ほどなくして雪は止み
あとは静寂につつまれた
彼は今でも海竜と戦っているだろうか
私は奇蹟を待ちながら
奇蹟とはその心だけなのだと知る
どんなに着飾っても
一度に履ける
靴は一足
あたたかい記憶
あたたかい身体
あたたかい希望
あたたかいごはん
あたたかい未来
あたたかい読書
あたたかい夕べ
蛇口を開けて
手の感覚がなくなるような
冷たい水で顔を洗う
流れによる
かすかな熱移動で
万年雪の下に
小さな水溜まりを作る
学校から帰ると
テーブルにロールケーキが
ふたつ並んでいて
チョコレートとバナナクリームの
2種類があって
わたしは弟に先に選ばせた
今日みた夢の中の
同じ風景は
すこしだけ大人になっ ....
春を追いこして夏のような
日射しを避けて
市内の茶屋で
みたらし団子を食べながら
足下の干涸らびた蛙に
水をもらってかけてやると
おどろいてちょっと跳ね
またノシノシと戻ってきた
残り ....
夜になり
気温が下がると
子供たちの咳は
ひどくなった
地上から浸潤してくる氷水を
順番に舐めに行った
毛布が欲しかった
ただ死なない
それだけの私たちを
地下に閉じ込めて
外から ....
久しぶりのお酒で
酔っぱらって
森の墓地にある
友人の墓に
寄ってみたり
ビンゴで当たった
3DSを供えてきたり

して
それを
今から取りに戻ろうと
してる




 ....
愛してくれるなら
誰でもよかった
私は誰かを愛したり
しなかった
だから
式が近付いて
思うことは
本当のものなどない
という
諦めの感覚と
口から
C4をとりだして
壁に穴を ....
河の流れはだんだん速くなって
海が近いことを知らせていた
私たちはクロコダイルの肉を
焚き火にかざしながら
今後のことを相談し話し合った
火に砂をかけ辺りを闇に返すと
星たちがそれを奪い合 ....
小さな町で生まれても
望みさえすればどこへだって行けるのに
もう会わないって決めることに
どんな価値があるの?
野菜の種を食べても
私から生えてこないのは何故







 ....
今すぐには無理だけど
ある程度大きくなれば人は成長が停まるから
心配しなくても私はあなたに追いつくわ

そういう日がきたとしても
きみはもう気持ちを忘れているよ
そんなつまらないことを気に ....
無垢を着た少女が
新聞のように地図を広げて
前も見ずに歩いてくる

昨日の私が車の窓を開けて
煙草の匂いを消している

大学病院の屋上で
柵越しにこちらを見ている二人

コンクリー ....
水族館の水槽を見上げていると
星々が落ちてきた
魚たちは群れとなり
あるいは一人で泳いでいる
まるでそんなことは
ないかのよう

ねえ、これが星の海だとしたら
海の下はなんて呼べばいい ....
赤い皮を剥いで染料をとる着物
地獄は怖いかとたずねてくる老婆
風車の駅の錆びた蝦蟇
割れたレコード
心配そうな顔

わたしはもう3回目の生まれ変わりなんだよ
死んでも現世は続いているんだ ....
悪魔の森から
ギターがきこえる
お前は
言葉を
やめたほうがいいと
あの時間は写真のなか
あの声は誰かのもの
ネコの伸びをすると
あちこちから音がした
使ってあげられない身体の
内側からノックされてるみたい
でもね
ギプスがないと歩けないし
眼鏡がないと明日がみえない







 ....
玄関先に
雪が積もってた
足跡をつけないように
外へ出た
銀色の球体を遠巻きにして
心臓のない子供たちが
エネルギーを待ちながら
停止していた
水没した水族館
海を塞き止める巨大な梁
深淵の揺らぐ魚
停電
深海ケーブル
映画が終わり、点灯されず
また最初から、始まった
つまりここは、昭和かどこかだろう
母がよく話してた、一日じゅう映画がみれる場所

父さんは何度も見るのが苦手なひとでね、
黙ってさきに出て ....
月世界の火点し頃
逆手の我らは
スワンの両腕を折り畳みて
空飛ぶ真似をする

天を恐れる者たちは
その早業から
逃れようと
地下に溶けて岩となり
我らを忘れる
きみの影が伸びてつくる
長い坂を
鬼たちが追いかける
生業にfortune-tellerを選んだ男が
明日滅びると知る街で
子供たちに幸せな未来を語る
紙芝居のカードをめくる

朝食のクッキーを食べながら
ライフセーバーハウスに行くと
私の ....
二十二時三十秒に待ち合わせ
一秒だけ重なる世界

きみのいない世界に行きたい
秒針と秒針

どんな五十九秒も
最後の一秒で入れ替わる

きみのいる世界に行きたい
移りたい

二 ....
絶対に敵わないと思ったら
そこに誰かを置きなさい
戻ってきても
逃げなさい
吊り橋を渡ってから
落とそうなんて

僕らの後からくる
かもしれない

希望も
捨てるのかい?

この先に

奴らがいても
戦うのかい?

今度は逃げずに

わからない ....
人間を圧縮すると
すごく小さくなるんだよ
と聞かされたとき
彼女は宇宙を感じた

人間を材質に分解すると
10ドルにもならないと知ったとき
なぜか
アンドロメダのことを考えた

愛 ....
雨にふれないように
玉蜀黍の実を折りながら歩く
ここを子供たちに
ゆずる頃合いかもしれない
廃線のレールの上を
ボールが転がっていく
磁力で制御しているのか
きれいに草を刈っていく
妻 ....
古い洗濯機が回る
脱水の力はもうない

母親が捨てるのはもったいないから
おばあちゃんちに持って行って
花壇かエコカプセルにしましょうと
言ったから

春になれば
それらしく緑になる ....
mizunomadoka(570)
タイトル カテゴリ Point 日付
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火星自由詩412/3/25 0:06
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