体温を感知して撃つのだという 確かに人は温かいから 少しずつ涼しくなってまたやがて氷期が来ることもあるのだろう いつかもうあなたやわたしでなくなって出会わなくてもよくなる日まで 夥しい「出会わなければよかった」を載せて地球は縮み続ける 出会いとは暴力なのにわたしたちほらまたこうして近づいていく テキストのむこうに生身の人がいる、と言い切れるのもいつまでだろう 現実を食っては言葉に変えてゆく蚯蚓のような管でありたい いつの日かすべての人が生殖を「ただ飽きたから」やめるとしたら 通信が途絶えた時の液晶の色より外の夜は明るい 安全と管理と危険と自由とが縺れて引かれあう糸の上 ヒトという種にはもうちょい生き延びて羽根生やしたりしてみてほしい ウイルスに言葉があれば歌われたであろう史詩の夢などを見る 共通の敵の前では人類が一丸となっ……てませんね、はい 近づくとうっかり殺してしまうかもしれない隣人だらけになった それはすごく運のいいこと 生きたいと思わないまま生きられるのは どうせあと百年も生きないわけで、そんなに急いで殺さなくても 寄生者が宿主に死なれると困るという意味で長生きしたいです 知り合って長いけれどもそういえばあなたの生身を見たことがない 「死」はつまり「更新停止」ということか そう言い切っていいのだろうか 身体よ 私はお前の体温を操る力もなくここにいる 雪でもなく砂でもなくただしんしんと眼の奥を埋めてゆく「もうやだ」 現実と見なすべきある幻想として「私ではない人もいる」 「愛」をなにか良いもののように語るので生まれたり死んだりが絶えない 一行で暴言にならないように言えることってあんまりないの 「私」というまとまりはほらかき氷のように崩れやすいけど、在る 人により人と呼ばれて人となる循環定義の蒸し暑い朝 この身体しか知らないし引っ越しもできないという不自由がある 身体があって性とかいうものがまだある世界と知ってはいるが 何なのかわからないままとりあえず壊してそれきりになったもの 手の中のなまのネズミのあたたかさ、のようなものが欲しいってこと?
いる(296)
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_短歌021/9/9 22:45
短歌121/9/8 23:30
短歌121/9/7 23:01
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