覚えてるかい
自転車二人乗りで帰っていたあの日
夏休みの部活帰りだった
突然の雨を避けてバス停の小さな屋根の下へ
でも荒れる風に屋根は意味を成さず
どうせ濡れるならと
土砂降りの中へ
制 ....
確かに存在するのに

掴まえる事ができない

掴まえたと思った瞬間

それは形を変えてしまう

目の前に飛び出そうとしているそれが

ぎっしりと並んでいるのに

飛び出した瞬間 ....
花が散るなど構わない
心に焼き付く姿があるから

年を取っても構わない
過ぎた季節だけ利口になるから

夢破れても構わない
敗れるほど膨らませたのだから

壊しちゃっても ....
砂漠の中にあるらしい
あるオアシスの物語
湧き出る泉は澄みわたり
ほとりの木々には鳥が舞う

砂漠の中を旅してる
ある男性の物語
砂漠を越えてやってきた
長い渇きに苦しん ....
夜、一人じっと手を見る


節くれ立った指の隙間

すくい上げた水は

口元まで届く前に

いつも零れ落ちてゆく

ひりつく喉を潤さず

落ちてゆく水のきらめきを ....
いつもは慌しく駆け抜ける公園
休みの日にゆっくりと歩く

入り口にはこぼれそうなほど花を咲かせたこぶし
差し出されるように花の重みで枝が下がってる
高いこずえで天を向く花よりも
 ....
俺はそいつをいつも馬鹿にしてるくせに
そいつが人から馬鹿にされると
いつも滑稽なほどムキになってそいつをかばうんだ





俺はそいつにいつも「当たって砕けろ、何事も」って言 ....
もはや平成十九年
平成生まれの人たちが社会へ出始めている

昭和天皇の崩御や元号が変わるニュースや
大喪の礼で学校が休みになるという出来事も
彼ら彼女らにとっては歴史上の出来事
 ....
湧き上がる想いに溺れそうになる

言葉にならない混沌の中に輝きを探す

ルノーの車やドンペリのボトル

ニューモデルのスキー板や君の笑顔

そんなものをずっとかき分け  ....
私の歌を聞いてくれる人は
一体どれくらいいるのだろう
私の声はどこまで届いてゆくのだろう

生まれたばかりの頃
私の歌は純粋無垢に
ただ愛を乞うる歌
聞くものすべては眼を細め
優しい抱 ....
もしも言葉の通った道が見えるなら
どんな風なんだろう

くもの巣のように四方八方に広がってゆくのかな
それに引っかかりもがく人々

細く鋭くきりのように真っ直ぐ伸びてゆくのかな
刺し通さ ....
私は生きてゆかねばならぬ

真裸(まはだか)で生まれて来た自分だが

成長した今は、しがらみと責任を背負って

生きてゆかねばならぬのだ


金属のような色をした厚い雲が垂れ込め
 ....
吹きすさぶ風音
窓をたたく雨音
ベッドに横たわり
耳に入る外の音に耳を傾ける

自力で寝返りをうつこともできない
かろうじて動くのは左手のひじから先
声も出せず
ただ目の玉だけを動かし ....
与えるべき安心感を子に与えなかった親の罪

親の責任とは何かを教えずに育ててしまった親の親の罪

子供には何が必要なのかが明確にしない社会環境の罪

子への思いやりより自分の感情を優先させ ....
夕暮れの冷えた風受け
肩すくめ襟かきあわす
山際に光の名残
空の色すでに濃紺
並木道力の尽きた
枯葉たち道を埋める
吐く息の白さ際立つ
針の様 澄んだ空気

冬が来た 葉をむしりとる ....
夜更けの澄んだ冷たい空気が
少し開いた窓から流れ込む
道路を走る車の音や
電車のレールを叩く音が
虫の静かな声と共に
部屋に流れる孤独の空気を際立たせる

鳴らない電話
新着メールの知 ....
秋の風がビルの谷間を
なんとはなしに
駆け抜けてゆく

僕はそれに背中を押されて
当てもなく
歩いている

スーツの裾が少したなびく
同じような服装の人たちが
僕を追い越してゆく
 ....
二人で映画に行った、あの日の日差しと同じだね。
今日も情け容赦なく焼きごてを押し付けるように降り注ぐ光。
あれから15年も経ってしまった。
学校の先生になりたいと夢を語った君は今・・
この光の ....
いつまでも消えない風景が
瞼の裏に焼きついている

