀しく微笑む女(ひと)がいる
手を伸ばす先の先
来い、と言えばささやかに
哀しく微笑む女(ひと)がいる
陸と海の境目に
永遠の君は雲を千切りながら
僕を待つ
町並 ....
現実が見えない速度で流れゆく
見えずとも流れゆくのは
時間と河の佇まい
喉を切り裂く
その 刹那
声にならない
悲鳴と絶望の渦の中に
また 流されてゆく

小さな小さな ただ
 ....
木枯らしが冷たい夜を運んでは
僕の処へ置いてゆく
仰ぎ見る丸い月に心も奪われ
僕の存在まで不確かな
無様なものへと変えてゆく

トロトロに蕩けた女への愛情が
女と男の狭間で揺れる橋のよう ....
何も解らぬまま
生きてゆくなんて
夜と闇の区別もつかないなんて
大禍時が クス と笑う
空は今も蒼いか
海は凪いでいるか
電撃を受けた
その心は
未だ
燃えているか

沈まぬ ....
     
幾重にも纏わりつくビニル袋が
この生命も
この儚き光にも
二酸化炭素を含めという
カラカラ渇いたこの時代には
辻褄合わせの契りが似合う
一夜の夢を見させておくれ
赤い月も笑 ....
紡ぐもの。大切なものは紙縒りを使い手製で淑やかに織る。紡ぐもの。不要な細糸は糸切鋏で砕く。真夜中のレストランには無い感情。大切な物を紡いだ紙縒りは長く細くピアノ線よりも強い紙縒りになる。夢を織る少女は .... どれくらい恋を忘れていたのさえ
        思い出せなくなって
公園へ続くこの坂を上りきったら
        思い出せるような気持ちになった

自転車置いて靴ひもをギュッと締めなおす
 ....
虚ろげな眼をしている誰かに見られている
後ろ指を指されている誰かに怖がられている
怒ってなんかいないのに
怒鳴ってなんかいないのに

このクソアマが

何かが飛ぶ何かが叫んでいる
何か ....
卒業すれど、何も得ていないわたくしに、どうか教えを乞う事をお許しください
さすれば、三月の風に靡く、このセーラーの紺色の襟も、羽ばたける事ができるかもしれません

先生、不得手のモノは沢山です
 ....
屋根を打つ
雨の流れた
沁みる音を
空の涙と
受ける両手に
白砂と
小さな世界が待っている
柔らかな海水が裸足の親指に触れる度に
小さな世界へと渦を巻いて引き込まれる
何度も何度も 行きては還り
還れば 行くの繰り返しを
日毎に重ねて そしてまどろ ....
さざ波の僅かな飛沫さえ愛おしい
春から初夏への道のりは
小舟で海を渡る様に
儚くも危なげなモノ
飛べなくなったイカロスが クス、と笑う
白のシャツと海と小さい波が
あなたには とても似合う ....
こえなきこえをわがむねに
声に出せない声を
描いても描ききれない
キャンパスの白に圧倒されながら
呼吸を忘れた金魚のごとく
口先だけを水面から出し
日常な非日常を生きている

片づけた ....
岸かの子(22)
タイトル カテゴリ Point 日付
泥を掴む或いは空の中で自由詩114/7/22 18:00
たとえるなら自由詩2*14/7/15 22:01
五行歌連詩/コブシの花自由詩4*14/4/9 23:33
おにぎりとおいなりさん自由詩8*14/3/24 22:23
母さんのうた自由詩5*14/2/10 0:23
ともだち自由詩013/12/13 1:48
永久という陳腐な言葉が自由詩2*13/9/30 0:01
冬の終わりに/いつか見た夢自由詩513/2/24 23:47
祝福を自由詩312/12/14 1:16
果てぬ夢なれど自由詩5*12/10/16 1:13
渦の中にて自由詩3*12/8/6 21:26
恋しや/殺めたしや自由詩4*12/7/14 1:36
 静夜自由詩6*12/7/14 1:17
小さき者のウタ自由詩3*12/7/14 1:15
継がれゆくもの自由詩0*12/7/10 0:08
風と蕩ける自由詩312/6/15 2:01
眼差しの先に自由詩3*12/6/15 1:26
三月のウサギ自由詩2*12/6/2 23:46
ひとりあそび短歌012/5/28 1:20
海岸線との境目には自由詩5+*12/5/28 1:08
はがゆい自由詩5+*12/5/25 2:31
抗う自由詩2*12/5/21 2:31

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