始まってしまったものはしかたないから終わらせていくだけである
あなたの言うあなたが誰なのかわたしは知らないし
押し入れは騒がしい
新しい殺虫剤を買い
特に何もせず昼を夜にする
手を汚したくなかった
「手を汚したくなかった」
まあそうだよね
....
「なんで逃げないの?」と軽く訊く君もまだ逃げないでそこにいるじゃん
人間を傷つけたくはないのだが制度の顔をして立たれると
あなたにもいろいろあったのでしょうから生んでしまったことは責めない
とは言えど在るものはみな在るだけで誤りであるような気もして
誤って生まれてしまった家ひとつ葬るための虹をかけよう
絶望が愛と呼ばれた慣習に倣う気はない それだけである
「生まれたくなかった」は「生まないでほしかった」とはやや違うはずだが
ここをいつも
ある程度
不快な場所にしておく必要があります
さもないと展望が描けず
裸で道に飛び出し
虹などを振り回す不審者が現れない
日常が止まらず
更新が始まらない
そして次に ....
無能でも生きていいのだ俺を見ろ、と言えるほどの無能でもなく
どちらかと言えば機械が人間のねじれゆがみを模するのだろう
ああみんな優しいんだな太陽も死ぬのに騒がずに生きている
要はそれ「収拾つかなさ」ではないか神とか呼ばれたりしているが
しかたない、とは思うけど許すのは嫌だな われらを生んだ何かを
ひとつひとつ毟れば菊の蕾らの死魚の眼に似て空を仰げり
生活と無限は相容れがたくして空を遮るためにある屋根
継ぎしものよりも断ちたるものをもて我を証さむか 初霜の降る
もちろん殴らねばならない
のだが
それはあなたという個別具体的な
何というか
果菜を
殴ればすむ話ではないので
そこに立たれても困ります
というようなことがある
水と泡とは概念的に ....
人波の潮の如くに満ちきたり引きゆきて自由意思とは何か
人あまたゐてそのうちのただ一人のみ我なりと知りし日のこと
ものなべてこの涯無きを負ふゆゑに傾ぎて見ゆる青空の下
冬空は澄むほどにその涯なさの担ふに重く俯きて過ぐ
一掬の過去ログとして還らむにささめきやまぬ海にてあれかし
やがてこの街をも喰らひ尽くすべき葛の触手の差しいだす花
この夏も暑かった
扇風機が壊れ
目覚ましが鳴り続けた 主観的に
現実はどうだったのか
電柱がまだあって
巻きつけられた広告の針金の
結び目の先で
蝉が羽化していた
「 」
....
街ふかくけむる朝にてわれらこの靄に編まれし仮象ならずや
欲望の分岐をわかりあえなさをヒトの栄えとして祝うのだ
生存と繁殖という原理すら個体はしばしば無視しますから
傾向があれば外れる奴はいて「である」に「べき」を押し付けるなや
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