夏に木陰でウーロン茶を飲み干して
蝉の合唱に包まれながら瞳を閉じると現れる

こんなに垂直な建物ばかりの街ではなく
曲がりくねった木が ....
陽炎の立つアスファルト

あなたの飲みかけのコーラ

受け取りためらい無く口をつけるペットボトル

ためらいから柔らかな安堵へと染められる眼差し

僕の微笑を受け止めるはにかんだ笑顔
 ....
激しい太陽の自己主張に手をかざし眉をひそめる
すだく蝉の声が全身を包み込む
額ににじむ汗
高く上った太陽が頭頂部を加熱する

きっとあの日も
同じ太陽の光と
同じ蝉の声が
ラジオから流 ....
「ミス」
私のミスによって
泣く人がいる

「立場」
望むなく
決断を下さねばならない

「決断」
私がせねば
他の誰がしてくれるというのか

「engagement」
中立 ....
「夜と霧」(ヴィクトル・E・フランクル)

この書は、自らユダヤ人としてアウシュヴィッツ収容所に囚われ、奇跡的に生還しえたフランクル教授の「強制収容所における一心理学者の体験」であるが、その中の一 ....
冬が終わる頃いつも
喪ったあなたを想い出す
人知れず涙を流す僕
あなたのかけた魔法の中から
いまだに抜け出せずにいます

同じ職場で働いていたあなた
僕はあなたの部署に配属されて
輝い ....
あの庭先に飛び回る蝶がずっと欲しかった
ひらひらと
花から花へ
気のむくままに飛び回り
奥に密んだ花蜜
いともたやすく味わって
およそこの世で受けられる歓喜を全身に漲らせ
明るい陽射しに ....
最近知人から「孝治さんっていつも優しいよね」って言われた。
自分は本当に優しいのだろうか?
優しく見られたいゆえに、優しさを演じているのだろうか?
それとも、ただ単に、弱さが優しく見えるだけなの ....
なんと違うことだろう

二年間寝たきりの祖母が他界した
94年の生涯を自宅で眠るように閉じた
涙は流れなかった

葬儀はしめやかに営まれ
その後遺体は火葬場へ
焼かれる間に親族は
酒 ....
一面に菜の花広がる河川敷
暮鳥の歌をひとりつぶやく

はなびらに光をいっぱい浴びながら
どこまで続く黄色い海よ

歩を進む
黄色い波をかきわけて
我が身よ輝く色に染まれ

みどりご ....
我に力を与えたまえ
孤独に苦しむ
あの人の心を汲む力を

虐められた子ども時代を経て
何とか大人になり
ようやく得た生涯の伴侶を病で喪い
もはや誰をも信じなくなったあの老人
心はひがみ ....
彼女の落としたペンシルを
返しそびれてそのままに
そっと握りしめてみて
ドキドキしていたこともある

机の引き出しその奥に
眠っていましたペンシルが
転がり出てきたその時に
あの日の気 ....
広川 孝治(66)
タイトル カテゴリ Point 日付
「軟弱者」自由詩108/8/21 22:27
「無題」未詩・独白107/5/31 12:14
「かまわない」自由詩207/4/17 12:40
「旅人とオアシス」自由詩107/4/14 21:35
「掌に残るもの」自由詩407/4/4 17:44
「散歩」自由詩207/4/2 14:49
「あいつについて」自由詩007/2/17 17:52
「時間という地層」自由詩2*07/2/1 12:41
「湧き上がる想い」自由詩107/1/30 9:38
「歌」自由詩4*07/1/22 11:50
「言葉の通った跡」自由詩407/1/13 10:21
「冬の空、冬の道、僕の道」自由詩106/12/14 10:57
「脳梗塞」未詩・独白506/12/12 10:08
「罪、弱さ、苦しみ、愛、そして価値」自由詩206/12/5 10:00
「冬が来た」自由詩106/12/4 9:35
「余命」自由詩006/9/14 13:13
「秋の夕暮れ」自由詩006/9/11 17:36
「君に幸あれ」自由詩006/8/26 13:25
「いつも心に」自由詩206/8/22 12:30
夏の日の一コマ自由詩106/8/21 11:58
August 15th自由詩106/8/15 17:49
雑文 「s'engager」未詩・独白106/6/20 15:58
誇り散文(批評 ...006/5/23 9:55
「モハヤ・・・」自由詩206/5/20 15:18
「蝶」自由詩206/5/18 17:53
「優しさ」についての論考散文(批評 ...2+06/5/6 10:49
「なんと違うことだろう」自由詩406/4/24 11:47
いちめんのなのはな短歌606/4/6 11:58
「我に力を・・」自由詩106/3/21 8:56
ペンシル未詩・独白206/3/7 10:07

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